スタートアップ

2026.03.09 12:49

女性CEOの報酬は男性並みに、しかし「所有」では依然大きな格差

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長年、スタートアップにおけるジェンダーと公平性をめぐる議論は、賃金を中心に展開されてきた。とりわけ、報酬体系が非公開で交渉されることの多いベンチャー支援企業では、賃金格差の是正が進歩の主要な指標とみなされてきた。だがJ. Thelander Consultingの最新データは、こうした焦点が不十分である可能性を示している。昨年の分析では、報酬データがベンチャーキャピタルおよびプライベートエクイティ企業全体で報酬の透明性向上に寄与していることが明らかになった。今年のデータは、公平性の次なるフロンティアが賃金ではなく「所有(持ち分)」にあることを示唆している。

業界全体で見ると、女性CEOは現金報酬だけでなく株式参加の面でも着実な進歩を遂げている。多くの分野で、賃金改善と並行して所有の格差も縮小しつつある。

しかし、ベンチャー支援イノベーション領域でも特に資本集約的でリスクの高いライフサイエンスでは、状況はまったく異なる。ここでは女性が報酬面で追いつきつつある一方、所有では依然として大きく遅れているように見える。

業界横断で進む前進

スタートアップ全体では、データが均衡へ向かう動きを示している。女性CEOは男性の同職と同等の報酬水準に到達するケースが増えており、場合によっては株式参加の格差も縮小しつつある。

これは、プライベート市場における透明性の高まりというより大きな変化を反映している。ジョディ・テランダーが約30年前に自社を創業した当時、役員報酬の信頼できるベンチマークは稀だった。いまや報酬データへのアクセスは向上し、創業者やエグゼクティブは市場の文脈を踏まえて交渉に臨みやすくなっている。

同社COOのモーガン・テランダーによれば、創業者たちは報酬の議論を認識ではなくデータに基づける傾向を強めているという。「投資家のところへ市場データを持って行き……『自分の会社のように、X額を調達している企業の市場データがここにある』と言うのだ」

「感情的な会話ではない」とCOOは続け、「データ主導の会話だ」と語った。CEOも「(調査に)参加すれば、データは無料で手に入る」と付け加えた。こうした変化は、女性が賃金だけでなく所有でも前進する助けとなっている。ベンチャー支援企業において長期的な富を生むのは現金ではなく株式であることを踏まえれば、これは重要な進展である。

ライフサイエンスは別の物語を語る

一方、ライフサイエンス分野はより複雑な現実を突きつける。1500万ドルから8990万ドルを調達する企業では、CEOの現金報酬中央値がいまや実質的に同水準となっている。女性は40万ドル、男性は39万9500ドルである。

しかし所有は、依然として均衡からほど遠い。この層では男性創業者が創業者持ち分の最大81%を保有し得るのに対し、女性の最大は30%にとどまる。

言い換えれば、ライフサイエンスでは女性が収入の面で均衡を達成しつつも、影響力ではそうなっていない。

そしてこの分野では、所有が決定的に重要となる。バイオテックや医療機器企業は流動化イベントに至るまでに年単位の時間を要することが多く、長期的な成果は年次報酬よりも株式参加に左右される。

なぜ株式が長期的な結果を左右するのか

株式は、スタートアップのリーダーが長期的な成功に関与する主要なメカニズムである。給与は即時の収入をもたらす。所有は、買収や株式公開、そして継続的な価値創造の恩恵を誰が受けるかを決める。

テランダーのCOOはこの違いを強調し、株式は「非公開企業のあらゆるエグゼクティブ、特にCEOにとって、本当に最大の富の創出要因だ」と述べる。

イグジットまでの時間が長く、必要資本が大きい分野では、所有のわずかな差が時間とともに大きな格差へとつながり得る。

「トレードオフ」思考

データだけでは、ライフサイエンスで所有格差が残り続ける理由を十分に説明できない。

行動面および構造面の要因も関係しているようだ。テランダーのCEOは、女性が報酬交渉に臨む際、暗黙のトレードオフを抱えがちだと指摘する。「ここで本当に起きているのは……女性が現金と株式の間に何らかのトレードオフが必要だと、いまだに考えていることだと思う」と彼女は言う。「男性は両方を求める可能性が高い」

同社COOは、この力学を資金調達の現実と結びつける。資本集約型の分野では、女性創業者が会社の資源を温存するために、個人の報酬や持ち分を低く受け入れる圧力を感じるのかもしれない。

「それは資金調達の状況にも当てはまると思う。女性は資本を調達するのがより難しかった。そのため、自分の現金を犠牲にして会社のより大きな善に充てなければならないと考えるのだ」と彼女は説明する。

しかし、とりわけ創業者にとって、株式は妥協されるべきではない。

所有と影響力

株式は金融的な意味にとどまらず、影響力を形づくる。所有はガバナンスや戦略の方向性、そして最終的には企業の成功の恩恵を誰が得るかに影響する。

賃金格差の是正は、主として社内の意思決定である。所有格差の是正は、投資家の期待、資金制約、交渉上の圧力をくぐり抜ける必要がある。

テランダーの創業者はこう述べる。「CEOとして資金調達をしようとしていて条件が厳しいなら……それは交渉だけではなく、市場要因でもあると思う」

所有が最も重要となるセクター

ライフサイエンス分野は、報酬格差が縮小しても所有格差が残り得る理由を示している。

より長い開発サイクル、繰り返される資金調達ラウンド、そして投資家の影響力の強さが、希薄化が起きやすい環境を生む。こうした状況では、所有が長期的な結果を左右する主要な決定要因となる。

業界全体では、女性CEOは報酬と所有の双方で前進している。ライフサイエンスでは、賃金の進展がいまだ株式の均衡には結びついていない。

スタートアップのジェンダー格差は、もはや主として賃金で定義されるものではないのかもしれない。所有が結果を左右する分野では、それは「誰が何を所有しているか」によって、ますます定義されていく。女性は、自らの持ち分と影響力を高める局面にある。

forbes.com 原文

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