先日、元クライアントの1人(仮にエドとする)と近況確認の打ち合わせをした。彼は通話の冒頭から、自分がいかに「狂ったように忙しい」かを自慢してみせた。数分遅れて現れ、直前のチームミーティングのせいだと強い口調で遅刻を正当化した。エドにとって物語は明快だった。チームが時間管理をできていない。いつも遅れを取り続け、ただ業務を回すためだけに彼が絶えず介入しなければならない、というのだ。
私は注意深く耳を傾けた。圧倒されているという彼の感情を受け止めた。次に、コーチングの「蜜月期間」をたいてい終わらせる問いを投げかけた。「チームの時間管理の問題において、あなたはどんな役割を果たしているのですか?」
沈黙。
職場文化と人材定着に関するコンサルティングの仕事を通じて、私は一貫したパターンを見出してきた。リーダーが組織的な摩擦を他者のせいにすればするほど、本人がその主因である可能性が高いのだ。多くのリーダーは自分の自己認識が高いと信じているが、研究は一貫して、リーダーが自分の影響をどう捉えているかと、チームが実際にそれをどう経験しているかの間に「自己認識のギャップ」があることを示している。
時間は有限であり、チームがそれを管理できるかどうかは、受けているリーダーシップの質と直接相関する。あなたのチームが常に「遅れている」なら、あなたは次の4つのリーダーシップの罠のいずれかに陥っている可能性が高い。
1. 明確な優先順位を伝えられていない
従業員の86%が、職場の失敗の主因として不十分なコミュニケーションを挙げている。効果的なコミュニケーションを行っている企業は同業他社を上回る業績を達成する可能性が3.5倍高い一方で、コミュニケーション不足は企業に対し、従業員1人あたり年間推定1万2000ドルのコストをもたらす。研究はまた、このリーダーシップのギャップが、人材流出により組織に年間1800億ドルの損失を与えていることを示している。
チームで時間を効果的に管理するには、優先順位が明確でなければならない。つまり、チームが思い出せて自分ごととして引き受けられる、扱える数の優先事項(理想は3〜5つ)が必要だ。チームと優先順位を設定する際は、双方向のやり取りであることが重要で、実務上その優先順位がどのような姿になるかを共に作り上げる機会を持つべきである。優先順位をチーム側の視点で言い返してもらい、最後に「今日、何をやると約束したか」で締めくくって、優先順位を再確認する。
対処法:エドの場合、チームに対してあまりにも多くの優先事項を設定していたことに気づき、どれにも集中しづらい状況を作っていた。すべてが優先事項のように感じられ、結果としてどの優先事項にも集中できなかったのだ。圧倒されていたのは彼だけではない。チームもまた圧倒されていた。
2. 権限委譲ができず、邪魔をしてしまう
Workhumanによれば、2024年に退職した人の24%がマイクロマネジメントを主要な理由として挙げた。またMIT Sloanは、従業員の40%が、上司は自分の業務遂行能力を信頼していないと感じていることを明らかにしている。
人は自分が最高の仕事をできると信頼されたい。権限委譲は信頼を築く強力な手段である。リーダーが委譲する際は、優先順位が明確であり、担当者が自分の言葉で言い返していることが重要だ。そのうえでリーダーは口を出さず、優先事項を満たすために必要な作業を進める空間と時間を与えなければならない。
私は権限委譲を航空管制に例えている。あなたの仕事は飛行機を操縦することではない。操縦するのはパイロット、ここではチームである。あなたの仕事は、彼らが安全に任務を遂行できるだけの情報を確保することだ。チームが優先事項を明確に言語化でき、完了に必要なステップを理解している限り、リーダーの役割は支援し、邪魔をしないことである。
対処法:エドはこれに驚いた。彼自身、キャリアを通じてマイクロマネジメントを受け続けてきたため、リーダーとして頻繁にチームの仕事へ再介入するのが自分の役目だと思い込んでいた。頻繁に状況確認をし、信頼して任せる代わりに彼らの仕事をやってしまうことで、自分が苛立ちの原因になっているとは気づいていなかったのだ。
3. アカウンタビリティを確認する「再確認」を行わない
「再確認」は、権限委譲を効果的に行い、チームの時間を先回りして管理する強力なツールである。再確認とは、会議の後に行う会議だ。明確な優先順位が設定され、適切な委譲の境界が引かれているなら、チームに進捗確認をするのは妥当である。理想的には、この確認プロセスがどのような形になるかについて、事前に相手の許可を得ている状態だ。メール、正式な会議、メッセンジャーのメモ、歩きながらの会話など、方法はさまざまである。
再確認とは、担当者が優先事項に向けてどう進んでいるかを把握するための、シンプルなコミュニケーションである。リーダーとしては、追加の支援や明確化が必要か、あるいは抱えている課題について単に吐き出したいのかを知りたい。私が最も好むコーチングの質問の1つは、「あなたにとって支援とはどのような形か?」である。引いて耳を傾け、あなたが提供したい支援ではなく、相手が必要としている支援を提供することだ。
対処法:エドはこの戦略を気に入った。彼はチームにアカウンタビリティを求めるために突発的なミーティングを必死にスケジュールしていたが、それはおそらく「支援」というより「尋問」のように感じられていた。チームの視点で時間管理の問題を俯瞰できたことで、再確認の連絡について事前に許可を取り、1週間前に先回りして予定を入れておくほうが、自分の忙しさの問題を和らげると気づいたのである。
4. 問題における自分の役割を認めない
対処法:エドが俯瞰するのは容易ではなかった。チームの時間管理の問題を自分が引き起こしていると認めるのは気が進まなかったのだ。彼は自分の役割を受け止め、問題を認めるためにチームを集めた。
チームは彼の率直さに驚いた。彼らは安心させ、彼が作り出していたストレスについては笑いもこぼれた。彼らは、自分たちが最高の仕事をするうえで信頼されていないと感じていたこと、また自分のカレンダーをコントロールする裁量がないと感じていたことを認めた。いざ作業を始めても、頻繁に中断され質問されるため、自信やタスクをやり切る力そのものを疑うようになっていた。圧力が強まるほどパフォーマンスが悪化するという悪循環が生まれていたのである。
リーダーとして、問題における自分の役割を認めるのは決して容易ではない。しかし、脆弱性はほぼ常にチームから返ってくる。次のチームミーティングを観察者として眺めるつもりで、俯瞰してみよ。正直に言って、何をもっと良くできただろうか。優先順位を明確にしたか。委譲して邪魔をしなかったか。再確認して進捗を確かめたか。
次に、チームが時間を管理できないことを責めたくなったら、鏡を見よ。時間管理の問題は「1日の時間が足りない」ことではなく、上からの明確さと信頼が欠けていることにあるのかもしれない。



