リーダーシップ

2026.03.10 17:13

難しい対話を成功に導くリーダーの3原則

stock.adobe.com

stock.adobe.com

人生で最も深い学びは、しばしば子どもから得られる。末娘が最近、高校の新聞に「静かな危機:私たちが避ける会話(The Quiet Crisis: The Conversations We Avoid)」という記事を書いた。娘が知りたかったのはこういうことだ。政治や宗教といった特定の話題を、なぜ私たちはあっさり「触れてはいけない領域」にしてしまうのか。そうしたテーマこそ、コミュニティにとっても、個人としての私たちにとっても、最も重要であり得るのに。

advertisement

分断が進む今、難しい対話にどう向き合うべきかに悩んでいるのは学生だけではない。リーダーもまた、地域社会でも国際政治の舞台でもビジネスの現場でも、困難なテーマに取り組まなければならない。ときに最も厄介な対話は、より日常的でありながら組織にとって極めて重要な事柄に関するものだ。主要人材の適正な報酬、複雑なM&A交渉、戦略をめぐる意見の相違、さらには率直なフィードバックやパフォーマンス管理といったテーマである。こうした難題は非常にデリケートで、適切に対処するのが難しい。

効果的な対話のための3原則

娘が指摘するように、難しい対話を効果的に進める力は後天的に身につくスキルだ。練習と勇気、そして意図をもって臨む姿勢が要る。どんな厄介な課題を扱うにせよ、対話を生々しい感情から内省、そして結果へと前進させるのに役立つ原則がいくつかある。

1. 共感を働かせる 娘は高校の生徒に、難しいテーマを話し合うことについてどう感じているかを調査した。「私は頑固で意見も強い。賛成してくれる人と話すときはそれでいい」とある同級生は答えた。「でも、意見が食い違うときに、関係性と話題を別物として保つのが難しい」

advertisement

経営幹部でも状況は大きく変わらない。モニカ・グスマンは『I Never Thought of It That Way』の著者で、相手がその信念を持つのには「良い理由があるはずだ」とまず仮定し、その理由を見つけるのが私たちの役割だと説く。私は日本で外国人として働く中で、これを何度も目にしてきた。海外から来た経営幹部が、共感が不十分なまま——文脈を正しく理解せず、異なるコミュニケーション様式への敬意もないまま——「何をすべきか」を自信満々に語ると、たいてい結果は芳しくない。

2. 好奇心を持つ 本当に知りたいことについて、丁寧に、相手を尊重しながら質問することが重要だ。論点の両側について幅広く読むことも助けになる。グスマンは好奇心を「超能力」と表現し、それは相手が何を考えているかを学ぶことだけでなく、自分自身の意見や、それに結びついた感情的な執着にも向けられるべきだと述べる。とりわけAIの超知能の時代にあって、「もしも?」と問う好奇心は、際立って人間的な能力でもある。

近ごろ、シニアエグゼクティブの間に分断が広がっているように見える。一方には、経験豊富で賢明だが、ある程度過去に縛られてもいるリーダーがいる。変化の速い世界で、学びの軌道が頭打ちになっている。もう一方には、同じく経験豊富でありながら、急速に変わるテクノロジー環境に追いつこうと努力し続けるリーダーがいる。こちらは対照的に、成長の軌道が上向きのままだ。その差を大きく生んでいるのが、好奇心である。

3. 積極的に聴く 双方が「聞いてもらえた」と感じるほど、前向きな解決に至る確率は高まる。しかし、言うは易く行うは難しだ。正直に自分を省みれば、他者が話しているとき私たちは積極的に聴けていないことが多い。相手の話を受け止める代わりに、次の間が来たら自分は何を言おうかと考えてしまうのだ。『The Good Fight』の著者であるリアン・デイビー博士は、反論するためではなく理解するための意図を持って聴くことの重要性を強調している。

回避ではなく、対立の解消へ

デイビー博士は、厳しい話し合いに備えて身構えるよりも、対立のマネジメントを「常に練習すべき習慣」と捉えるほうが生産的だと主張する。対立は頻度が高いほど1回あたりの影響が小さくなる。人は物事を個人的に受け取りにくくなり、問題を整理して前に進みやすくなる。

数年前、私がヨーロッパで経営陣向けのリーダーシップ開発セッションのファシリテーションを始めた頃、会議がうまくいった後にリーダーたちからこう尋ねられることがよくあった。「一枚岩のリーダーシップチームが重要なのは分かっている。では、私たちのチームはどれほどまとまっていると思うか?」私の答えはたいていこうだった。「まだ分からない。いまの会議では全員が互いに賛成していた。チーム内で意見の不一致や議論が起き、それにどう反応するかを観察して初めて分かる」

近年の研究は、意見の相違による影響を私たちが過度に心配している可能性を示している。ウォートン・スクールのクリスティーナ・ウォルド教授が主導した研究によれば、人は見知らぬ相手との会話について、意見が一致しない場合は一致する場合よりもはるかに不快になると予測する。しかし実際には、意見が一致するかどうかにかかわらず、予想以上に会話を楽しんでいた。さらに、一致するかどうかにかかわらず、会話相手とのつながりも予想以上に感じていた。

経営幹部は公の場でも対話を迫られる

同じ力学が公共空間でもますます見られるようになっている。『ニューヨーク・タイムズ』のDealBookニュースレターの最近号「誰が声を上げるのか?(Who will speak up?)」で、編集者のアンドリュー・ロス・ソーキンは、政治的な反発の可能性があっても、必要なときには声を上げるようビジネス界に呼びかけた。多くの経営幹部にとって、これは扱いの難しい領域だ。彼らが率いる組織には、立場も背景も信条もさまざまな幅広いステークホルダーがいる。テーマが自分の専門領域や影響圏の外だと感じる場合もある。

新聞にコメントを寄せることには固有の難しさがある。だが、企業もまた、誰もが生きるのと同じ分断された世界で事業をしている。思慮深く建設的に意見の相違へ関与する力は、単なるメディア対応スキルではない。組織の能力そのものだ。自分のチーム内で、生産的な難しい対話を進める習慣を育ててこなかったリーダーほど、外部でそれを乗り越えるのははるかに難しくなる。

そういう意味で、回避ではなく対立の解消という規律は、リーダーシップ開発の演習以上のものだ。戦略上の必須要件である。議題が役員報酬であれ、大型買収であれ、戦略の方向性の違いであれ、争点の多いテーマに対する公的な立場であれ、根底にあるスキルは同じだ。共感、好奇心、積極的な傾聴、そして退くのではなく関与する意思。これらは場当たり的な戦術ではない。すべてのリーダーが意図して築くべき習慣である。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事