エンタープライズストレージ市場は、パンデミック以来で最も重大なサプライチェーンの混乱に直面している。AIインフラへの飽くなき需要に突き動かされた世界的なメモリ危機により、ストレージベンダーは値上げを迫られ、見積もりの有効期限を短縮し、顧客への提供のあり方そのものを根本から見直している。インフラ投資を計画するIT責任者にとって、その影響は即座に、かつ避けられない形で現れている。
数字は厳然たる現実を物語っている。2025年第3四半期末時点でDRAM価格は前年同期比172%上昇し、DDR5の契約価格は単月で最大100%急騰した。NAND価格も同様の軌跡をたどり、ある大手サプライヤーは2025年第1四半期比で246%の上昇を報告している。
メモリメーカーのSKハイニックス、サムスン、マイクロンは、AIアクセラレーター向けの広帯域メモリ(HBM)に生産能力を再配分しており、エンタープライズストレージシステムを支える従来型メモリ製品に構造的な供給不足が生じている。
これは一時的な小さな波ではない。業界アナリストの多くは、この不足が2027年まで続くと予測しており、さらに長期にわたり高値が続くとみる向きもある。企業の購買担当者にとっての課題は、交渉力よりも供給へのアクセスが重要になる環境で、いかに調達を乗り切るかである。
この環境で注視すべき点は2つある。不足がストレージ業界にどのような影響を与えているか、そしてIT部門がその影響にどう対応すべきかだ。
ストレージベンダーへの影響
デル・テクノロジーズ、ネットアップ、エバーピュア(旧ピュア・ストレージ)の直近の決算説明会からは、各社のビジネスモデルとサプライチェーン上の立ち位置に規定された、危機への明確に異なるアプローチが示された。
デル・テクノロジーズ
デル・テクノロジーズは、メモリ不足を業務遂行上の課題として捉えている。最新の決算説明会で、ジェフ・クラークCOOは部品市場を「極めて流動的」と表現し、顧客の関心が価格から供給確保へとシフトしていると指摘した。
デルの対応は積極的だ。同社は12月に数日でサーバーとストレージの価格変更を実施し、1月上旬には数万件に及ぶ見積もりを対象にPC価格を調整した。見積もり有効期間を短縮し、定価を引き上げ、割引を圧縮し、プロモーションを減らした。
デルの経営陣は、COVID期の供給混乱で得た教訓により対応力が高まったと強調した。デルは、自社の規模とサプライチェーン能力を競争優位と捉え、この危機の最中にシェアを獲得できると見ている。
ネットアップ
ネットアップは、より慎重な見方を示している。同社は四半期開始時に値上げを実施し、部品コストが上昇し続ける場合は再度値上げするとしている。
注目すべきは、ネットアップが現時点で供給不足を経験しておらず、差し迫った不足も認識していないと明かした点だ。市場全体の懸念とは対照的である。同社はこれを、調達の柔軟性を提供する汎用部品モデルによるものだとしている。
ネットアップは4つの主要な緩和策を展開している。複数の認定ベンダーによるサプライヤー分散、2026会計年度の大部分をカバーする在庫の先行購入、適切な場合にハイブリッドフラッシュアレイやクラウドサービスへ顧客を誘導するポートフォリオの柔軟性、そしてコスト上昇の規律ある転嫁である。
エバーピュア
エバーピュアは、この課題について最も率直な評価を示した。チャーリー・ジャンカルロCEOは、フラッシュを含む部品価格が約6カ月で2倍超になったと認めた。これを受け、同社は2026年2月に製品価格を平均で約20%引き上げた。
ジャンカルロ氏は、将来の価格や供給可能性の見通しが限られる「予測不能」な環境だと述べた。製品の粗利率は短期的に低下する見込みだが、価格がコストに追いつくにつれて回復するとされる。
エバーピュアは、この状況を一時的な混乱ではなく、AIに起因する構造的な需給不均衡だと位置づけた。一方で、明るい材料も挙げている。供給制約に直面するハイパースケーラーが新規ベンダーの認定により前向きになっており、競合置き換えの余地が生まれる可能性があるという。
ベンダーからIT部門へのアドバイス
決算説明会に加え、ストレージベンダー各社は顧客がこの危機を乗り切るためのガイダンス文書やサバイバルガイドを公開している。推奨事項は、アーキテクチャに対する考え方や競争上のポジショニングによって異なる。
ネットアップのインテリジェント階層化アプローチ
ネットアップの6項目のアクションプランは、既存インフラの最適化、インテリジェント階層化によるデータ配置の精緻化、投機的ではなくジャストインタイムでの容量拡張、ONTAPを通じたハイブリッドクラウドオプションの活用、そしてライフサイクル全体にわたる真の総所有コスト(TCO)の評価を中心としている。
同社はまた、コスト重視のワークロードについて、ハイブリッドフラッシュ構成へと顧客対話を積極的に誘導している。
WEKAのフラッシュストレージ・サバイバルガイド
WEKAは、逆張りのメッセージを掲げたNANDフラッシュ不足サバイバルガイドを公開した。言い分は「ストレージをこれ以上買うのをやめよ」である。同ガイドは、多くの組織が不足に直面すると、そもそも問題を生んだ行動をそのまま繰り返すと論じる。WEKAは、ストレージがGPUへ十分な速度でデータを供給できず、推論時にメモリが枯渇するため、GPUクラスターは容量の50〜70%を無駄にしていると主張する。
同社は、追加のフラッシュをパニック買いする前に、現行インフラがデータを効率よく提供できているかを評価するよう推奨し、根本にあるアーキテクチャ上のボトルネックへの解として自社のNeuralMeshソフトウェアを位置づけている。
DDNはアーキテクチャの柔軟性を推進
DDNは、フラッシュの価格変動に対する主要な防御策としてアーキテクチャの柔軟性を強調している。アレックス・ブザリCEOは、世界的なNAND不足を踏まえると、従来のフラッシュ依存アーキテクチャは「持続不可能」だと述べた。
DDNは、NVMe、HDD、SATAベースのSSDを含むあらゆるストレージメディアの組み合わせでGPUの性能をフルに引き出せる能力を訴求している。同社は、顧客がハイエンドSSDの必要量を35〜65%削減しつつ、ストレージの設備投資(CAPEX)を40〜70%削減できると主張する。
VAST DataのAmplifyフラッシュ再活用プログラム
VAST Dataは、競合他社の既存顧客基盤をターゲットに、Amplifyフラッシュ再活用イニシアチブを立ち上げた。このプログラムは、レガシーストレージシステムから顧客の既存SSDを再利用しVASTのプラットフォームで活用するもので、同社は優れたデータ削減によって使用可能容量を2〜3倍にできるとしている。
VASTのプログラムには、競合とアナリストの双方から反発があった。SSDの再利用に反対する論点は、出所と品質が不明なドライブを使うことが企業データにとってリスクになる、というものだ。
VAST Dataは筆者に対し、こうした懸念は根拠がないと述べた。認定されていないドライブの使用は危険だが、同社が行っているのはそれではないという。広報担当者は、VASTがシステムに統合するすべてのSSDの「摩耗と健全性」を測定し、導入後はシステムの信頼性を確保するためにSSDを継続的に監視していると説明した。
さらにVASTは、自社システムがQLC SSDに対して10年の寿命を提供するよう「特別に設計されている」とし、「顧客の100%」がその寿命を達成する軌道にあるとしている。
IT購買担当者への戦略的指針
ベンダーのメッセージには競争上の違いがあるものの、企業の調達戦略を導くべき共通テーマがいくつか浮かび上がる。
計画済みの購入は今すぐ実行する
主要ベンダーはそろって、調達スケジュールの前倒しを推奨している。価格はすでに大幅に上昇しており、少なくとも2026年上半期までは上昇が続く。見積もりの有効期間は短くなり、今日入手できる構成が60日後には入手できないかもしれない。承認済みプロジェクトを抱える組織は、実現可能性の低い値下がりを待つのではなく、直ちに購入を実行すべきだ。
拡張の前に最適化する
複数のベンダーは、容量を追加する前に既存インフラの利用率を最大化することを強調している。これには、適切なメディアにデータを配置するインテリジェント階層化、実効容量を高めるデータ削減技術、未活用リソースを特定するためのアーキテクチャ評価が含まれる。不足により新規容量は高価になっている。効率改善は即座に価値をもたらす。
ハイブリッドアーキテクチャを評価する
過去10年にわたり企業向けストレージの議論を支配してきた「すべてをオールフラッシュに」というアプローチは、再考に値する。ネットアップは、ハイブリッド構成への顧客の関心が高まっていると報告している。DDNとVDURAは、オールフラッシュ競合に対抗する立ち位置を積極的に打ち出している。組織は、ワークロードが本当にフラッシュ性能を必要とするのか、あるいは階層化アーキテクチャで、より低コストかつ供給リスクを抑えながら許容可能な成果を得られるのかを評価すべきである。
30〜60%の値上げを予算に織り込む
多くの業界アナリストは、特に2026年上半期において大幅なコスト上昇を想定するよう勧めている。決算期が6月末の組織は、予算リスクが最も大きい。財務部門はインフラ予算に予備費を組み込み、価格が落ち着く可能性がある年後半へ重要度の低いシステムを先送りする段階的導入戦略も検討すべきだ。
ベンダーとの関係を優先する
供給制約のある環境では、配分の判断は強い関係を持つ既存顧客に有利に働く。組織はストレージベンダーと早期から頻繁に協議し、容量ロードマップを明確に伝え、予測可能な容量へのアクセスを提供する従量課金モデルも検討すべきである。とりわけデルとレノボのようにサプライチェーン上の立ち位置が強いベンダーは、より小規模な競合が匹敵できない配分上の優位性を持つことになる。
長期を見据えて計画する
この危機は短期で解消しない。メモリメーカーが新たな生産能力を立ち上げるには12〜18カ月を要し、AIインフラ需要も減速の兆しがない。組織は、少なくとも2027年まで、場合によってはそれ以降も、高止まりの価格と断続的な供給制約が続くと見なすべきだ。今日の調達戦略、ベンダー関係、アーキテクチャ判断が、今後数年のインフラコストを左右する。
結論
メモリ危機は、半導体サプライチェーンの脆弱性と、あらゆる企業向けテクノロジー購買に影響する下流の依存関係を露呈させた。IT責任者にとって、前進する道筋には、断固たる行動、戦略的柔軟性、そして近年の好条件な価格環境が終わったことを受け入れる姿勢が求められる。
迅速に適応するIT部門は、運用の継続性を維持し、競争優位を得る可能性すらある。状況の改善を待つ組織は、より高い対価を払い、得られるものは少なくなる。



