リーダーシップ

2026.03.10 15:53

リーダーの席は「借り物」である──好奇心、信念、成果志向で組織を導く

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ルー・マイウリは、独立系ファイナンシャル・アドバイザー向けの大手資産運用プラットフォームであるAssetMarkの会長兼グループCEOである。

金融サービス業界で約40年。起業家として会社をつくるところから、大規模なグローバル企業を率いるところまで経験してきた私の中に、変わらず残っている真実がある。それは「役職は所有するものではなく、借りているものだ」ということだ。

リーダーシップは永続しない。いま自分が座っている席には、かつて誰かが座っていた。そしていずれ、別の誰かが座る。自分の仕事は、基準、人材、仕組みを強化し、その席を次に引き継ぐ人にとって組織がより良い状態になるよう整えることにある。そうした考え方を身につけたリーダーは、居心地の良さのためのマネジメントをやめ、自分が去った後も長く事業を強くするリードの仕方へと切り替わっていく。

好奇心は成長のエンジンだ

好奇心はソフトスキルだと誤解されがちだ。しかし私の経験では、好奇心は戦略そのものである。好奇心は判断を研ぎ澄まし、視野を広げ、過去の成功だけに頼りすぎることをリーダーに許さない。

キャリアのいくつかの局面で、私は自分にこう問いかけてきた。「自分が優れているのは本当に実力なのか。それとも同じことを長くやってきただけなのか」。この問いが、コンフォートゾーンを超える役割を求める原動力になった。適切であり続けることは、受け継ぐものではなく獲得するものだという戒めでもある。

だが、好奇心のあるリーダーがいるだけでは不十分だ。好奇心が文化として根づくよう、組織に組み込む必要がある。組織が好奇心を持つのは、リーダーがそれを育てる条件を整えたときだけだ。私の場合、その出発点は、率直で、遠慮のない意見のための余白をつくることにある。

現在の会社に加わったとき、私は全社のチームに3つの質問を投げかけた。「うまくいっていることは何か」「うまくいっていないことは何か」「自分が私なら何をするか」。それはお世辞を引き出したり、即席の対症療法を集めたりするためではない。指示を実行するだけでなく、洞察を提供する責任を一人ひとりが持てる──そんな好奇心の文化をつくるためだ。役割や会社をまたいだ私の経験では、1つの質問だけで全体像が見えることは滅多にない。思い込みをあぶり出し、リスクを浮かび上がらせ、理解を深めるのは2つ目の質問である。

私はまた、現場に一段近いところの声を聞くことを意識している。情報は上に上がるにつれ、時間とともに自然にフィルターがかかっていくからだ。いわゆるスキップレベルの対話は、その偏りを打ち消す助けになる。顧客、オペレーション、日々の実行に最も近い人たちは、他の誰よりも早くリスクや機会に気づくことが多い。彼らの声を直接聞くことで、事業の鼓動とつながっていられる。

そしてこの業界で40年近く経ったいまも、私は読み続け、2つ目の質問をし、自分にはまだ学ぶことがあると考えている。市場は変化し、テクノロジーは加速し、顧客の期待は移り変わる。学びを止めたリーダーは、有用であり続けられない。好奇心は、経験だけでは優位性を与えなくなった後も、前進を可能にする。

高い基準と低い自我は、成果への偏りを生む

高い基準を持つことは、私が担ってきたあらゆる役割を通じての指針だった。ただし高い基準が機能するのは、低い自我と組み合わさったときに限られる。耳を傾け、軌道修正し、事業に最も資する道を選ぶという規律である。信念と謙虚さを併せ持ち、それを柔らかな手触りで届けることが、チームを素早く、かつ自信を持って動かす。

このことはキャリアの早い段階で、私が立ち上げに関わった会社を買収した上級リーダーから学んだ。彼は私に、背伸びが必要な責任を繰り返し任せ、解決することを期待した。私が苦戦したり、まだ知識が足りなかったりしたときは軌道修正してくれたが、仕事を取り上げることはしなかった。その経験が、いまの私のリードの仕方を形づくっている。基準を高く置き、優先事項を疑いようのないほど明確にし、人が主体性を持てる余地をつくる。

このやり方は、成果への確かな偏りを生み出す。リーダーが自我を脇に置き、事業を実質的に前進させることに集中すれば、チームは実行のための明確さと自信を得る。意思決定は速くなる。説明責任は研ぎ澄まされる。そして、何が重要かを全員が理解し、やり切る責任を自分ごととして引き受けることで、結果は改善する。

基準を引き上げる別の方法は何か。足すことだけではない。信念は、リーダーが何を「やめる」かにも表れる。高い基準には集中が必要であり、集中には削減が必要だ。時間が経つにつれ、組織が何を追加すべきかだけでなく、何をやめるべきかを見直せるリーダーほど、進歩が加速することを私は学んだ。雑音を取り除けば優先順位は鋭くなり、意思決定のサイクルは短くなり、事業を前に進める仕事へエネルギーが向かう。実務では、削ることこそが意味のある成果への最短ルートであることが多い。

その席を、本当の意味で「手にする」ことはない

リーダーシップは玉座ではなく、借りている席だ。やがて誰かが「あなたの」席に座る。この真実は、不安ではなく切迫感を生むべきである。自分より長く生きる仕組みをつくり、自分を超える人材を育て、事業を受け取ったときより強い状態で残すことへと、リーダーを駆り立てるはずだ。

長く在任したかどうかではなく、インパクトこそが残る。

明確さをもってリードせよ。好奇心を失うな。自我を抑えつつ、高い基準を守れ。そして偉大なリーダーがいつもそうしてきたように、その役割を「引き継ぐ前に強くする責任を負う席」として扱うことだ。

ここで提供される情報は、投資、税務、または財務に関する助言ではない。自身の具体的な状況に関する助言は、資格を有する専門家に相談すべきである。

forbes.com 原文

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