「特別感」「信頼」が好まれる台湾コンテンツ事情
台湾は米国に次いで有料メディアに消極的、その割合は31%。どう感じますか? 日本と同様に無料ポータルで記事を読む傾向が強いと言われる台湾ですが、政治的な偏向やフェイクへの懸念もあり (*) 、独立性を売りにした媒体が有料会員を増やしています。全体の22%とは言えども「信頼性の高い報道」が最も多くの票を得たのはその表れでしょう。
国ごとの比較が興味をそそるこの企画、あえて注目したいのは「会員限定コンテンツ」が20%と、5カ国中で台湾が最も高い票を得たことです。ここで少し脱線をさせてください。「データドリブンな組織改革? またか」などと言わずに、一段落だけお付き合いを…。
「聯合報 (UDN)」(1951年創刊、台湾を代表する三大紙の一つ)が2023年にデジタル有料購読者数<280%アップ>を成し遂げたことをご存知でしょうか (*2)。同社はCurate XというAIプログラムを自社で開発。「CV (購読転換率)」の高い記事を見つけて、芸能や速報など派手な記事による「PV稼ぎ」に依存していた編集方針をシフト。教育や文化のような「地味にハイコンバージョン」な分野にスポットライト。約250名の記者の執筆指針やワークフローにも「インストール」して「実行」したとのこと…。
無料ポータルが支配的な市場でも、<自社にしか作れない、しかも対価を払う価値のあるコンテンツ>を組織的に攻める→勝算あり!ということでしょう。ちょっと元気が出ませんか?
世界屈指のSNS社会のタイでは、有料化も独自の進化
「ブラウザでメディアやニュースを見ることはない」。タイではこれが常識だそうです。すべての情報がFacebookやTikTokなどのSNSで完結する、いわば「プラットフォーム=メディアそのもの」と言えるのがタイの特徴となっています (*1)。令和8年現在の日本では想像しづらいですが、伝統メディアへの接触体験がない世代がマジョリティになるにつれ、同じトレンドを追うのかも?
グラフに目を戻します。有料メディアに消極的な層(グレー)は17%、少なくとどまっています。前述のインドは特別として、タイ人は非常に積極的な有料コンテンツ消費者と言えます。「有料のドアを開ける」理由(パープル)については、まんべんなく分布しています。先行体験も、報道への信頼も、そして限定コミュニティにもどれも興味がありそうです。

この調査はひとつの選択肢を選ぶ形式でしたが、興味のある順番に並べる回答スタイルにすると、また一歩進んだ理解ができることになりますね。
プラットフォーム=メディアということは理解しつつも、私たちがイメージするようなメディアがタイには存在しないのか、気になりました。近いものとして「THE STANDARD」が成功している模様です (*3)。限定イベントの参加、特別レポート(限定コンテンツ)を得られるメンバーシップが都市部の中間層〜エリート層に人気とのこと。Forbes JAPAN に近いイメージでしょうか。記事の壁に門番を置くのではなく、コミュニティへの暖簾をくぐる。パトロン的な信頼の形がタイの有料メディアの現在地なのかもしれません。


