元素周期表の15番目にあるリン(P)は、その重要性が大幅に過小評価されているが、現在知られているすべての生命にとって不可欠な元素だ。
リンは、DNAやRNAのリン酸ヌクレオチドの構造骨格を形成していると、米ルイジアナ州立大学の惑星天体物理学者ナタリー・ヒンケルは取材に応じた電子メールで語っている。だが、リンはアデノシン三リン酸(ATP)のように、ほぼすげての代謝作用における「エネルギー通貨」でもあり、タンパク質や脂質を細胞内へ取り込んだり細胞外に排出したりすると、ヒンケルは続けている。
反応性が非常に高いため、地球上では遊離元素としては存在しておらず、常にある種の鉱物や分子化合物と結びついた形で存在している。
中でも、人や動物から微小な海洋プランクトンまでの細胞膜、骨や歯を作るのにリンは不可欠なのだ。問題は、天の川銀河(銀河系)内のどこで、どのようにしてリンが形成されるかをめぐり、天体物理学者の間でいまだに議論が続いていることだ。
銀河系の化学進化モデルでこれまでに予測されているリンの合成量は、観測される量に比べて少なくなっていると、ハンガリー・コンコイ天文台の天体物理学者マルコ・ピニャタリは取材に応じた電子メールで述べている。従って、銀河系の化学進化をシミュレーションするために用いられる恒星によるリンの生成量に問題があることがわかると、ピニャタリは指摘する。
ある程度の量のリンを含有することがこれまでに判明している恒星は300個足らずだ。
リン含有星の大部分は、銀河系の銀河ハロー(銀河円盤部を取り囲む広大な領域)の内側部分および厚い円盤で見つかっており、これはリン含有星の分布が位置に固有ではないことを示していると、スペイン・カナリア天体物理研究所(IAC)とラ・ラグーナ大学に所属する博士課程学生のマレン・ブラウナーは取材に応じた電子メールで述べている。このことは、リン含有星がリンや他の元素を豊富に含むようになることに関与するプロセスが、銀河系内のリン含有星の位置とは無関係である可能性が高いことを示唆しているという。
爆発による始まり
リンは、太陽の10倍以上の質量を持つ恒星が寿命の最後に引き起こす重力崩壊型超新星爆発の核融合で合成されると、コンコイ天文台の天文学者マリア・ルガロは取材に応じた電子メールで述べている。鉄はエネルギーを生み出せないため、鉄を豊富に含む恒星のコア(中心核)が崩壊することで、外層の物質が星間媒質中に放出され、そこから新たな恒星が形成されるという。



