リーダーシップ

2026.03.10 17:36

イエズス会からビジネス界へ ある経営者が貫く信念のリーダーシップ

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デニス・リングと向き合って話をしたとき、良い対話になるだろうとは思っていた。だが、対話を終える頃には、私が何か稀有な体験をしたのだと感じていた。内面の生き方と職業人としての生き方を一度も切り離してこなかった、驚くほど真正なリーダーに出会ったのだ。

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履歴書だけを見れば、リングは並外れたビジネスの才を持つ人物である。ジョン・マッキーとともにWhole Foodsの「365」ブランドを共同で立ち上げ、HEBのセントラル・マーケットを始動させ、Ocho Chocolatesをゼロから築いて売却した。どの役員会議室でも目を引く経歴だ。だが、1時間ほど彼の話を聞けばすぐにわかる。経歴は、ほとんど本質ではないのだ。

私の同僚サラ・フィーリーは、バークレーで開催されたGreater Good Science Center「Why Kind Leaders Win」イベントで、パネリストとして登壇していたリングに初めて会ったという。「彼の真摯さ、好奇心、開放性、そして寛大な精神に強く心を動かされた。私たちは彼の知恵から学び、それを世界に共有する必要があると確信した」

最も生を与えるものを選ぶ

リングが企業のリーダーとしての道を歩む前、彼はイエズス会に7年間所属していた。ロサンゼルスのロヨラ高校で教え、LA中心部でホームレスや非正規滞在のコミュニティとともに働き、メキシコの孤児院でも奉仕した。会の中でビジネス倫理を探究する意図を持って、MBA取得のためにイェールへ進んだ。そして、深い省察と識別の期間を経て、彼は会を離れた。

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霊的指導者は、彼が今も持ち続ける指針となる言葉を授けた。最も生を与えることを選べ。一見すると驚くほどシンプルだが、リングはこの言葉を中心に、リーダーシップ哲学を築いてきた。

「イエズス会を去るのはつらかった」と彼は率直に語った。「ただ、自分のことを在俗のイエズス会士のように考えることがある。イエズス会での養成の中で身につけた信仰と霊性の実践を、今も実行しようとしているからだ」。彼は会を捨てたというより、その境界を広げたのである。

愛の行為としてのリーダーシップ

彼のリーダーシップがいま強く人を惹きつけ、切実に求められているのは、理論や認知を超えて、実践知と慈しみへと踏み込むからだ。Ocho Chocolatesがベイエリアで最も経済的困難が深刻な地域のひとつ、ウェスト・オークランドに拠点を構えたとき、彼は単に労働力を管理したのではない。彼らを「人」として知っていた。

近くのハーフウェイハウスから、かつて収監されていた人々を繰り返し雇用した。ある従業員が、配線不良のせいでアパートの壁越しに熱が伝わってくると話すと、彼は住居探しのためにあちこちへ電話をかけた。新しいアパートの敷金が土壇場で手の届かない額に引き上げられたとき(あからさまな価格差別の一形態である)、彼は個人の小切手を切った。大切な従業員が再発の末に姿を消し、収監されてしまったときも、彼は扉を閉ざさなかった。彼は裁判官に手紙を書いた。書き出しはこうだ。釈放され次第、彼は当社で働く、条件は一切ない。

「これは、ある人が神聖な瞬間に遭遇し」とデニスは振り返る。「他者の尊厳を高めようとするかたちで応答する、そういうことなのだ」

データが示すこと

社会科学において、私たちが気軽に「ケア」や「愛」と呼ぶものは、決して曖昧なものではない。Leader–Member Exchangeや変革型リーダーシップ理論、善意と信頼、コンパッショネート・リーダーシップ研究、向社会性、心理的安全性の構成要素といった厳密な概念に関する数十年の研究の中に、繰り返し現れている。

Compassionate Leaders Circleの最高学習責任者であるサラ・フィーリーはこう述べる。「これらの枠組み全体を通じて、データは一貫したストーリーを語っている。リーダーが対人的なケアを示すとき、心理的安全性、信頼、エンゲージメント、そして自発的な努力の増加の土台が築かれる。その結果は何か。パフォーマンスの向上である」

私たちが何度も忘れるリーダーシップの教訓

対話の終わりに、私は彼に「最も重要なリーダーシップの教訓」をひとつだけ挙げてほしいと頼んだ。彼は戦略やスケールについては語らなかった。語ったのは謙虚さ、そして運だった。

「私は50年代に白人男性として生まれた。高い教育も受けた。自分から探しに行かなくても得られた機会があった」と彼は言う。「出生というくじで当たりを引けなかった人たちにも、少なくとも人生の上振れに参加する機会が生まれる状況をつくる手助けをしない限り、人としての尊厳はない」

これは、リーダーシップの世界で決定的に語られてこなかった会話である。私たちはハッスル、ビジョン、破壊的革新を称賛する。だが、立ち止まって問うことは稀だ。ここに至るまで誰が助けてくれたのか。誰を連れてきたのか。今日、周囲の人々に対して自分はどんな存在だったのか——マネジャーとしてではなく、一人の人間として。

リングの人生の教訓は、リーダーシップの教訓以上にシンプルだった。「愛が働くことを許せ」

リーダーシップのフレームワークと生産性向上のハックに飽和した世界で、デニス・リングは、リーダーがなし得る最も力強いことが、真正に、信念をもって、目の前の人々に真のケアを携えて現れることだと気づかせてくれる。そうしたリードの仕方に、神学校の学位は必要ない。必要なのは、注意深くあることだけだ。

2026年4月20日に開催される第6回Compassionate Leaders Circle Awardsで、デニス・リングのような思いやりあるチェンジメーカーをともに称えよう。毎年4月、私たちは世代、地域、業界を超えて、毎日「世界をより良くするにはどうすればよいか」を考えて目覚めるリーダーたちを讃える。今すぐ登録し、刺激を受け、思いやりあるチェンジメーカーのコミュニティに加わってほしい。過去の受賞者に出会い、ライブ参加またはリプレイ視聴の登録はこちらから。

CLC Podcastで、リングとの全編対談を聴くことができる。

forbes.com 原文

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