世界で戦う日本のスタートアップが増えている。しかしその存在感は依然、グローバルでは限定的だ。何が問題なのか。
JIC(産業革新投資機構)が2025年4月に発表した調査結果によると、日本の時価総額上位100社のスタートアップのうち約6割が何らかの形で海外進出を果たし、約2割に海外進出の予定があることが分かった。日本政府も「スタートアップ育成5か年計画」で投資額を2027年までに10兆円に拡大することを明らかにし、将来的には100社のユニコーン創出を目標に支援を進めているが、達成までの道のりはほど遠い。
本稿では、2026年1月27日〜29日、名古屋市で開催されたグローバル・イノベーションフェスティバル「TechGALA Japan」で、グローバル投資家のCoral Capital 創業パートナー澤山陽平氏と、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナーの今野 穣氏が登壇したセッションをレポート。
二人は、SBIインベストメント取締役執行役員 CVC事業部長の加藤由紀子氏によるファシリテーションのもと、日本のスタートアップが世界で成功するために欠かせない戦略やグローバル進出のタイミング、国内エコシステムへの期待などについて語り合った。
ついに「1億ドル投資家」が日本で本格始動
澤山氏は近年、日本のスタートアップを取り巻く状況について、海外投資家からの投資が増加傾向にあると語り、その象徴的な事例として、クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRを挙げた。
Coral Capitalが(前身の500 Startups Japan時代)シリーズAから投資してきた同社の株式を、ニューヨークの大手グロース・エクイティ投資会社、ジェネラル・アトランティックが2025年11月、1億ドル(約146億円)で取得した。Coral Capitalが保有する一部株式の譲渡によるもので、投資家間で売買するセカンダリー取引としては、日本で最大規模となった。ジェネラル・アトランティックはその2年半ほど前から日本での投資先を探していたが、同社が望む投資規模に見合う企業がなかなか見つからなかったという。
「1発で1億ドルの投資を行う投資家が、ようやく日本でも動き始めた。この動きは加速していくと思います」(澤山氏)

SmartHR は、2015年11月にサービスをローンチ後、シリーズA、Bでは国内VCのみから資金を調達。シリーズCで海外投資家からの資本を入れ始め、Dラウンドではハイテク株に重点投資するカリフォルニアのLight Street Capitalがリードインベスターを務めるように。カナダのオンタリオ州教職員年金基金(OTPP)や米大手投資会社のKKRがリード投資家に名を連ねる現在のEラウンドまでに、段階的に海外投資家からの資本比率を高めていった。
SmartHR はそれにより、事業の成長段階に合わせてより大きな資本へのアクセスを可能にしただけでなく、グローバル基準での評価獲得や海外投資家がもつネットワーク、経営ノウハウなどの恩恵を受けられる環境を着実に手に入れていった。澤山氏は、同社のそうした資本政策は、日本のスタートアップがグローバル化を進める上で有効な戦略だと評価した。



