美容業界は何十年もの間、ひと握りの巨大企業に支配されてきた。米国だけで年間600億ドル規模(約7兆円)の巨大市場でありながら旧態依然としたこの業界で、女性起業家によるテクノロジーを活用したスタートアップが生まれている。
ここでは先週開催されたフォーブス「アンダー30サミット」に集合した女性起業家らの話をまとめた。参加した起業家は下記の4名だ。
・ヘア・メイクアップのオンデマンドサービスVênsette社代表、ローレン・レミットン・プラット
・美容室の予約プラットフォーム「 StyleSeat」運営者、メロディ・マクロスキー
・コスメ関連のスタートアップ企業「Glossier」代表、エミリー・ウェイス
・美容関係に多くの出資を行うベンチャーキャピタル、Maveron社のレベッカ・カデン
上の4名に加え、司会進行役をキャリー・ハマーが務めた。ファッションデザイナーのハマーがまず注目したのは、3人全員が美容業界のキャリアを持っていない点だ。ウェイスとカデンはジャーナリズム、マクロスキーはテック業界、レミットン・プラットは金融業界の出身だ。
参加者らは女性が積極的にメディアを活用するようになったことが、それぞれのビジネスを後押ししたと口を揃えて言った。ウェイスは、立ち上げたばかりのGlossier社の製品をインスタグラムを通して売り込んだ。
「性を売り物にするのはもう時代遅れ。売れるのは女性が自分を向上することができる製品。信頼性の高い本物だと思います」とウェイスは言った。
資金調達に苦労したレミントン・プラットは、金融業界でのキャリアをアピールすることでVCからの信頼を得たと述べた。「2011年には配車サービスのウーバーも、まだ今ほど普及していなかった。私達のビジネスを理解してもらうまで、かなりの時間がかかった」と彼女は言った。
マクロスキーは、納得のいくヘアスタイリストらに出会うことが難しいという自身の体験からStyleSeatを立ち上げた。「美容のブロは、そもそも起業家なのです。でも、自分を売り込む術を持たないためにビジネスを発展させることが出来なかった」と彼女は言った。
「2011年当時のシリコンバレーでは、資金調達を試みた時、面接の部屋にひとりでも年配の男性がいたら、もうその時点で諦めるしかありませんでした」と、彼女は当時の様子を振り返って言った。(その後マクロスキーは、4000万ドル弱の資金調達に成功している)
ベンチャーキャピタルのMaveron社はコスメ通販のJulepやヘアケア製品のMadison Reedなどに出資してきた。同社に勤務するカデンは、3人の女性起業家らの事業は、まず利用者がファンになり、そこからバイラルでサービスの良さが伝わったと分析した。
「現在は、ベンチャーキャピタルの男性たちが必死で私たちのビジネスを理解しようとしている段階です。美容産業が100億ドル規模の市場だったことは認識できたけれど、マスカラとアイライナーの違いすら未だ分かっていないのですから」とワイスは語った。彼女に言わせればベンチャーキャピタルの男性たちはまだまだ勉強不足なのだ。