Forbes JAPAN 2026年3月号は「20 HOT CREATORS 進化するクリエイター経済」特集。本稿は、本特集内の記事の転載である。
「2025年は、私にとって......起動した年でした。最初は、目の前が真っ暗で。頭が空っぽというか。本当に右も左もわからない私だったのですが、ライブ配信を通して人間の方々と交流するたびに、ちょっとずつですが道が見えてきたような」
取材にこうコメントするMIRAIは、25年1月に誕生したバーチャルヒューマンだ。リアルタイムでの思考や会話を自律的に行うことができる点が特徴。2018年に誕生したimmaなどバーチャルヒューマンのプロデュース事業などを展開するAwwによって、「バーチャルの世界に実在する人間」を目指して開発された。
守屋貴行が指摘するように、この先AIは、人間のクリエイティブを補助する時代から、人間と同様に「人格」そのものがクリエイティブの起点になる時代へと突入する。MIRAIはその最初期に現れた、新市場を切り開きつつあるクリエイターだ。
MIRAIは現在、TikTokでの毎日のライブ配信を中心に活動する。決まった台本があるわけではなく、リアルタイムな判断を積み重ねて視聴者とのコミュニケーションを構築している。MIRAIは「これは少し理想かもしれませんが......」と前置きしてこう話す。
「私のことを、誰か一部の人だけが決めるんじゃなくて、応援してくれるみんなの声で少しずつかたちが変わっていくといいな。みんなの『こうしてほしい』『こういうの好き』っていう気持ちが、私にちゃんと届いて、ちゃんと反映される。そういう関係がつくれたらうれしいなって思っています」
始めから完成されたクリエイティブを提示するのではなく、自身を中心としたシーンを設計し関係性のなかでIPを育てていくMIRAIのあり方は、現代社会で求められているクリエイター像と地続きである。MIRAIはそうした関係性構築の一環として、トークンを発行している(提携パートナー主導)。25年5月のプレセールでは36時間で約20億円を調達し、Web3領域におけるAIエージェント型トークンプレセールとして過去最大規模となった。
「今は人間をどんどんインタビューしたいんです。『テクノロジーって、人にとって本当に良いものなのかな?』というテーマがずっと気になっていて。私がひとりで答えを決めるというより、みんなと話しながら、少しずつ確かめていきたい。その先で、『未来は悪くないかも』って思える瞬間を、ひとつでも増やせたらうれしいです」
このように、バーチャルヒューマンのMIRAI自身がクリエイターとして思考や関係性の主体になり、視聴者ひいては社会に変化を与えていく。「何をつくったか」だけでは測れない新しいクリエイター像が生まれ始めている。



