投資家はパニックで株式を売却するのではなく、方針を維持すべき
ポートフォリオがこれらセクターに大きく偏っていない投資家は、故ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領がかつて言ったように、パニックで株式を売却するのではなく「方針を維持する」べきだ。
ヴァンガードの調査によれば、1988年にS&P500に10万ドル(約1590万円)を投資し、そのまま放置していれば、2024年までに490万ドル(約7億7910万円)に増えていたという。しかし、最も上昇した10日間の取引を逃すだけで、資産は230万ドル(約3億6570万円)にとどまり、本来の水準より52%も少なくなっていた。
それでも、市場が不安定になると投資家が株を売り急ぐ場面が少なくない。学術誌を発行する研究団体Abacademiesによれば、その背景にあるのが「損失の回避」だ。人は利益よりも損失をおよそ2倍強く感じる傾向があるという。また、米ウィリアム・アンド・メアリー大学の研究によれば、群集行動もパニック売りを広げる要因となる。情報を持つ投資家がわずか5%でも、残り95%の投資判断に影響を与える可能性があるという。
最善の防御策は、投資地域と投資分野の両面で分散されたポートフォリオの構築
こうした行動に対する最善の防御策は、投資地域と投資分野の両面で分散されたポートフォリオを構築することだ。UBSグローバル・ウェルスによれば、地域分散は地政学的危機に対する「基本的なヘッジ手段」とされる。多くの場合、こうした出来事はすべての国に同じ影響を与えるのではなく、特定の国により大きな打撃を与えるからだ。
モルガン・スタンレーは、もう1つの分散手法として「資産クラスの分散と積極的なリスク管理」を挙げている。同社は、ポートフォリオには「金融、ヘルスケア、産業、エネルギー分野の質の高い株式」を含めるべきだとしている。
ポートフォリオの最大15%を金に配分することも選択肢の1つだ。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によれば、「株式60%・債券20%・金20%」のポートフォリオは、2020年以降、伝統的な「株式60%・債券40%」のポートフォリオを上回るパフォーマンスを示し、市場が不安定な局面でも高い耐性を示している。
パニック売りの防止には、十分な現金や債券などを確保しておくことが重要
最後に、パニック売りを防ぐためには、十分な現金や債券、借入余力を確保しておくことが重要だ。UBSによれば、少なくとも3年から5年分の資金需要を賄える流動性を確保しておくべきだという。


