「根拠なき楽観論」で世界を獲れ
日本のスタートアップが海外で戦うためのエコシステムの変革について、両者は持論を展開。今野氏はまず日本の大手企業の動きに注目し、「データを見ると、2025年はCVCに元気がないように見えました。でも実は、事業会社本体による提携や買収が増えている。その流れを加速していってほしい」と期待を述べた。
そして、米ビッグテックの売上が日本のトップ企業を大きく上回っていることに触れ、日本のスタートアップ1社がそれらと単独で戦うより、まとまって戦った方が勝ち筋が見えやすいとの考えを明らかに。「かつて日本の自動車産業が世界を席巻したとき、あらゆる銀行、政府系金融機関が資金提供を行いました。今も日本が一丸となり、クロスセクターで臨むことが必要です」と語り、グローバルで勝てる可能性があるスタートアップに国内の資本を寄せていく必要性を説いた。
澤山氏は、「日本のスタートアップをアメリカに送り出すだけでなく、アメリカのスタートアップを日本に連れてくるべき」だと主張。その理由として、技術のトレンドがAIからフィジカルAIへと移行している背景を挙げた。アメリカで製造業が弱体化する一方、日本では依然、ものづくりを強みとしている。そのため、日本の大企業と手を組みたがっているアメリカのスタートアップが多いと澤山氏は説明。
Coral Capital ではそのマッチングをすでに始めており、それが盛り上がってくると、アメリカのスタートアップ人材が日本のスタートアップにも流れ込み、日本のエコシステムが活性化するサイクルができ上がっていくだろうとの見込みを示した。
「スタートアップのエコシステムをもっと拡大解釈すべきです。日本で閉じるのではなく、もっと広く捉えていい」(澤山氏)。

最後にふたりが口を揃えたのは、「日本人の自信の無さ」についてだった。アメリカ人の共同創業者を持つ澤山氏は、アメリカ人の強さの理由について、ベースに『根拠なき楽観論』があるが、日本人には『根拠なき悲観論』があるとし、次のように呼びかけた。
「今、地政学的変化の中で日本への注目は高まっており、日本の技術や強みを求める海外企業は増えています。だからこそ、私たちはもう少し楽観的になっていい。イノベーションを起こしていくためには、日本はまだまだやれるという気持ちでチャレンジしていくことが大切です」(澤山氏)
今野氏は、「日本人ほど自分たちを過小評価してしまう人々を知らないですが、一つでもいい事例ができると自己評価が上がるはず」とコメント。そして「日本のスタートアップが世界で成功するためには、資本や行政など、あらゆる助けを借りて戦うことが重要です。今、日本の価値は見直されており、自信を持って我々と一緒に世界で勝てる会社を作っていってほしい」と力を込めた。


