マーケティング

2026.03.17 15:15

台湾大手紙『聯合報』デジタル有料購読者280%増と「世界メディアサブスク」事情

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「うわ、またサブスクが増えちゃった…全然見てないのもあるのに」利用明細を見てため息をついた経験、読者の皆さんにもあるのではないでしょうか。エンタメやニュースのコンテンツは増える一方で、私たちの時間はそれに比例して増えてはくれません。2026年に入って新たに2件加入した筆者が言うのも説得力が不足しますが、情報の断捨離も大切になるなかで「何に、いくら払うべきか」の選択に私たちは常に晒されてるのかもしれません。

今回の「データで発見、ワールド☆トレンド」では有料オンラインメディアに迫ります。調査会社 KANTAR の日本法人がこの2月に行った、アメリカ、インド、台湾、タイ、スウェーデンのアンケート結果を紹介。「いま加入しているかどうか」の利用実態ではなくて、「有料メディアをサブスクする際に重視すること」から見えてくる意識にレンズを向け、<Paid なドアを開く理由>を一緒に眺めてみませんか? グラフをご覧ください。

 

まずは、グラフの見方から。0 (ゼロ) の縦ラインを起点に「消極的 (グレー)」と「積極的 (パープル)」で二分しています。グレーの横棒をご覧ください。アメリカでは44%の人々が「有料で加入する気はない」と冷めた視線を送る一方、インドでは「消極層」はわずか5%しか存在していません。この熱量の差はどこから? 各国の声に耳を傾けて見てみましょう。台湾では少し脱線する予定です。

意外にも? アメリカの冷めた目線…理由はどこから?

筆者が意外に感じたのはアメリカ、44%が有料での加入意向なしとの回答です。アメリカといえば、2011年のペイウォール導入を機にビジネスモデル大転換を遂げた The New York Times があります。広告収入と購読収入を逆転させた「メディアDX優等生事例」の印象が強かったので「アメリカ人は有料オンラインメディアを購読するもの」と勝手に思っていました。やはり人口3.5億人の広大な合衆国、ひとことで語れない複雑さがありますね。

<Paidのドア>はどうやったら開くのでしょうか。無関心層が半数近くを占めるなか、 14% の票を得た「信頼性の高い / 偏向のない情報や報道」が「過去のアーカイブへのアクセス」とともにトップだったことが注目に値します。情報を選択することへの関心は、今の世情を如実に反映しているデータと言えます。

別の意味で想定外だったのは「会員限定のコミュニティ」が6%と奮わなかったこと。筆者がひと昔まえにNYなどの大都市に出張していた際、そんな「エクスクルーシブ感が強め」な会合を横目にしておりましたので…。 

超ポジティブなインド、注目すべき「ドア・オープナー」は?

95%が有料購読に積極的─前向きな回答には分析も楽しくなります。もともとインドではYouTubeでニュースを見る割合が55% と高く (*)、プラットフォームを通して特定のチャネルや解説者に課金する「マイクロパトロン (少額支援) 」的な有料化も一般的。

そのインドで<Paidの扉>を開ける役目として最も期待が高かったのは「過去アーカイブ」34% でした。人口14億人、多様な言語(時間のある方は調べてみてください。非常に興味深いです)をカバーするアーカイブがメディア横断的に使えたりすれば、非常に価値が高いでしょう。

しかし、筆者が注目したいのは、25%が票を投じた「一般公開前の先行体験」です。「あなただけに限定先行公開」の魅力が今のインド人をくすぐるのは、なぜでしょう。最新装備で勝率アップ、社会的地位の確認、情報強者である誇り…など色々ありそうではあります。

もう一度グラフを見てみてください。インドの次にタイがこの理由を選んでいますね。なので、やはり「新し物好き」な気質が影響していそうです。ストック型ではなくフロー型というべきか、「情報は、今その瞬間の武器」なのかもしれません。ちなみに日本で「先行公開の」人気は8%、やはり検証済みの安心さが大事であると…。

次ページ > 「特別感」「信頼」が好まれる台湾コンテンツ事情

文=津乗学 編集=石井節子

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