経済

2026.03.09 08:30

原油価格はどこまで上がるのか? 100~200ドルのシナリオを検証

Getty Images

Getty Images

「当社の基本シナリオでは、前例のない混乱が起きる可能性は低いと想定していた。その想定は外れた」。米銀最大手JPモルガン・チェースのナターシャ・カネバは最近の顧客向け報告書にこう記した。この言葉は金融市場で繰り返し語られる教訓を捉えている。投資家は、現在の危機が特異なものだと常に信じているが、実際にはそうではないということだ。

advertisement

1973年の石油危機からロシアのウクライナ侵攻に至るまで、エネルギー市場は地政学が供給モデルや経済予測を覆す可能性があることを、投資家に繰り返し思い知らせてきた。米国とイスラエルによるイランへの攻撃は、その歴史の新たな一章となる恐れがある。

現在、投資家が直面している核心的な疑問は単純だ。攻撃が激化した場合、石油や天然ガスの価格はどこまで上がるのだろうか?

石油市場とホルムズ海峡

その答えは、世界最大のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡で何が起こるかに大きく左右される。世界の海上石油輸送の約3分の1が、ペルシャ湾と国際市場を結ぶこの狭い海峡を経由している。

advertisement

この地域で地政学的緊張が高まると、エネルギー市場は即座に反応する。原油タンカーの運航会社は安全上の理由で航行速度を落とすか航行を停止するなどし、保険会社は保険料を引き上げ、トレーダーは供給途絶の可能性を価格に織り込む。

供給のわずかな中断でさえ、予想外の結果を招くことがある。最後に原油価格が1バレル100ドルを超えたのは、2022年にロシアがウクライナへの侵攻を開始した直後で、供給不足への懸念から価格が急騰した。米国のガソリン価格は当時、全国平均で1ガロン(約3.8リットル)当たり5ドルを超えた。

今日の状況はさらに不安定になる可能性がある。

原油価格を巡る複数のシナリオ

アナリストらは、中東を巡る現在の混乱の継続期間やエネルギー施設が攻撃の標的となるか否かによって、結果は異なるとみている。

米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)の商品戦略アナリストは、緊張が高まり中東全域のエネルギー施設に対する攻撃が拡大した場合、原油価格は1バレル100ドルを超えると予想している。

混乱が数週間続けば、事態はさらに深刻化する可能性がある。石油を海上輸送する上で、ペルシャ湾岸の産油国はホルムズ海峡の安定性に依存している。同海峡の封鎖が長引けば、石油貯蔵施設が満杯になり、周辺の産油国は生産の停止に追い込まれる。このシナリオでは、原油価格が1バレル120ドルに達するとみるアナリストもいる。

次ページ > 最も極端なシナリオは?

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事