マーケティング

2026.03.23 13:30

「イカゲーム」もDoveも実践するクリエイティブ・エシックスとは

Getty Images

Getty Images

近年、企業やブランドの広告が炎上する事例が後を絶たない。クリエイティブの現場でも、企画内容より炎上しないかどうかが論点になるといった光景がしばしば見受けられるようになった。

もちろん、炎上を防ぐために「差別的な表現をしない」といったコンプライアンスを守ることは重要だが、変化のスピードが速い現代において炎上の基準はわかりにくく、それ自体が変化することもある。

そこでクリエイターがもつべき軸として、橋口幸生が自身の著書『クリエイティブ・エシックスの時代』(宣伝会議)でも提唱し、2026年に重要になると考えているキーワードが「クリエイティブ・エシックス」だ。 

クリエイティブ・エシックスとは、クリエイティブな倫理観という意味で、話題性や利益だけでなく「世界を今より良い場所にできるかどうか」という視点で判断することだ。

炎上しないかどうかは結局のところ世間の判断に委ねられるが、クリエイティブ・エシックスは内側の倫理観に基づく。コンプライアンスを守りとするならば、クリエイティブ・エシックスは攻めと言い換えられ、クリエイティブや意思決定の可能性をぐっと広げることができる。 

では、“今よりいい場所”とはどのようなものか。橋口は、「人権の適用範囲が広がり、人権がより守られる状態になっていくこと」だと考えている。Netflixでは多様性を重視し、実際にキャストやスタッフにおける女性や有色人種の比率を高めている。

世界的なヒットを生んだ「イカゲーム」は韓国発の作品。アメリカの企業が韓国の俳優・スタッフで韓国を舞台にしたドラマを作りヒットしたというのは、まさにクリエイティブ・エシックスの好例だ。

また、パーソナルケアブランドのDoveは23年、行き過ぎたルッキズムに疑問を投げかけるキャンペーン「Reverse Selfie」を展開。テレビCMでは、画像加工でつくられた不自然な美女が逆再生され、健康的な少女に戻っていく様子が描かれた。Doveは早くから多様性を重視した企画を実施し、23年の業績が過去10年以上で最高の成長を達成している。

こうした事例は日本でも増えてきているが、世界的に見ればまだその存在感は薄い。「日本のクリエイターたちも今後、世界を今より良い場所に変える原動力となるでしょう」。 


はしぐち・ゆきお◎電通クリエイティブ・ディレクター、コピーライター。代表作は、伊藤忠商事「キミのなりたいものっ展?with Barbie」、世界えん罪の日新聞広告、キリンファイア「心燃やせ」など。DEI専門クリエイティブ・チームBORDERLESS CREATIVE主催。

文=三ツ井香菜

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事