リーダーシップ

2026.03.08 15:02

パートタイム経営幹部という選択肢 戦術的リーダーシップ採用の3つの戦略

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ロン・ドハティは財務管理の専門家であり、事業変革コンサルタントで、Aspireの共同創業者である。

市場の変化が数十年単位ではなく四半期単位で起こるグローバル経済において、従来型のCスイート(経営幹部)モデルは揺さぶられている。中小企業は、硬直的で固定費の高い構造を捨て、フラクショナル・リーダーシップへと舵を切っている。経験豊富なCOO、CFO、CMOなどをパートタイムで迎えることは、最上級の戦略的洞察と実行力を戦術的に獲得する手段である。企業は、年俸$300,000や多額の持分、肥大化した福利厚生を提示することなく、ハイレベルな戦略家にアクセスできる。

ただし、フルタイムの安定からフラクショナルの機動力へ移行する際には、構造上のリスクがある。Aspireでの経験から、CEOや創業者が念頭に置くべき、最も一般的なフラクショナル活用の3つの戦略を紹介する。

1. 具体的な解決策に対して採用する

フラクショナル・リーダーシップを捉えるうえで有用な方法のひとつは、いま求めているのが「設計して構築する」ことなのか、それとも「維持して成長させる」ことなのかを見極めることである。設計・構築フェーズでは、専門性と実績を備えたリーダーが必要だが、そこには明確な終点がある。戦略が構築され、プロセスやシステム、ツールが組み込まれたら、常設チームに引き継ぐ準備が整う。そこからが維持・成長フェーズである。

特定のニーズと、それに対処するために必要なスキルに焦点を当てることで、戦略的な採用判断が可能になる。例えば、米国市場で大きな成功を収め、EU市場への参入を目指していたニューヨークのワイナリーと取り組んだことがある。顧客の2年目標は売上$2 millionの創出だった。しかし、この目標に対してチームの社内スキルを照らし合わせると、大きなギャップがあることが分かった。ワイン販売や州間配送に関する米国規制には長年の経験があった一方で、EU規制に精通した人材がいなかった。加えて、適切なコネクション(バイヤー、インフルエンサーなど)も十分ではなかった。EU市場に浸透する戦略を設計・構築するには、規制の専門性と、EU市場内の重要な接点ネットワークを持つリーダーが必要だった。これには数カ月を要するが、週あたりの稼働は最大でも10〜12時間で足りるため、フラクショナルの役割に最適だった。

特定の役割においてフルタイムのリーダーが必要か、フラクショナルで足りるかを判断するには、向こう12カ月のロードマップ上の施策をチームのスキルと突き合わせて監査するとよい。主要なボトルネックが、AI統合のサプライチェーン刷新や複雑な海外市場参入のような特定プロジェクトであれば、常設採用を行う必要はない。次に重要なステップは、役割を可能な限り明確に定義することだ。対処してほしい具体的なニーズ、目標、期待値、期間、権限、成果、KPIなどを明確にする。役割の定義を詳細にできるほど、必要とする人物を的確に見つけられる可能性が高まる。最後に、役割を定義したうえで探索を始める際は、IndeedやLinkedInのような一般的な求人サイトは避けたい。まずはネットワーク内の経営人材に連絡することが最善の出発点であり、フラクショナル採用に特化したサイトを利用する方法もある。

2. 役割を完全に統合する

フラクショナル採用で最も一般的な失敗は、役割の見誤りである。組織はフラクショナルのリーダーをコンサルタントと混同しがちで、その結果、本当は一方が切実に必要なのに他方を採用してしまう。違いは、助言か実行かにある。コンサルタントは時計の作り方を教える。フラクショナルのリーダーは時計を作り、さらにそれが正確に時を刻むことを確実にする。フラクショナルの幹部を、日々のオペレーションの外側にいる高額な助言者として扱えば、加速装置ではなくボトルネックになってしまう。

フラクショナルのリーダーは、社内コミュニケーション、計画、財務諸表に全面的にアクセスできる、コアチームの一員でなければならない。採用したら直ちに意思決定の流れに組み込み、チームの説明責任を担保し、パフォーマンスの低い人材を解雇し、予算配分を転換できる権限を与えるべきである。これにより、問題解決への能動的な参画が担保され、彼らの高度な専門性を無駄にせずに済む。

3. 依存ではなく、仕組みを構築する

フラクショナルのリーダーが去る際、移行が適切に行われなければ危険な空白が生まれうる。例えば、フラクショナルCOOが世界水準のサプライチェーンを構築しても、退任時に独自のロジックを持ち去ってしまえば、投資対効果は実質的にゼロである。能力を獲得せずに解決策をレンタルしただけ、という状態になる。

フラクショナルのリーダーは、現行戦略を実行すると同時に、退任後も物事が前に進むための組織的な仕組みを構築すべきである。後者を確実にするため、知識移転をKPIとして義務づけたい。フラクショナルの関与には必ず、幹部が社内の有望人材をメンタリングし、日々のオペレーションの舵取りを引き継がせるフェーズを含めるべきだ。そうすれば、重要な知的財産と運用規律が自社内に残る。

未来のリーダーシップのレンズ

今後24カ月で、フラクショナルCスイートモデルは中小企業にとって標準になると私は見ている。私たちは、必要なスキルを必要なときに調達する経済へと向かっており、幹部の価値は勤続年数ではなく、インパクトの速度、すなわち特定の組織課題をどれだけ迅速に診断し解決できるかで測られるようになる。

競合が世界最高の専門家を週15時間で借りて課題を解決している一方で、完璧なフルタイム採用を待ち続けているのなら、すでに先手を失っている。競争優位は、常設の人員数が最大の企業ではなく、専門性と固定費の比率が最も高い企業に宿る。

forbes.com 原文

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