経営・戦略

2026.03.10 11:17

スピードは完璧な計画に勝る──果物卸売業が教えてくれたビジネス戦略の真髄

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私が得た最も価値あるビジネス戦略の教訓の1つは、教室で学んだものではない。両親が営む果物の卸売業を通じて、私の中に深く刻み込まれたものだ。傷みやすい商品を扱うなかで、私たちは素早く売り切る重要性を教えられ、時には完璧な計画よりも実行が重要だと学んだ。

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この教訓は、その後のヘルスケア業界でのキャリアを通じて大いに役立った。そして今日、この教訓はかつてないほど価値あるものになっていると私は確信している。人工知能(AI)やその他の破壊的テクノロジーが台頭するなか、あらゆる業界が加速度的な変化に直面し、迅速な行動が求められている。卸売業であれヘルスケアであれ、業種を問わず、スピードは強力な競争優位性となる傾向がある。

家業で育つ:果物販売から得た教訓

果物ビジネスは家族の生活そのものであり、家族全員が働かなければならなかった。きょうだいと私は市場へ行き、別の町まで行く必要があるときは、政府のトラックに飛び乗った。昔ながらのUberのようなものだ。運転手にわずかな料金を払い、果物のかごを携えて目的地まで送ってもらうのだ。仕事をするうちに、私たちは回転の速さの重要性をすぐに学んだ。

熱帯果物は特に傷みやすく、1日か2日以上置いておくと腐って価値がなくなる。市場の日に売れ残りがあると、腐る前に在庫を一掃するため、すべてを安値で売り払った。家に帰ると、父はよくこう言ったものだ。「そんなに安く売ったのか──だから全部売れたんだな!」。しかし果物が傷む「期限」が迫っているとき、腐らせて一銭も稼げないより、売っていくらかでも稼ぐほうがましだと私たちは分かっていた。

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新型コロナウイルスのパンデミック:幼少期の教訓が現代の危機と出会うとき

マレーシアの市場で果物を売りながら叩き込まれた回転時間の重要性に対する理解は、今も私のビジネスの進め方に影響を与えている。ときには、まず実行し、後から最適化するほうがよい。そして多くの場合、このスピードこそが、競合から抜きん出るために必要な競争優位性を生み出すのだ。

このビジネス戦略の教訓の価値が明確になったのは、新型コロナウイルスのパンデミックのときだった。危機の規模を認識するやいなや、私のヘルスケア事業は直ちに新たな検査施設を稼働させた。これにより、競合他社がまだ規模拡大に苦戦している間に、追加の契約を獲得することができた。

現代のビジネス戦略は変化に追随しなければならない

ポロの競技場からマレーシアの市場まで、現実世界は私にビジネス戦略に関する多くの貴重な教訓を授けてきた。熱帯果物の卸売のような傷みやすいビジネスにとって、完璧な計画はぜいたく品であり、手が届かない。同じことは、新技術やAIによるディスラプション(破壊的変化)によって加速する、増え続ける変化の速度に直面するあらゆる業界にも当てはまる。

PwCの2024年グローバル・ワークフォース調査によれば、労働者の62%が、過去1年だけでも職場での変化のペースが加速したと答えている。しかもこれは、AIによるディスラプションが本格的に勢いを増す前の話だ。この文脈を踏まえれば、ためらいの代償がこれほど高かったことはない。賢明なビジネスリーダーは、昨日の戦略が今日の腐った果物になる前に、素早く動くべきだと知っている。

forbes.com 原文

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