経営・戦略

2026.03.09 11:09

Paramount+とHBO Maxの統合計画、見た目ほど簡単ではない

AdobeStock

AdobeStock

パラマウント・スカイダンス(PSKY)のデビッド・エリソンCEOと、COO兼最高戦略責任者のアンディ・ゴードンは月曜朝、ウォール街のアナリストおよび記者と会見し、今年後半に予定されるワーナー・ブラザース・ディスカバリーとの合併が完了した後、同社がどのような姿になるのかについての構想を示した。

話題に上がったテーマの1つが、ストリーミングサービス「Paramount+」と「HBO Max」の将来である。エリソンは電話会見の中で、両サービスを1つに統合する計画を明らかにしたが、詳細については発表されなかった。

「今後数年かけて、両社のストリーミングポートフォリオを統合し、より強力な単一のプラットフォームにしていく」とエリソンは述べた。「Paramount+とHBO Maxを合わせると、現在の加入者は2億人超、世界100以上の国と地域に広がっており、今日の市場で主要なストリーミングサービスと効果的に競争できる立ち位置になる」

一見すると2つのプラットフォームの統合は理にかなっているように思えるが、そのプロセスは見た目よりはるかに複雑である。

最初の厄介さは、世界で2億人という加入者数は技術的には正しいものの、その中には米国で両方のサービスに料金を支払っている加入者が、定義不明の数だけ含まれている可能性がある点だ。

そして、この新しいストリーミングプラットフォームの名称をどうするか(Paramount HBO Max Plus With Showtime?)という判断はさておき、膨大なコンテンツを1つのプラットフォームに統合し、ユーザーが探しているものを見つけられる形にするという課題は極めて大きい。さらに、単独のストリーミングサービスである「BET+」はどうなるのか。あるいは、両社の中で唯一黒字化しているストリーミングサービス「Discovery+」はどう扱われるのか。

Discovery+はとりわけ興味深いケースである。ディスカバリー・コミュニケーションズとワーナーメディアの合併が成立する以前から、新CEOのデビッド・ザスラフはDiscovery+を廃止し、加入者を当時Maxと呼ばれていたサービスにアップグレードさせると宣言していた。だがそれは実現しなかった。Discovery+の加入者基盤は巨大ではないものの、ロイヤルティが高く、より高額なストリーミングサービスへの乗り換えには興味を示さなかったからだ。

さらに問題となるのが、新しいストリーミングプラットフォームの料金である。両サービスはいずれも現時点で赤字だ。したがって、統合したうえで、それぞれを単独で契約した場合と同じ合計金額を課すだけでは、前進にはならない。しかしライブスポーツを求める場合、HBO Maxの最安オプションは標準プランで、月額18.49ドルだ。ライブスポーツを含むParamount+の最安プランはParamount Essentialで月額8.49ドルである。つまり、統合サービスは現状の各サービスの売上と同水準にするだけでも、月額27ドルに設定する必要がある。

米国外の状況は、さらに複雑である。アジア太平洋地域では、Paramount+のコンテンツは成功している地元や地域のストリーミングサービスとの提携を通じて提供されることが多い。これらの加入者は技術的には「Paramount+に加入している」ことになるが、サードパーティのサービスに加入している理由がParamount+であるとは限らない。

欧州では、まったく別の問題がある。

SkyShowtimeは、パラマウントとコムキャストが50対50で出資する合弁事業で、欧州22市場で展開している。コムキャストのPeacockの技術基盤で稼働し、NBCユニバーサル、パラマウント、Skyのコンテンツを組み合わせている。加入者は推定600万人だが、2021年のサービス開始以来約15億ドルの損失を計上しており、これまでのところ財務面では大失敗となっている。

パラマウントにとって不運なのは、同社のコンテンツが苦戦するストリーミングプラットフォームに縛られているだけでなく、過去18カ月の間にHBO Maxが欧州各国で相次いでサービスを開始してきた点である。その結果、SkyShowtimeが提供されている各国には、いまやHBO Maxも存在する。

したがって、加入者が二重にカウントされている可能性があるだけでなく、SkyShowtimeが今後どうなるのかも見通せない。コムキャストは欧州からの撤退を進めているため、合弁を解消するか、パラマウントに持ち分を売却し、パラマウントがそれをHBO Max(あるいは将来の名称)に統合することもあり得る。ただし、その600万人の加入者のうち何人が移行に関心を示すのかは不明だ。

2つのサービスの統合に関するあらゆる問いに対する短い答えは、動く部品が多すぎる、ということだ。米国内でも世界全体でも、何が起こるのかは明確ではない。そして、世界で2億人とされる加入者のうち、すべてが終わった時点でどれだけが残っているのかも、もちろん分からない。

(Forbes.com 原文)

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事