ファンダムとコミュニティを起点にした作品開発
このPrime Videoで最も期待される国際的なYAフランチャイズの最前線を担っているのが、オリジナル作品の南欧責任者ニコール・モルガンティと北欧責任者タラ・エレルだ。
成功要因についてエレルは、「Wattpadをはじめとするブックコミュニティに直接足を運ぶこと」と語る。「Wattpadは若い声を民主化するプラットフォームであり、私たちにとって信じられないほど貴重なリソースです。非常に活発な議論が交わされているため、かつてないほど観客に近づくことが可能になりました」と説明。同社はオンラインとリアル双方でファンイベントを開催し、直接交流を重ねてきた。こうした丁寧な展開による作品と視聴者の距離の近さこそが、YA戦略の核心なのだ。
2026年には、ロン作品に加え、フランスのベストセラーYA作家C.S.クイルの小説をドラマ化する「Campus Drivers(原題)」、アメリカの作家タマラ・ラッシュによるWattpad発ベストセラー小説をドイツで映画化する「Drive: The Pretenders(原題)」など、国際的な人気作家のIPを活用したYA作品を相次いで展開する予定だ。
現在、ロンの最新作「30 sunsets para enamorarte(原題)」の映像化も進行中で、同作は彼女の作品として初めて米国で制作される予定だ。欧州発のYA作品が米国市場へ逆輸入される現象は、ハリウッド一強ではないOTT時代のコンテンツ市場の変化を象徴している。
Prime Videoは「ザ・ボーイズ」「フォールアウト」「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」など巨額予算の大型作品でも知られるが、一方で、YA作品のように強いファンダムを持つジャンルIPを育てることで、安定した視聴者層の拡大を図っている。今回の発表会は、欧州を軸にした国際オリジナル作品の強化によって、Prime Videoのグローバル戦略が新たな段階に入ったことを示すものとなった。


