アンゴラは、サハラ以南のアフリカではナイジェリアに次ぐ石油輸出国だ。2014年の日量約180万バレルから23年には同約120万バレルと、過去10年間で原油生産量は減少しているものの、アンゴラは依然として同約110万バレルの原油を輸出している。同国は2023年、生産量の割当を巡る意見の相違からOPECを離脱し、政府は投資拡大と生産基盤の近代化に向けた柔軟性を高めた。アンゴラのエネルギー産業の拡大を主導する国営石油会社ソナンゴルは2025年、7億5000万ドル(約1200億円)を超える純利益を計上した。現在は西部ロビトでの62億ドル(約9800億円)規模の精油所建設と重要鉱物市場の拡大に向け、中国の金融機関と48億ドル(約7600億円)の融資を巡る交渉を進めている。
ユーラシア大陸とアフリカ南部の産油国
カスピ海沿岸に位置するアゼルバイジャンは、世界中の石油消費国から長年注目されてきた。同国の2025年の原油生産量は前年から日量約43万2000バレル減少したが、欧州連合(EU)はアゼルバイジャンのエネルギー産業を「多様化され、信頼性が高く、安全な」輸入源と見なしている。アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)は、EUの執行機関である欧州委員会からイタリアの石油企業イタリアナ・ペトロリ買収の承認を得た。これにより、EUとアゼルバイジャンの協力関係が強化されることになる。
アフリカ南部のナミビアは有望な沖合油田開発の新たな拠点として台頭しており、主要プロジェクトで原油生産の開始が見込まれている。仏エネルギー大手トタルエナジーズは、PEL104探鉱権益の42.5%を取得し、海洋事業を拡大した。ナミビアの原油推定資源量は200億バレルだが、伊エネルギー大手ENIが最近、ナミビア沖の海底に位置するオレンジ盆地にさらに有望な油田がある可能性を見いだしたことから、この数字は今後増加するかもしれない。
長期的な視点では、モザンビークも天然ガスの代替供給源として台頭しつつある。トタルエナジーズは同国北部カボデルガド州で、200億ドル(約3兆円)規模のLNGプロジェクトを再開した。2029年の生産開始を見込んでいる。このプロジェクトが成功すれば、モザンビークは欧州やアジアにとってガス輸入の代替供給源となるだろう。だが、ガイアナやナイジェリアのような既存の生産国とは異なり、モザンビークの野心的なプロジェクトは依然として資本に依存しており、その成功は長期的な市場動向に左右されるため、短期的な救済策となる可能性は低い。
国際エネルギー市場の再編
イランを巡る現在の危機は、エネルギー輸入国が既に進めている供給源の多様化を加速させるだろう。鍵となるのは地理的多様性と戦略的安全保障だ。
主要輸入国は、大西洋沿岸地域、カスピ海地域、南アフリカ地域の生産国との関係を強化するものとみられる。これらの地域の石油生産国が単独でペルシャ湾岸諸国の生産量を完全に置き換えることは不可能だが、ガイアナ、ナイジェリア、アンゴラ、アゼルバイジャン、ナミビアでの生産拡大の累積的な効果により、短期的・中期的な供給危機を軽減する可能性がある。エネルギー資源を安定的に供給できる国は、長期的に統合されることになる。その意味で、現在の中東危機は世界のエネルギー市場の再編を促すことになるだろう。


