資産運用

2026.03.17 17:00

市場の先行きが不安? 主要機関の予測と過去データを整理し、パニック売りを防ぐ

ドバイのホルムズ海峡で、アラブ首長国連邦沖に停泊する商船(Photo by Stringer/Anadolu via Getty Images)

ドバイのホルムズ海峡で、アラブ首長国連邦沖に停泊する商船(Photo by Stringer/Anadolu via Getty Images)

世界情勢が不安定になると、投資家はポートフォリオを大きく見直すべきではないかと考えがちだ。しかし、多くの場合、その判断は得策ではない。地政学的な緊張が高まる局面でも、市場は我々の感情よりもはるかに速いペースで回復する傾向がある。

実際、その不安はすでに投資家の行動に表れている。筆者は先週、引退した友人の1人からポートフォリオをどう守るべきかという相談のメールを受け取った。この友人は、金や米国債、高配当株、石油株、国内外の不動産などに分散投資を行っている。

もちろん、投資家が不安を抱く理由はいくつもある。イランとの地政学的緊張は、原油供給の見通しやエネルギー価格の変動に影響を与えている。実際、ガソリン価格は直近1週間で9%上昇した。防衛やサイバーセキュリティ関連の支出、地域の保険料や海運コスト、そして世界全体のリスク心理にも影響が及んでいる。

不安を理由に株式をすべて売却すべきではないことは、データが示している

しかし、こうした不安を理由に株式をすべて売却すべきではないことはデータが示している。LPLフィナンシャル・リサーチによれば、過去70年間に起きた25件以上の戦争や軍事衝突のケースを分析すると、S&P500指数は平均で約19日後に4.7%〜5%下落したところで底を打ち、その後およそ42日で完全に回復している。

ハートフォード・ファンズによれば、武力衝突が始まってから1年後の時点でS&P500指数が上昇していたケースは全体の70%に達する。また、大きな地政学的ショックの後の1年間の平均リターンは11%を超えている。

高い成果を上げる投資家は、十分な流動性を確保したポートフォリオを構築

地政学的な混乱の中でも高い成果を上げる投資家は、すでに分散とヘッジを組み合わせ、十分な流動性を確保したポートフォリオを構築している。こうした準備がある投資家ほど、タイミングを誤ったパニック売りにつながる認知バイアスに流されにくい。

中東情勢が経済に与える打撃は、その期間の長さに左右される

イランをめぐる衝突が経済に与える打撃は、その期間の長さに大きく左右される。中東情勢の分析を行うMiddle East Briefingによれば、アナリストは、ホルムズ海峡が封鎖されるかどうかという単発の出来事ではなく、海上輸送やエネルギー供給に影響を与える紛争が「どれだけ長く続くか」を軸にシナリオを描いている。

最良のシナリオと最悪のシナリオ

筆者は3月冒頭、最良のシナリオは外交によって緊張が緩和される1週間程度の衝突であり、最悪のシナリオは4カ月以上続く長期戦だと指摘した。最良のケースでは衝突は2週間で終息し、原油価格は一時的に1バレル90ドルまで上昇した後、75ドル前後まで下落すると見込まれる。

最悪のシナリオは、イラン革命防衛隊がサウジアラビアのアブカイク原油処理施設とラス・タヌラ石油ターミナルをミサイルやドローンで攻撃する事態だ。CNNによれば、この2施設は合わせて世界の1日当たりの石油供給量の約7%を処理している。

このような事態になれば、米海軍はペルシャ湾、オマーン湾、アラビア海北部に至るまで、安全な航行を保証できなくなる可能性がある。外交問題評議会(CFR)によれば、エネルギーアナリストのボブ・マクナリーは、ホルムズ海峡が長期にわたって閉鎖されれば「世界的な景気後退は避けられない」と指摘している

投資情報プラットフォームのTradingkeyによれば、原油価格は1バレル150ドルを超える可能性があり、CNBCは天然ガス価格が2倍以上に跳ね上がる可能性を指摘している。また、地政学リスク分析会社SpecialEurasiaは、船舶が喜望峰回りの航路を使う状況が当面続き、世界の海運の構造そのものが変わる可能性があると指摘している。その場合、運賃は50%から75%上昇する可能性があるという。

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翻訳=上田裕資

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