「ジャック・ドーシーのことは好きだ。彼は私に仕事を与え、富も与えてくれた。彼に悪意はない」と、先に解雇された元Blockのソフトウェアエンジニアは語る。「だが彼は大きな時価総額にまで成長した会社を2つ立ち上げ……どちらも最終的に従業員の大部分を解雇することになった」
ドーシーは、ツイッターの取締役会によって最初にCEOの座を追われた直後の2009年、ソフトウェアエンジニアのジム・マッケルビーとともにSquare(スクエア)を創業した(報道された理由は、ドーシーがヨガのセッションやファッションの授業のために早退していたことだという)。洗練された白いクレジットカードリーダーを武器に、Squareは、より低コストのカードリーダーと決済ネットワークを求める飲食店や小規模事業者の間で爆発的に成長した。同社は2015年に上場した。同年、ドーシーはツイッターのCEOに復帰している。ツイッターがフェイスブックの爆発的な成長に後れを取るなかでツイッターの株主はまもなく不満を募らせ、ドーシーは2021年末にツイッターの職を離れた。
その間もSquareは好調で、パンデミック中には加盟店の需要が膨らみ成長が加速した。個人間送金アプリのCash Appも急速に伸びていた。同社の従業員数は2020年初めの約3800人から、2023年には約1万3000人へと拡大した。「とにかく狂ったように採用していた」と、その解雇されたソフトウェアエンジニアは振り返る。「1年でエンジニアの面接を200件やった」
こうした成長が、ドーシーの疑問の残る意思決定のいくつかを覆い隠していた。2021年3月、Blockは、ドーシーが友人関係にあるジェイ・Zが支援する、利用の少ない音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の過半数株式を、現金と株式で2億3700万ドル(約370億円)で取得することに合意した。同年後半、暗号資産が急騰するなかで、ドーシーはビットコインとブロックチェーン技術を受け入れる姿勢を示すためにSquareの名称をBlockに変更し、CEOの肩書を捨ててBlock Headを名乗った。同社は、ビットコインのマイニングハードウェア事業Protoと、ビットコイン投資家がトークンを安全に保有できる自己管理型ウォレットBitkeyを立ち上げた。
ビットコイン価格が急落するわずか数カ月前の2025年8月に至っても、ドーシーはBlockの決算説明会で、同社が「最高の(ビットコイン)マイナーをつくり上げた」と語っていた。ビットコインの低迷を考えると、これらのマイナーを販売するのは劇的に難しくなるだろう。同じ説明会で、ドーシーはステーブルコインについて問われると、「私たちの意図は、ビットコインがインターネットのネイティブ通貨になり、日常のマネーとして使われるようにすることだ。そしてそれは非常に早く実現できると考えている」と述べた。


