北米

2026.03.07 12:11

米JAXPORT、リアルタイム輸送追跡でスループット改善に成功

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貨物詐欺は大きく、そして拡大し続ける問題だ。GenLogsという企業が、この問題に対する革新的な技術ソリューションを提供している。GenLogsのソリューションは、米国で最も交通量の多い高速道路沿いに設置された数千台のカメラを通じて、輸送のリアルタイム可視化を実現する。映像データは高度な画像認識技術と組み合わされる。カメラはトラックに表示された米国運輸省(DOT)の番号を読み取り、ほかのデータセットも活用して、特定時点における当該トラックの信頼できる位置情報を提供する。これは貨物詐欺を防ぐうえで強力なツールである。筆者は同社の顧客である2社のトラックブローカーに話を聞いたが、彼らはこのソリューションを高く評価している

しかし、GenLogsのソリューションの用途は詐欺防止だけではないことが分かった。Jacksonville Port Authority(ジャクソンビル港湾局)の規制コンプライアンス担当チーフであるNick Primroseは、このソリューションが港のスループットをどのように改善するのかを説明した。JAXPORTは、JAXPORTとフロリダ州運輸省が共同で資金を拠出する1年のパイロットプログラムの開始から6カ月が経過した段階にあるが、同ソリューションを購入して継続的に利用することはほぼ確実に思える。

JAXPORTが輸送可視化を取り入れる

JAXPORTは、米国の鉄道網と高速道路網が交差する北東フロリダに位置する国際貿易港である。世界有数の海運会社から、70カ国以上の140港へ向けたグローバルな貨物サービスを提供する。この深水港は米国で14番目に大きいコンテナ港で、年間約1800万ショートトンの貨物を取り扱う。JAXPORTは、3つの貨物ターミナル、2つのインターモーダル(複合一貫輸送)コンテナ移送施設、そしてセント・ジョンズ川沿いの旅客クルーズターミナルを備える。同港は受賞歴のある顧客サービスでも知られている。

多くの港とは異なり、関税によって取扱量が減少してはいない。理由の一部は、プエルトリコとの間の貨物が大きな比率を占めていることにある。プエルトリコは米国の未編入領土である。積み替えではなくプエルトリコから直接入ってくる貨物は、関税の対象にならない。

JAXPORTには、港に到着または港を出発するトラックや列車の可視化はできている。しかし、それでは不十分だ。荷主は、貨物が港を出たかどうかを港湾局に電話で問い合わせてくることが依然としてある。本来はターミナルに連絡すべきだが、こうした対応は時間の無駄になる。さらに、GenLogsのセンサーデータは、貨物追跡を手作業で行う方法よりも優れた分析を提供する。センサーは道路と鉄道の入口に加え、港から30分の地点にも設置される。分析により、トラックがどれくらいの頻度で到着するのか、どの時間帯が特に混雑あるいは閑散とするのか、港に到達するためにどの道路を通行しているのかを把握できる。

港が混雑する時間帯を把握することで、より適切な計画立案や人員配置の決定が可能になり、港へのどの設備投資が最も合理的かについてもより明確に理解できる。州が資金を拠出したのも、港に到達する際に最も頻繁に使われる道路が分かれば、どの道路への資金拠出を行うべきかについて、より良い判断ができるからだ。

JAXPORTの構想は、トラックが30分圏内に入った時点でアラートを生成し、スループットを改善することである。運輸保安庁(TSA)は、とりわけ港を悪意ある活動から守る役割を担う。同庁にはTransportation Worker Identification Credential(TWIC)と呼ばれるセキュリティ資格がある。TWICは、港湾労働者、商船の船員、トラック運転手など、海上施設や船舶の保安区域に同伴なしで立ち入る必要がある者に求められる。TWICを取得するには、パスポートや運転免許証など有効な政府発行の写真付き身分証明書を持ち、身元調査に合格しなければならない。

TWIC保有の運転手は同伴者なしで港の敷地に入れる一方、TWIC非保有の運転手には同伴者が必要になる。GenLogsは、映像データとデータベース情報を組み合わせ、トラック運転手がTWICを持っているかどうかを判定できる。30分前に把握できれば、港は同伴者の手配を確実に行える。これにより入口でのスループットが改善される。

そしてJAXPORTと州にとって、スループットは投資収益率(ROI)を左右する。一定期間に港を通過して移動できる貨物が増えるほどスループットは高まり、州にとっての経済効果も大きくなる。この港はすでに大きな経済効果を持つ。港湾局によれば、22万8000件超の雇用を支え、地域経済に440億ドルをもたらしているという。

しかし、可視性の向上が恩恵をもたらすのはセキュリティとオペレーションだけではない。分析によって、港とトレードレーン(出発地から到着地までの輸送ルート)を最も多く利用している荷主がどこなのか、また港に到達するためにどのトレードレーンを使っているのかも分かる。これは営業部門にとって価値がある。

JAXPORTがプロジェクトを開始した当初、GenLogsは高速道路にのみセンサーを設置していた。JAXPORTは同社を説得し、インターモーダル鉄道ヤードにもセンサーを設置させた。センサーが港のインターモーダル施設全体に普及すれば、港は鉄道が起点と終点に与える影響を、トラック輸送だけでなくより深く理解できるようになる。

「まだ6カ月しか使用していませんが、このソリューションに真の価値を見出しています」とPrimroseは語る。「GenLogsのチームには感銘を受けています。ほかにどのデータポイントが価値を持つのか、常に検討しています」

GenLogsは別のユースケースも探っている

近い将来、GenLogsは米国の混雑する高速道路沿いに、さらに多くのセンサーを追加する計画だ。同社の顧客は、メキシコの高速道路にもセンサーを追加するよう同社に働きかけている。Overhaulの「Mexico: 2025 Annual Cargo Theft Report」によれば、メキシコの貨物盗難は2025年も深刻な暴力性を伴っており、輸送事業者に対する強盗の82%で何らかの暴力が関与していた。

一方でCEOのRyan Joyceは、マーケットインテリジェンス(市場分析)製品を今年後半に投入する計画だと述べている。同社はこれを支えるため、Battery Ventures主導で6000万ドルのシリーズB資金調達を最近発表した。「すでに我々のカメラは、道路上の物流量に占めるWalmartとAmazonの割合、そしてそれが時間とともにどう変化しているかを見ている。これは米国経済全体で見えていることの縮図だ。たとえば、家畜輸送業者も見ることができる」。これは、その市場の運送事業者に重要なインテリジェンスを提供することになる。

GenLogsは他の輸送可視化プロバイダーからシェアを奪うのか

筆者が数年前にFourKitesのCEO、Matt Elenjickalに話を聞いた際、彼は次の点を指摘した。輸送可視化(トラック、航空機、船舶がどこにいるか)、在庫可視化(エンドツーエンドのネットワーク全体でSKUがどこにあるかの可視化)、そして受注可視化は異なる。FourKitesは受注可視化を提供できる。出荷/在庫の追跡は、出荷が時間通りかどうかは分かるが、本来積まれているはずのものがすべて積まれているかどうかまでは分からない。FourKitesのプラットフォームをリアルタイム輸送可視化ソリューションと呼ぶのは誤りであり、「これはリアルタイムのサプライチェーン可視化ソリューションだ」という。

GenLogsはサプライチェーン可視化を提供するようには作られていない。だが、それを目指しているわけでもない。同社には、ソリューションから良好なROIを得ている満足度の高い顧客がいる。

forbes.com 原文

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