イランはウクライナとともに、ロシアと中国の兵器に対する西側諸国の兵器の最大の試験場となっている。これまでのところ、結果は明らかだ。標準以下の防空システムにとどまらず、イランとロシアの軍事協力の最も重要な要素の1つは、イラン国内にロシアの最新式の電子戦システムが配備されたとの報告だ。報道によれば、ロシア製電子戦プラットフォーム「クラスハ」の派生型が現在イランで運用されているという。だが、結果は芳しいものとは言えない。イスラエルの情報機関はこれらのシステムを厳重に監視し、潜在的な運用上の影響を評価している。
クラスハは空中早期警戒機や偵察プラットフォーム、特定の衛星連動能力を妨害するよう設計されている。電子戦は飛来する弾薬を迎撃するのではなく、精密攻撃を可能にする情報アーキテクチャーを標的とする。レーダーや標的ネットワークが部分的にでも劣化すると不確実性が生じ、運用の複雑さが増すことになる。
ロシアにとって、軍事技術の移転は戦略的関係を強化し、市場を開拓するものだが、同国は今や挫折を味わっている。イランにとって、ロシア製のシステムを統合することは、ロシア軍の直接的な展開を必要とせずに防衛力を強化することになる。実際には、ロシア製システムには保守、訓練、予備部品、改良が必要だが、ウクライナ侵攻に伴う負担により、ロシアはこれらを十分に供給できていない。しかし、それすらも、イランが運用するロシア製システムの性能不足を完全には説明していない。
エネルギー資源と経済的な対立
イランとロシアはともに主要なエネルギー資源輸出国であり、重複する市場で競合している。両国とも西側諸国から制裁を受けているが、ロシアは現在、ペルシャ湾岸地域での戦闘により高騰した原油価格から利益を得ている。したがって、同国はイランに対する制裁解除を望んでいない。イランはロシアと同様、トルコや欧州向けにパイプラインで天然ガスを供給することができるほか、日量最大600万バレルの原油生産能力を有し、うち日量450万バレルを輸出できる潜在力を持つ。これにより、原油価格は1バレル50~60ドル台となり、ロシアの多くの油田が採算割れとなる。イランの次期政権が輸出拡大と制裁緩和を求める場合、同国の国際市場への再統合を促進する動機は、ロシア側にはない。
現在の状況下では、ロシアはイランを犠牲にして直接的な利益を得ている。イラン産原油が港に滞留し、イランがホルムズ海峡経由の原油輸送を阻止しようとしている一方で、ロシアは原油輸出を継続することができる。ロシアは制裁により西側諸国に直接輸出できないとしても、インドやトルコなどの買い手への供給を継続するだろう。


