Forbes JAPAN 2026年3月号は「20 HOT CREATORS 進化するクリエイター経済」特集。本稿は、本特集内の記事の転載である。
本特集では、さまざま領域でユニークなIPを生み出すクリエイターたちを一挙紹介。彼ら・彼女らの才能は、エンタメ産業に閉じずに日本経済を拡張させる可能性を秘めている。
大森時生|テレビ東京プロデューサー
2019年にテレビ東京に入社後、行方不明になった女性を捜索する番組「イシナガキクエを探しています」をはじめフィクション(虚構)をドキュメンタリーの形式で提示するフェイクドキュメンタリーシリーズ「TXQ FICTION」などを手がけてきた。24年にはテレビの枠を越え、体験型展覧会「行方不明展」を企画・プロデュース。遺留品や貼り紙といった行方不明者の架空の痕跡を展示することで、映像で演出してきた「不気味さ」を来場者が体感するという新感覚のホラーへと転換した。展覧会はSNSで話題を呼び、累計約18万人を動員。さらに書籍化するなどメディアを横断した広がりを見せ、「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」でACCブロンズを受賞した。25年の「恐怖心展」でも約2カ月間で約13万人を集めるなど、これまで限られた支持層に親しまれてきたホラーを、体験型の展示を通じてマス層に開き、テレビ局におけるコンテンツビジネスの可能性を更新している。
ツミキ|ボカロP、シンガーソングライター
2017年にボカロPとして活動を開始。21年に発表した楽曲「フォニイ」がスマッシュヒットを記録し二次創作動画が多数投稿されるなどして話題になった。ボカロ文化圏に根差しながらも、その表現は次第にシーンを越境し、星街すいせい「ビビデバ」など他アーティストへの楽曲提供やTVアニメのEDテーマの制作など、メインストリームへと広がっていく。個人の感情を起点にした楽曲を制作しながら、それを特定のキャラクターやストーリーに閉じないIPとして成立させるツミキは、クリエイターの自己表現とビジネス的な拡張性を両立させる新しい作家像を提示している。
kiyuu|アートディレクター・3DCGアーティスト

東京を拠点に、ファッションやカルチャー文脈における消費構造、時間感覚、記号性などをテーマに作品を制作。代表作のひとつである回転寿司をモチーフとしたグラフィックシリーズは、日本文化の象徴でもある回転寿司を、衣・食・住が溶け込む現代社会に模して、作品の主要素として取り入れている。SNSを核としたダイレクトな評価システムのなかで自身のクリエイションを磨き上げ、一貫した作家性で話題に。KUROMIアーティストプロジェクトのアートディレクション、NIKEやDIESEL、KEENなどのキービジュアルも手がける。
亀山陽平 |CGアーティスト、アニメーション作家

2022年、映像系の専門学生だった亀山陽平は、卒業制作の短編3DCGアニメ「ミルキー☆ハイウェイ」(3分40秒)をYouTubeに公開。すると、SNSを中心に話題となり総再生回数は785万回(25年12月30日時点)を記録した。監督・脚本・キャラクターデザインから編集まですべての工程をひとりで担ったアニメで、ポップな見た目のキャラクターたちが惑星間の道路をドライブする作品。脱力感のある会話シーンやユニークな世界観に多くのファンが付き、25年7月にはテレビアニメ版『銀河特急ミルキー☆サブウェイ』(TOKYO MX)を放送。同年にはPARCOでの展示やさまざまな企業とのコラボレーションを実施するなど、IPとしても広がりを見せ、26年2月には劇場版の公開も決定した。個人制作の短編が、テレビアニメ、さらには映画へとスピーディに展開するのは異例で、制作体制と表現手法の両面から3DCGアニメーションの新たな可能性を示している。



