アイスクリーム頭痛が、痛みの回路について教えてくれること
実体験からすでに気づいている人もいるかもしれないが、誰もが同じ強さでアイスクリーム頭痛を体験するわけではない。まったく痛みを感じないように見える人もいれば、どんなときにも、あるいは、軽い寒冷刺激にさらされたときでさえ、感じる人もいる。こうしたばらつきを説明できそうな生物学的要因はいくつかある:
・三叉神経感度の個人差。温度や痛みを感じる受容体の敏感さは、人によって異なる。
・血管調節機能の差。血管がどれくらい素早く拡張・収縮するかの違いは、痛覚反射の強度に影響する可能性がある。
・摂取のスピード。アイスクリーム頭痛が最も起きやすいのは、冷たいものを急に摂取したときだ。ゆっくり摂取すれば、神経のショックを和らげられる可能性が高い。
遺伝的な決定要因は特定されていないものの、痛みに対する敏感さや神経の反応性は、人によって大きく異なる。注目すべきは、それと同じ要因が、全般的な頭痛の起きやすさの差の根底にあることだ。
信じがたいかもしれないが、アイスクリーム頭痛の研究は実際のところ、夏に体験する小さな頭痛にとどまらない、もっと広い意味合いを含んでいる。具体的に言えば、研究者が以下のようなことを知る手がかりになる:
・温度受容体と痛みの経路がどのようにつながっているか
・頭部の関連痛における三叉神経の役割
・血管の変化が侵害受容(痛みの感知)を引き起こす仕組み
・頭蓋顔面痛症候群における翼口蓋神経節の役割
さらに言えば、翼口蓋神経節は群発頭痛にも関わっており(これは、身体を衰弱させる痛みの症状だ)、治療法研究のターゲットになっている。アイスクリーム頭痛のような単純な現象の研究は、末梢の感覚と中枢の痛覚認知とをつなぐ神経回路に関する神経科学者の理解を深める上で役に立つのだ。
そんなわけで、次にスプーン山盛りのアイスクリームで額に痛みが走ったときには、これを思い出そう――あなたは今まさに、進化によって磨きをかけられてきた、神経と血管が織りなす複雑な反射を感じているのだということを。


