米ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は5日、米国のイラン空爆を受けてジェット燃料価格が急騰していることから、航空運賃は間もなく上昇するとの見解を示した。
航空会社の運営費の20~25%を占めるジェット燃料は、英調査会社アーガス・メディアによると、5日時点で1ガロン(約3.8リットル)当たり3.95ドルとなり、米国がイランへの空爆を開始してから6日間で58%上昇した。英ロイター通信の分析によると、燃料価格が年間を通じてこの高水準で推移した場合、米大手航空会社4社(アメリカン航空、デルタ航空、サウスウエスト航空、ユナイテッド航空)の追加燃料費は合計で58億ドル(約9200億円)程度に上る可能性がある。
米ハーバード大学で講演したカービーCEOは、ジェット燃料価格の高騰が第1四半期の業績に「重大な」影響を与えるとした上で、中東情勢が沈静化しない限り、影響は第2四半期まで及ぶ恐れがあると指摘した。同CEOは、航空運賃への影響は「恐らくすぐにでも現れ始めるだろう」と述べた。
米国の航空会社の大半は、リスク管理戦略として事前に価格を固定するジェット燃料のヘッジ取引を数十年前から停止しており、サウスウエスト航空も昨年この慣行を終了した。ダウ・ジョーンズ米国航空株指数によると、主要4社を含む米主要航空会社の株価は過去5日間で12%下落した。
ジェット燃料価格は、米国とイスラエルがイランへの空爆を開始した先週末以降、上昇を続けている。中東全域に混乱が飛び火する中、イランは世界の原油の5分の1が通過する海上輸送の要衝ホルムズ海峡を封鎖し、同海峡を通過しようとした複数の船舶を攻撃した。
航空業界のアナリストは、ジェット燃料価格の急騰の影響は、間もなく世界中の航空会社に波及すると予想している。米格付け会社フィッチ・レーティングスは5日、「航空会社は収益の損失に加え、燃料価格の上昇による影響も受ける見通しだ」と報告した。スイスの調査会社スパルタ・コモディティーズのジェームズ・ノエルベスウィックは英BBCに対し、湾岸諸国からアジアの製油所への原油供給が減るため、燃料費をヘッジしアジアと長期契約を結んでいる欧州の航空会社にも影響が及ぶとの見方を示した。その上で、「ジェット燃料不足による航空便の欠航や遅延は、数カ月後どころか数週間以内に発生するだろう」と述べた。
では、米国のイランに対する攻撃はいつまで続くのだろうか? ピート・ヘグセス米国防長官は記者団に対し、軍事作戦は「終わりのない」ものにはならないと明言した。一方、ドナルド・トランプ米大統領は1日、攻撃は4~5週間続く可能性があると述べた。ヘグセス長官は当初、イランに地上部隊は派遣しないとしていたが、米軍兵士の死亡を受け、その可能性も排除しないと示唆した。同長官は5日、米国は「戦いを始めたばかりだ」と宣言した。



