米イスラエル軍と戦うイランのシーア派政権を支持しているのは、イエメンの親イラン武装組織フーシ派やレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラといったイランの代理勢力だけではない。イランの同盟国、特に中国とロシアが大きく影響している。中でも、イランにとって最大の後ろ盾はロシアだ。
2月28日に米国とイスラエルによる攻撃を受け、イランはアラブ諸国に報復攻撃を仕掛けた。これに伴い、原油価格が乱高下している。
これまでのロシアの対応は控えめだが、最終的には戦略的に重要な意味を持つだろう。これは、昨年1月17日にイランとロシアが調印した包括的戦略パートナーシップ条約の最初の大きな試金石となる。同条約は、両国の長期的な政治、経済、安全保障上の協力を約束するものだ。ロシアはこれまで、イランの弾道ミサイルや核開発計画を支援し、武器を供給してきた。一方のイランはロシアの制裁回避を助け、ウクライナ侵攻に使用するドローン(無人機)を強化するなど、両国は長年にわたり良好な関係を築いてきた。
中心的な問題はもはや、イランとロシアの政権が西側諸国に対する不満を共有しているかどうかではない。両国は当然、不満を共有している。問題は、条約を通じて公式化された両国の同盟関係が、現在のストレステストに耐え得るかどうかだ。優先事項の相違と米国の武力攻撃は、両国の計画を芽のうちに摘み取ってしまうのだろうか?
制限付きの軍事協力
イランとロシアの包括的戦略パートナーシップ条約は、両国が過去数十年にわたり築いてきた協力関係を制度化したものだ。本条約は、2国間関係を包括的戦略パートナーシップへと格上げし、外部からの脅威に対する抵抗を中核原則としている。ロシアが西側市場から孤立する中、イランとロシアは既に核開発分野での協力を拡大していた。以前は戦術的だったものが戦略的になったが、これによってイランとロシアの異なる思惑から生じる摩擦がなくなるわけではなかった。米イスラエルとイランの現在の対立は、こうした隔たりを埋めるどころか、むしろ拡大させている。
ロシアの防衛産業はウクライナ侵攻の継続に注力しており、輸出義務を果たすのは困難だ。イランが受け取ったロシア製の軍事機器は二流品と見受けられる。ロシアがウクライナ侵攻に不可欠な軍事装備の確保を優先する中で、イランはロシアの先進機器の無制限な入手を前提とすることはできない。つまり、軍事力の移転は選択的、段階的、かつ政治的に調整されたものなのだ。
過去20年間にロシアからイランに輸出された地上配備型防空システムは膨大な量に上るが、これらはまさに現在展開されている形の攻撃を阻止するために設計されたものであるにもかかわらず、全く効果がないことが明らかになりつつある。ロシアが誇るS200、S300、S400防空システムは、西側の航空戦力の前では無力であることが露呈している。恐らくロシアからの技術移転で開発されたとみられるイランの「ババル373」システムも同様だ。



