Wattpad発IPが生むグローバルヒット
Amazonの欧州戦略の原動力となっているのが、スペインの人気作家メルセデス・ロンだ。「過ち」シリーズの映像化以前から、ロンは小説を投稿・公開・読書できるオンラインコミュニティ型のプラットフォーム「Wattpad」(韓国の複合企業ネイバー傘下)で絶大な人気を誇り、世界中に熱心な読者による巨大なファンダムを築いていた。Amazonはそこに目をつけた。
小説やゲーム、コミックなどのIPを映像化してフランチャイズ化する手法自体は珍しくないが、Prime Videoは、映像化の段階から既存のファンダムを巻き込み、キャスティングや撮影現場、配信までの過程をSNSで継続的に発信する「フルエクスペリエンス・アプローチ」を徹底。その結果、ロンの書籍は世界で100万部から500万部へと売り上げを伸ばし、現在では26言語に翻訳され、50カ国で出版されたという。
この成功を受け、Amazon MGMスタジオとロンは包括的パートナーシップ契約を締結。また「過ち」シリーズの主演俳優ニコール・ウォレスも国際的な人気を獲得し、昨年同スタジオと独占契約を結んだ。
ウォレスはシリーズ開始以来、InstagramとTikTokのフォロワー数が28万人から1400万人以上へと急増。現在はチリで制作されるスペイン語版「精霊たちの家」や、イタリア制作の英語シリーズ「Postcards From Italy(原題)」への出演も予定されている。Prime Videoは、こうした若手俳優をグローバルスターへと育てる戦略も進めている。
さらに、YA作品から誕生したスペインやイタリア出身の若手スターたちが、同社の米国作品や国境を越えたプロジェクトにも出演している。Amazon MGMスタジオのインターナショナル・オリジナル担当ヴァイスプレジデント、ニコール・クレメンスは「グローバルスターを育てるプロセス」と、「世界中の観客を魅了すると確信するヤングアダルト向け国際オリジナル作品のラインアップ」に強い自信を見せた。


