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2026.03.09 10:34

空飛ぶタクシーのアーチャー、2028年ロサンゼルス五輪に向け準備着々

AdobeStock

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2028年ロサンゼルス夏季オリンピックでエアタクシーサービスを提供する見込みの同社は、今年中に旅客サービスを開始し、電動垂直離着陸(eVTOL)機のフリートを拡大するとともに、事業範囲も拡大していく計画だと述べた。

カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くアーチャー・アビエーションは、月曜夕方遅くに2025年第4四半期および通期の決算を発表するのに合わせて、こうした発表を行った。

同社は第4四半期の損失が1億8890万ドルとなり、2024年同期の損失1億2990万ドルから拡大したと報告した。通期の損失は6億1820万ドルで、前年の5億3680万ドルから増加した。2025年末時点の流動性は約20億ドルだった。

アーチャーは損失拡大について、事業成長に向けた支出増によるものだと説明した。具体的には、機体の開発、試験、認証、生産に関連する活動への投資を継続した結果、営業費用が2024年度から2億1990万ドル増の7億2960万ドルとなった。

同社はまた、「グローバルでエアタクシー運航を早期に立ち上げることを可能にする」ため、市場投入戦略および支援インフラへの投資も拡大したと述べた。

今後についてアーチャーは、2026年第1四半期の利払い・税金・減価償却費控除前利益(EBITDA)が1億6000万〜1億8000万ドルの損失になる見通しだとした。

実際、アーチャーの創業者でCEOのアダム・ゴールドスタインは、同社の受注残が豊富で、さらに増えていると述べた。

「受注残は数十億ドル規模で、世界最大級の航空会社7社が当社との提携を選んでいる」とゴールドスタインは月曜午後のウェブキャストで、金融・業界アナリストに語った。「商業面の勢いは確かなものであり、7年にわたって実行してきた認証戦略の上に築かれている」

その点に関連して、アーチャーは複数の節目を報告した。

  • eVTOL機の「適合証明手段(Means of Compliance)」についてFAAの100%受理を達成した最初の企業となった。これは、アーチャーのMidnight eVTOLが耐空性要件を満たすことを示すために用いる、FAAが合意した基準である。
  • Midnightのフリートを増やし、飛行試験プログラムを拡大した。最新機は現在VTOL飛行試験キャンペーンに入り、有人の完全移行飛行に先立って、段階的により高度な試験項目を進めていく。
  • UAEでの有人VTOL運航に向けて順調に進捗しており、同地域で軍事作戦が進行しているにもかかわらず、追加のMidnight機を納入する計画だ。

「現地のチームとパートナーに思いを寄せており、彼らの安全は常に最優先事項だ」とゴールドスタインはウェブキャストで述べた。「状況を注意深く監視し続ける。この不確実性があるにもかかわらず、UAEにおける商業化戦略を迅速に前進させることに集中している」

アーチャーの2025年の決算発表は、同社がイーロン・マスク保有の宇宙機企業スペースX傘下のスターリンクと契約を結んだと発表してから数日後に行われた。

2月27日付の発表によれば、この契約の下でアーチャーは、スターリンクの低軌道衛星インターネットシステムをMidnight機に搭載し、試験を実施する。システムは、Midnightのエアタクシー運航中に高速・低遅延の接続性を提供するよう設計されている。

「このカテゴリーにおける最初のソフトウェア製品を、今年後半に公開する計画だ」とゴールドスタインは述べた。

Archer aircraft in front of Los Angeles Memorial Colisium, a key Summer Olympics venue.

2028年ロサンゼルス夏季オリンピックで選手やVIPなどを輸送するアーチャー・アビエーションの電動垂直離着陸機

Archer Aviation

2028年ロサンゼルス夏季オリンピックに向けたエアタクシーサービス提供の準備状況について、ゴールドスタインは同社が複数の面で前進していると述べた。

「ローンチに間に合わせなければならないのは認証だけではない。インフラ、サプライチェーン、技術的な進捗が同時に収れんすることが重要だ」とゴールドスタインはウェブキャストで語った。「直近の四半期ではホーソーン空港への投資を行い、当社チームが毎日現地に入り、初期の飛行運用やパイロット訓練に取り組んでいる」

アーチャーの電動垂直離着陸機Midnightは、パイロット1人、乗客4人、機内持ち込みサイズの手荷物を搭載でき、最高速度は時速150マイル(約241キロメートル)に達する。

Midnightは垂直に離着陸する一方、飛行は固定翼機のように水平に行う。地理的にはそれほど離れていない移動でも、道路の渋滞によって短時間で済むはずの移動が長い苦行になってしまうケースがある。そうした移動時間の短縮を狙う考え方だ。

これは、アーチャーの主要競合であるジョビー・アビエーションの中核コンセプトとも同じである。

カリフォルニア州サンタクルーズに拠点を置くジョビーは、2025年第4四半期の純損失が1億2150万ドルだったと報告した。2024年同期は、売上高5500万ドルに対し損失が2億4670万ドルだった。

通期では、ジョビーは2024年の6億800万ドルに対し、9億2980万ドルの損失を計上したと報告した。

同社は株主向け書簡で第4四半期の損失について説明し、当四半期の営業費用が2億3760万ドルで、機体の認証と製造を支える費用、ならびに昨年8月に買収したヘリコプター会社ブレード・エア・モビリティの旅客事業の取得・運営に関連する費用を反映していると述べた。

同社はまた、今年中にドバイで最初の乗客を輸送するとともに、ホワイトハウス支援のeVTOL統合パイロットプログラムの一環として米国での初期運用も完了させる見通しだとした。

アーチャーとジョビー、そしてeVTOL業界全体は、ドナルド・トランプ大統領が2025年6月6日に署名した、eVTOLとドローンの商業化加速を求める大統領令により後押しを受けている。

eVTOLに関して同大統領令は、「電動垂直離着陸(eVTOL)機などの新興技術は、貨物配送、旅客輸送、その他の先進航空モビリティ能力の手法を近代化する可能性がある」と述べている。

「今年後半には、ホワイトハウスのeVTOL統合パイロットプログラム(eIPP)の下で米国の都市に、また商業ローンチプログラムを通じてUAEに、追加の有人Midnight機を展開する計画だ」とゴールドスタインは、決算発表に合わせて公表された株主向け書簡に記した。

すべてが計画通りに進めば、2028年のロサンゼルス五輪では、走高跳、走幅跳、三段跳に加えて、電動の垂直離着陸も見られることになるかもしれない。

forbes.com 原文

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