その他

2026.03.09 07:00

世界はどこから石油を調達すべきか? ホルムズ海峡封鎖で

ホルムズ海峡沿岸で軍事演習を行うイラン軍兵士。2022年12月30日撮影(Iranian Army / Handout/Anadolu Agency via Getty Images)

ホルムズ海峡沿岸で軍事演習を行うイラン軍兵士。2022年12月30日撮影(Iranian Army / Handout/Anadolu Agency via Getty Images)

米国とイスラエルによる大規模な攻撃を受け、イラン革命防衛隊が原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、世界のエネルギー価格が急騰している。

ペルシャ湾に位置する航路幅わずか3キロ程度のホルムズ海峡の周辺には主要な産油国がひしめいており、世界の原油と液化天然ガス(LNG)供給量の2~3割が毎日同海峡を通過していた。ところが、イラン革命防衛隊が2日、ホルムズ海峡を通過しようとする全ての船舶を攻撃すると通達したことから、各国の商船は現在、同海峡の航行を回避している。同海峡の封鎖が長期にわたれば、世界のエネルギー供給が深刻に脅かされることになるだろう。

こうした中、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国から成る「OPECプラス」は、4月の原油生産量を日量20万6000バレル増やすことで合意した。だが、ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、この増産分でも不十分だ。現在の状況は既に、米国などの非OPEC産油国が容易に埋められないほどの供給不足を引き起こしている。

この状況下では、原油輸入国は生産を迅速に拡大できるさまざまな国に目を向けざるを得ず、中東地域を超えたエネルギー源の多様化が進むことになるだろう。ホルムズ海峡を通過するエネルギー資源の84%を消費している中国、インド、日本、韓国といった主要なアジアの原油輸入国は、中東情勢の影響を受けない産油国への転換が喫緊の課題となるだろう。

ガイアナ、ナイジェリア、アンゴラなどの国々は海上輸送可能な原油を生産しており、イランからの供給途絶を補う可能性がある。一方、アゼルバイジャンや中央アジア諸国はパイプライン経由で欧州やアジアに原油を輸出することができる。さらに、ナミビアの海洋開発計画やモザンビークでのLNG生産能力の拡大は、各国政府が長期的な供給安定性を再評価する中で重要性を増している。

大西洋沿岸地域の産油国

大西洋沿岸地域の産油国は近年、多大な関心と投資を集めてきた。中東産エネルギー資源の代替候補としては、同地域の資源が最も大きな可能性を秘めている。これらの国々は比較的短期間で増産可能な、かなりの余剰生産能力を有しているからだ。

南米に位置するガイアナの原油埋蔵量は、控えめに見積もっても約110億バレルと推定されている。同国の推定生産量は日量90万バレルで、国民1人当たりの生産量としては世界最大規模だ。同国は向こう10年間で非OPEC産油国の供給量増加の大部分をけん引すると見込まれている。2015年の大規模な油田発見を受け、ガイアナ政府は国内の石油産業に対する規制監督を強化するため、一連の改革を実施した。

同国では石油産業を巡る汚職や環境汚染が問題となっているが、欧州諸国は2022年以降、ロシア産原油の代替としてガイアナからの原油輸入を拡大している。隣国ベネズエラとの国境紛争を乗り切ったガイアナには、原油生産を急速に拡大する動機もある。この国境紛争は、係争地域で大規模な沖合油田が発見されたことで激化し、ガイアナが国際司法裁判所(ICJ)に救済を求めるに至った。

アフリカに位置するナイジェリアは中東以外では世界最大の産油国の1つと見なされており、2024年時点で約375億バレルの確認埋蔵量を有していた。ナイジェリアは同年、主に欧州とアジア向けに日量約130万バレルを輸出した。過去10年間で生産量は減少しているものの、アクポウエスト油田やウタパテ油田などの新規開発により、生産量は回復傾向にある。同国はLNGの主要輸出国でもあり、2024年には184億立方メートルを輸出した。南部デルタ地帯での10年に及ぶ政情不安やイスラム過激派ボコ・ハラムなどの国内問題からの長期にわたる復興を経て、同国は中東の混乱から利益を得る態勢を整えている。

次ページ > カスピ海沿岸やアフリカ南部にも有望な産油国が

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事