太陽のリン存在量
ルイジアナ州立大のヒンケルによると、太陽は近傍の恒星に比べて、リンの存在量が比較的高い。リンの存在量が大幅に低い主星の周囲に形成される岩石惑星では、惑星の核にリンが取り込まれる傾向が強いため、この惑星の表面で生命が生まれる可能性が排除されるかもしれないという。
その結果として、太陽系近傍にある太陽型恒星の周囲におけるリンの存在度をより詳細に把握することが重要になる。
太陽型星は低質量なので、それ自体ではリンを生成できないと考えられているために特に興味深いと、IACのブラウナーは指摘する。これは、これらの太陽型星に組み込まれるリンを何らかの方法で大量に生成した前駆天体(リンの排出源)を探すことになることを意味しているという。
リンはいまだに、検出するのが非常に難しい。その理由の1つは、恒星からの光に現れるリンのスペクトル線が、可視光域ではなく、近赤外域や紫外域にしか見られないからだ。
ブラウナーによると、存在量が比較的低いため、リンの痕跡を確認するには非常に高分解能の観測データが必要だが、電磁波スペクトルのこの領域では極めて数少ないという。
銀河系に存在するリンの量をめぐる最大の謎は何だろうか。
モデルでは、通常の星でも観測されるリンの量が実際より低く見積もられると、ブラウナーは指摘する。リンを豊富に含む恒星は、銀河系内に未知のリン生成源が存在すること、あるいは、リンの元素合成に関する仮定を修正する必要があることを示唆していると、ブラウナーは説明した。
だが幸いにも、リンは太陽系外の生命探査で重要な役割を担うことになる可能性が高い。ヒンケルと研究チームが2020年に天文学誌The Astrophysical Journal Lettersに発表した論文によると、リンの含有量がごくわずかである恒星が存在する場合、その恒星系の惑星は、おそらく表層での生命発生の可能性を完全に排除できるほど、生命存在に適さない環境である可能性が高い。
まとめ
太陽系外にある地球サイズの小型惑星の内部や表層の組成を直接的に測定する技術は、現時点では存在しないと、ヒンケルは指摘する。だが、恒星と惑星は同時期に同じ物質から形成されるため、主星の元素存在量を測定し、それを惑星の組成の直接的な代用として利用することが可能だと、ヒンケルは説明している。


