キャリア

2026.04.21 13:00

なぜ新任リーダーは「初年度に失敗」するのか? 1年目は成果よりも信頼重視の年に

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あえてゆっくり進んで加速する

私がコーチングした別の幹部は、地域担当の役割で12年間にわたり強固な関係を築いた後、グローバルな役割に移った。地域では、人々が彼の判断を信頼していたため、意思決定は速く進んだ。

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新しい役割では、その信頼は引き継がれなかった。すべてが遅くなった。勢いよく走り出すどころか、前に進む手応えすら得られない。別の場所で「実績がある」人物であっても、新しい役割では、歴史も、蓄積された信用も、信頼もゼロから始まる。

彼は、後で速く進みたいなら、まず信頼をすぐに築く必要があると気づいた。以前の役割では、意識せずとも時間をかけてその土台をつくっていた。だが新しいグローバルな役割では、のちに大きなインパクトを出すために、初日から意図的に動く必要があると理解していた。

成果を求められるプレッシャーの中では、これは直感に反するように感じられる。だが速度を決めるのは信頼である。信頼があれば、人は好意的な前提で不足を補ってくれるため、取り組みは進む。最良の場合、あなたがその場にいないときでさえ、提案を支持してくれる。

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新しい役割でより速く信頼を築くには、2つの「預金」を意識するとよい。

第1に、チームが重要だと感じる問題を解決する専門性を持ち込むことだ。肩書や過去の実績は扉を開くかもしれないが、その後は、現状の制約と課題を明確に理解する必要がある。

第2に、組織全体の幅広い支援を必要としない、小さいが目に見える成果物を選ぶことだ。素早く、質高く仕上げる。そして、得られた信頼残高を、大きな変化に挑む前の関係深化に投資する。

政治的力学を解読してから改革に乗り出す

製薬会社エグゼクティブの自己診断は正しかった。彼女の誤りは、関係を築き、政治的な地形を明確に把握する前に、当初から自分が見抜いた問題点を強調してしまったことにある。

誰かの仕事に異議を唱えたり、見落としがあったかのように示唆したりすれば、防衛反応を引き起こす。

対外的な役割で成果を上げてきたリーダーは、社内向けの役割に移ると苦戦しやすい。対外では、異なる相手と繰り返しゲームをするため、率直さが許容されることもある。だが社内では、今日疎外した同僚が、次の四半期に協力が必要になる相手である。

彼女には何がより良かったのか。問題を協働的に浮かび上がらせることができたはずだ。「あなたの規制対応のタイムラインは一貫して遅れています」と断じる代わりに、こう試せた。「ローンチの遅れを見ていて、いくつかのパターンが見えてきました。何が要因になっているのか、一緒に整理して話せますか。どんな制約の中で進めているのかを理解したいのです」

一方の言い方は、裁定を下しに来た敵として彼女を位置づける。もう一方は、理解し、改善するために来たパートナーとして位置づける。

結論

この製薬会社エグゼクティブはこれらを理解するに至ったが、それは18カ月にわたる痛みを伴う評判の失墜の後だった。何が間違っていたのかを把握すると、次の四半期は、ステークホルダーを体系的にマッピングし、制約を理解するための対話を設定し、対立的ではなく協働的に取り組むべき重要課題を選ぶことに費やした。6カ月のうちに、彼女の動きを阻んでいたメディカルアフェアーズの責任者は、もはや障害ではなく、最も強力な支持者になっていた。

要するに彼女は、自分の能力の使う順番を変えることを学んだ。まず土台を築き、地位に基づく権限に頼るのではなく、関係資本を持つ立場から専門性を発揮するのである。

1年目は、派手な早期成果で「勝つ」ものではない。成功は、3年目にも有効でいられるかどうか、そしていずれ次へ移るときにどんなレガシーを残すかを左右するネットワーク、信頼、政治資本を築くことから生まれる。

移行は、意図的に臨もうと、ただ身を任せようと、進行していく。問題は、すべてを可能にする土台づくりに時間を投資するのか、それとも短期的な信用の最適化を選び、長期的な影響力の喪失という代償を払うのか、である。

forbes.com 原文

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