AI

2026.03.10 15:00

コードの編集から「AIの指揮」へ──バイブコーディングの「次」を目指すCursor

Cursorのマイケル・トゥルエルCEO(Photo by Kimberly White/Getty Images for Fortune Media)

Cursorより規模の大きい競合は、計算コストの一部を自社で負担

コストは常に大きな課題だ。Cursorより規模の大きい競合は、計算コストの一部を自社で負担し、ユーザー料金を低く抑える形でサービスを提供している。事情通によると、Cursorの社内分析では2025年、AnthropicのClaude Codeについて、月額200ドル(約3万1600円)のサブスクリプションでも利用状況によっては最大2000ドル(約31万6000円)相当のAI計算コストが発生する可能性があると試算されていた。つまり、ユーザーが支払う料金を大きく上回るコストがかかる計算で、その差額はAnthropicが事実上負担していることになる。

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現在はその補助が拡大している可能性がある。別の関係者によると、この月額200ドル(約3万1600円)のプランでは、最大で約5000ドル(約79万円)分の計算資源を消費できるという。

Cursorも一部のユーザーには補助を行っているが、Anthropicほど大規模ではない模様だ。事情通によると、個人向けサブスクリプションではCursorは赤字だが、企業向けプランでは利益が出ているという。Cursorを利用する企業は、スタートアップ向けで解約が容易な「Teams」プランを利用するか、大企業向けのエンタープライズ契約を結べる。

企業向けサービスの拡大は、Cursorにとって収益の安定化への道の1つ

企業向けサービスの拡大は、Cursorにとって収益の安定化への道の1つだ。エンタープライズ契約は成立までに時間がかかるものの、解約されにくい。事情通によると、Cursorがこれまでに失ったエンタープライズ顧客は1社か2社にとどまるという。ただ、こうした大型契約はこれまでCursorの事業に占める割合が小さかった。フォーブスが確認した資料によれば、2025年11月時点でCursorの年間換算売上高のうちエンタープライズ契約が占める割合は13.6%に過ぎなかった。

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現在は売上の約60%が企業顧客からのものだと関係者は語る。そのうちどれだけがエンタープライズ契約によるものなのか、スタートアップ向けのTeamsプランなのかは明らかになっていない。

Cursorの社員構成も、企業顧客重視の方針を反映するものになっている。現在、社員の半数は市場展開や営業などのいわゆる「ゴー・トゥ・マーケット」部門に所属している。事情通によると、営業チームはすでにメタやエヌビディアなどの大口顧客との契約を獲得しているという。

AnthropicのClaude Codeを導入し、Cursorのサブスクリプションを解約する企業

Cursorは、別の逆風にも直面している。2026年2月には、住宅ローン管理のスタートアップValonで働く90人以上の社員がCursorのサブスクリプションを解約した。理由は単純だった。もはやコードエディターが必要なくなったからだ。Valonは代わりにClaude Codeの強力なエージェントを導入して、作業の自動化を進めた。これにより、システム間のデータ移行やバグ修正といった作業を、エンドツーエンドで自動化できるようになった。アンドリュー・ワンCEOによれば、こうした作業は「10倍のスピード」で完了するようになったという。

複数のAIエージェントが連携して働く、マルチエージェント型の開発を模索

こうした動きの中で、新たなトレンドも現れ始めている。それが複数のAIエージェントが連携して働く「マルチエージェント」型の開発だ。これは、1人の開発者が、まるで人間のチームメンバーのように役割を持つ数十のエージェントを指揮する開発スタイルだ。

Cursorは現在、同時に働く数百のエージェントを管理できるツールをどのように作るべきかを模索している。同社はこの仕組みを社内で「グラインドモード」と呼んでいる。ここで解決すべき課題は多い。例えば、それぞれのエージェントに最適な専門的役割をどのように割り当てるかという問題がある。エージェント同士が多数の「同僚」の存在を認識すると、人間と同じように怠けてしまい、性能が落ちることもあるという。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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