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2026.03.10 11:00

同盟国イランに対するロシアの控えめな態度は何を意味するのか?

トルクメニスタンで会談するイランのマスード・ペゼシュキアン大統領(左)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2025年11月12日撮影(Iranian Presidency/Anadolu via Getty Images)

ロシアは、たとえそれが自国通貨のルーブル中心ではなく中国の人民元中心の体制につながるとしても、国際経済の脱ドル化を望んでいる。イランがロシア関連の金融通信システムへの統合を深化させることで、欧米主導の決済網への依存度が段階的に低下する可能性がある。しかし、ロシア経済自体の規模が小さく孤立していることから、提供できるものの規模は限られている。

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たとえイランが米国のドナルド・トランプ政権との合意なしに現在の紛争を乗り切ったとしても、それはドル離れや既存の国際機関の崩壊を意味するものではない。それは、選択的な通貨の多様化と西側諸国の圧力を複雑化する並行貿易経路など、段階的な分断化を示唆している。イランの政権が降伏または崩壊した場合、後継政権はロシアとの関係を縮小する可能性が高い。

イラン支援に対するロシアの慎重な姿勢

2月28日の米イスラエル両軍によるイランへの攻撃を巡り、ロシア外務省は主権と国際法の侵害だと非難し、緊張緩和を呼びかけた。同省は中東地域全体の不安定化のリスクを強調し、紛争を拡大させる行動に対して警告を発した。

だが、これは恐怖よりむしろ笑いを呼び起こした。ウクライナ人はロシア人が国家主権の神聖さについてどう考えているのかを十分に知っているからだ。他方で、ロシアの外交にありがちな大げさな脅しは特に見られなかった。同国は、直接的な軍事介入の用意があることを示唆しなかった。代わりに、ロシアはイランに対する支援の言葉は示しつつ、関与を避けた。

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この姿勢は戦略的な慎重さと能力不足の両方を示している。ロシアはウクライナ侵攻に注力し続けており、イランを巡って米国やイスラエルと対立することにほとんど関心を持っていない。自制することで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はトランプ大統領とのウクライナを巡る交渉を有利に運ぶことができるかもしれない。

原油価格の上昇を踏まえると、イランを巡る紛争はロシア経済に追い風となり得る。イランを外交的に支援することで、ロシアは自国の軍事的足跡を拡大することなく、条約上の義務を履行している。少なくとも口先だけでも条約に従っている。

ロシアの現在の姿勢は、自国がウクライナに勝利できない状況で、戦闘に直接関与することなくイランを政治的に支援することを意図している。変動する国際秩序の中で、慎重なパートナーシップは正式な軍事同盟より重要な役割を果たす可能性がある。イランとロシアの条約は、圧力を吸収し、影響力の多様化を図り、無制限の関与なしに対立を管理するための柔軟な取り決めだ。また、これはロシアにとってはるかに有利な、不平等な協力関係でもある。現時点では、イランとロシアの条約が何を規定していようとも、両者の連携は相互の利益によって結ばれた、運用上かつ暫定的なものであり、ロシアと米国の核大国対決につながる恒久的な義務ではないことが示されている。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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