経営・戦略

2026.03.08 11:57

ウェルビーイング投資は本当に「無駄」なのか?成果を出す企業の3つの戦略

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ウェルビーイング分野でリーダーを務めてきた長年の経験から、私は何度も同じ光景を目にしてきた。企業が従業員のウェルビーイングを支援しようとするとき、瞑想アプリへのアクセスを提供したり、オフィス全体でウォーキングチャレンジを実施したりと、いくつかの施策で「やったこと」にする。意図は良いのだが、こうした取り組みがリーダーの期待するようなエンゲージメントや効果を生み出すことはまれである。

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従業員がウェルビーイングプログラムに参加したくないわけではない。多くの場合、選択肢があまりにも画一的で、従業員の実生活から乖離しているのだ。一般的なプログラムは情報であふれているが、具体的なガイダンスや前に進むための明確なステップが欠けている。そのため残念ながら、すでにストレスと負担で溢れた一日に、もう一つやるべきことが加わるだけになってしまう。そして予算が逼迫すると、エンゲージメントの低さ、コストへの影響の乏しさ、組織文化の変化の欠如を理由に、ウェルビーイング施策は厳しい精査の対象となる。

断片的な複数のウェルビーイングツールや表面的な福利厚生への投資では、従業員が日々直面する複雑で現実的な課題に対処することはできない。このアプローチを続けても、成果は得られない。企業は重要なことを理解しなければならない。ウェルビーイングは組織文化と戦略の基盤なのだ。それは、真摯で目に見える形で、日々の仕事と生活に組み込まれた方法で従業員をケアするというコミットメントである。そして、組織が人と事業の双方に対して行い得る、最も賢明な長期投資の一つなのだ。

従業員ウェルビーイングはビジネス上の必須事項

近年、従業員は仕事が健康でバランスの取れた生活にどう組み込まれるべきかを再評価し始めており、雇用主に対して全人的なサポートを求める声が高まっている。Wellhubの「The State of Work-Life Wellness 2024」レポートによると、従業員の93%がウェルビーイングを報酬と同等に重視しており、87%がウェルビーイングを重視しない企業からの退職を検討するという。これを認識し、従業員の身体的、精神的、社会的、経済的な健康を改善するための有意義なサポートを提供することは、従業員の心に響くメッセージとなる。組織が本気でウェルビーイングにコミットすれば、人々が最高の仕事をでき、そしてそれを続けたいと思える環境が生まれる。

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2025年、私が所属するWebMD Health Servicesは、従業員のウェルビーイングとメンタルヘルスの低下に関する知見を発表した。「Workplace Well-Being in 2025」レポートでは、組織が自分のウェルビーイングを大切にし、コミットしていると強く感じている従業員は、仕事へのエンゲージメントが高く、雇用主のもとにとどまる可能性が高く、バーンアウトを経験しにくいことが明らかになった。一方、マッキンゼーは、従業員の健康に対する包括的なアプローチが、離職率、欠勤率、プレゼンティーイズムの低下、そして生産性と定着率の向上に関連していることを明らかにした。同社は、従業員のウェルビーイングの改善により、世界全体で最大11兆7000億ドルの経済価値が創出される可能性があると試算している。

有意義なウェルビーイングプログラムへの投資方法

私の観察では、ウェルビーイング施策で最良の成果を上げている企業は、3つの戦略を実践している。

全人的なプログラムを設計する

ウェルビーイング施策が最も効果を発揮するのは、実用的で、現実の生活に即して構築され、リーダーシップの支援を受けている場合である。全人的なアプローチとは、断片化されたサイロ化ツールに支えられた単純な道筋ではない。複数の側面に対応し、セルフガイド型のソリューションから1対1のコーチングまで、さまざまなニーズレベルに応じた幅広いサポートを提供するものだ。この統合されたリソースネットワークが、それぞれの従業員の現在地に寄り添う。

強固なエンゲージメント戦略を構築する

どれほど練り上げられたプログラムも、有意義な参加がなければ価値を生み出せない。成果を上げるのは、すべての人に届くよう意図的に設計されたプログラムである。インセンティブの提供は、初期のエンゲージメントに火をつける一つの戦略だ。そこから、個人のウェルビーイング目標をサポートするソリューションを提供する。デジタル、対面、マネージャー主導のタッチポイントを組み合わせた包括的なエンゲージメント戦略により、ウェルビーイングを常に最前線に置くことができる。プログラムを目に見える形で、関連性があり、アクセスしやすい状態に保つことで、その効果を最大化し、認知を行動に、行動を習慣に、習慣を持続的な文化変革へと転換できる。

プログラムを組織文化と整合させる

ウェルビーイングは、組織のコアバリューとミッションの延長線上にあるべきだ。この整合性を生み出すには、リーダーシップがウェルビーイング施策を支持し、積極的に参加することから始まる。従業員からのフィードバックは、自社の従業員が必要とするプログラムの種類を理解し、実施するための基盤となる。持続的なインパクトは、ウェルビーイングが単なる人事施策ではなく、共有された責任として扱われたときに生まれる。

人への投資で企業が本当に得るもの

人をケアすることは、ビジネスの成功を妨げるものではない。成功を可能にするものだ。従業員がウェルビーイングプログラムに参加し、自分の生活に実際の進歩を感じたとき、生産性、忠誠心、レジリエンスが高まる。この長期的なインパクトこそが、経済の先行きが不透明な時期であっても、多くの企業がウェルビーイングへの投資を堅持している理由である。これは、従業員、求職者、そして社会に対して、自社が何を最も大切にしているかを示す強力なメッセージとなる。

「ウェルビーイングに投資する余裕はあるのか」と問うリーダーの声を多く聞いてきた。しかし私がより重要だと考える問いは「投資しない余裕があるのか」である。

forbes.com 原文

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