「世界長者番付トップ10」(リアルタイム版)2026年3月版
1位:イーロン・マスク
資産額:8390億ドル(約132.6兆円。前月比640億ドル[約10.1兆円]増)
○主な資産源:スペースX、テスラ○年齢:54歳○居住地:米テキサス州オースティン○国籍:米国
イーロン・マスクは2026年2月3日、ロケット開発企業スペースXが、彼の人工知能(AI)・ソーシャルメディア企業xAIを買収したことにより、史上初めて資産が8000億ドル(約126.4兆円)を超える人物となった。フォーブスの推計によると、統合後の企業価値が1兆2500億ドル(約197.5兆円)と評価されたこの取引によって、マスクの資産は840億ドル(約13.3兆円)増加し、過去最高となる8520億ドル(約134.6兆円)に達した。
この取引以前、マスクはスペースXの約42%を保有していた。フォーブスは、2025年12月に実施された株式買い取り(テンダーオファー)で同社の評価額が8000億ドル(約126.4兆円)とされたことを踏まえ、この持ち分の価値を3360億ドルと見積もっている。マスクは、2026年1月に実施された資金調達で評価額2500億ドル(約39.5兆円)とされたxAIの約49%も保有しており、その持ち分は1220億ドル(約19.3兆円)と推計されていた。
その後の統合では、スペースXが1兆ドル(約158兆円)、xAIが2500億ドル(約39.5兆円)と評価された。フォーブスは、この統合企業におけるマスクの持ち分を43%と推計しており、その価値は5420億ドル(約85.6兆円)に達する。マスクの資産の中で最も価値が大きいのはスペースXで、マスクは同社のCEOも務めている。同社は2026年後半に新規株式公開(IPO)を計画している。
2025年11月、テスラの株主が過去最大規模となる報酬パッケージを承認した。この制度では、テスラが今後10年間で時価総額を8倍以上に拡大するなど「マーズショット」と呼ばれる目標を達成した場合、マスクは最大で1兆ドル(約158兆円)相当の株式を追加で受け取る可能性がある(税金や制限付き株式の解除コストを差し引く前の金額)。マスクはテスラ株のおよそ12%(ストックオプションを除く)を保有しており、その一部を借り入れの担保として差し入れている。2025年12月、2024年に下級審が無効としたテスラのストックオプションを、デラウェア州最高裁が復活させた。
南アフリカ出身のマスクは、18歳になる前にカナダへ移住し、さまざまな仕事を経験した後、オンタリオ州のクイーンズ大学に進学。その後、米ペンシルベニア大学へ編入し、経済学の学士号を取得した。
2000年には、自身が共同設立したオンライン銀行X.comを、ピーター・ティールが共同創業した同業企業と統合し、ペイパルを設立した。同社は2002年にイーベイに14億ドル(約2184億円)で買収された。マスクは2002年、ロサンゼルス近郊のエルセグンドでスペースXを創業。2004年には、創業から1年後のテスラに投資家兼会長として加わり、のちに共同創業者の肩書きを与えられた。2008年にCEOに就任し、2010年には同社を上場させた。
マスクは2015年、サム・アルトマンなどとともに非営利団体としてOpenAIを共同設立。しかし経営権を巡る対立が表面化し、3年後に取締役会を離れた。彼は近年、OpenAIが非営利組織だった時代の貢献に対して報酬を受け取る権利があるかどうかを巡り、OpenAIと法廷で争っている。
マスクが初めて世界一の富豪となったのは2021年9月で、2022年の大半をその座で過ごしたが、同年12月に首位から転落した。2023年6月8日に再び世界一となり、同年末まで首位を維持した。2024年1月31日には一時2位に後退したものの、5月下旬に再び首位に返り咲き、それ以降はトップの座を守り続けている。2025年10月にマスクの資産は、史上初めて5000億ドル(約79兆円)に到達した。2025年12月には6000億ドル(約94.8兆円)と7000億ドル(約110.6兆円)を相次いで突破。2026年2月に8000億ドル(約126.4兆円)を超えた。
2位:ラリー・ペイジ
資産額:2570億ドル(約40.6兆円。前月比200億ドル[約3.2兆円]減)
○主な資産源:グーグル○年齢:52歳○居住地:米カリフォルニア州パロアルト○国籍:米国
ラリー・ペイジは、長い道のりを経て世界第2位の富豪の座を手にした。2025年3月発表の「世界長者番付(World’s Billionaires List)」2025年版で、彼の順位は7位、資産は推定1440億ドル(約22.8兆円)だった。10年前には19位にとどまっていた。
ペイジは1998年、スタンフォード大学の博士課程に在籍していたセルゲイ・ブリンとともに検索エンジンのグーグルを共同創業し、2001年までCEOを務めた。2011年から2015年にかけてもCEOとして同社を率いた。現在はペイジは、グーグルの親会社アルファベットの取締役を務めており、支配的な株主としての立場を維持している。製造業向けAIに注力する新会社Dynatomics(ダイナトミクス)にも取り組んでいるとも報じられている。
米司法省は2024年、グーグルのオンライン市場における支配力を弱めるため、同社がブラウザー「Chrome」を売却すべきだとの見解を示した。これに対し、グーグルは声明で、そのような措置は消費者の利益を損ない、米国の技術的優位性を傷つけると反論した。こうした動きは、アルファベットのスンダー・ピチャイCEOが、2025年1月のドナルド・トランプ大統領の就任式への出席につながった可能性がある。過去数十年で最大級とされたこの反トラスト法(独禁法)訴訟では、9月に連邦地裁の判事が、グーグルはChromeを売却する必要はないとの判断を下した。
ペイジは、小惑星採掘を手がける企業プラネタリー・リソーシズの創業時において、投資家の1人でもあった。同社は2018年、ブロックチェーン企業コンセンシスに買収された。
3位:セルゲイ・ブリン
資産額:2370億ドル(約37.4兆円。前月比180億ドル[約2.8兆円]減)
○主な資産源:グーグル○年齢:52歳○居住地:米カリフォルニア州ロスアルトス○国籍:米国
セルゲイ・ブリンは、表舞台を極力避ける共同創業者ラリー・ペイジとは対照的だ。ブリンは現在、グーグルの親会社アルファベットのAI戦略を支援する役割に再び関わっている。ブリンは2025年、準引退状態から一時的に復帰し、グーグルのAIチャットボット「Gemini」に対する修正案を提出。12月に同モデルが公開された際には、「コア・コントリビューター」として名前が記載されていた。
ペイジ同様、ブリンは現在もアルファベットの取締役を務め、支配的株主の立場を維持している。ブリンは、11月下旬に保有するアルファベット株のうち約11億ドル(約1738億円)相当を寄付したことを明らかにした。寄付先の大半は、中枢神経系の疾患や気候変動への取り組みを支援する自身が設立した非営利団体Catalyst4だった。
ブリンは、マリブやネバダ州側のタホ湖周辺に住宅を購入したとも報じられている。カリフォルニア州で超富裕層を対象とした新たな富裕税の導入が検討される中、住宅の手頃さを高めることを目的とする、同州非営利団体を支援しているとされる。
4位:ジェフ・ベゾス
資産額:2240億ドル(約35.4兆円。前月比260億ドル[約4.1兆円]減)
○主な資産源:アマゾン○年齢:61歳○居住地:米フロリダ州マイアミ○国籍:米国
ジェフ・ベゾスは現在、ワシントン・ポストの大規模な再編を主導している。この改革では、従業員のおよそ3分の1を削減する人員整理も行われており、大きな論争を呼んでいる。2013年に同紙を華々しく買収したベゾスだが、今回の動きを受けて、同紙の価値を損なっていると批判する声も多い。
ただし彼の関心は、すでに別の分野に移っているようだ。ベゾスは現在、AIスタートアップ「Project Prometheus(プロジェクト・プロメテウス)」の共同CEOを務めていると報じられている。評価額が約300億ドル(約4.7兆円)とされるこの企業は、エンジニアリングや製造分野に焦点を当てており、数百億ドル(数兆円)規模の資金調達を進めているとされる。これは、ベゾスがアマゾンのCEOを退任して以来、初めて担う実務的な経営ポストとなる。
ジェフ・ベゾスは1994年にアマゾンを創業し、2021年7月までCEOとして同社を率いた(現在も会長職を務めている)。
ベゾスは、10代の頃にはマクドナルドで働いていたという。プリンストン大学を卒業後、ニューヨークでヘッジファンドのD.E.ショーに勤務した。その後、シアトルの自宅ガレージでアマゾン・ドット・コムを創業。アマゾンは、オンラインで商品を購入する人がまだ少なかった時代に、オンライン書店として事業を開始した。その後、同社はクラウドサービス分野でも圧倒的な存在感を確立し、アマゾン・プライム・ビデオ向けの映画やドラマの制作にも進出した。
ベゾスは、フォーブス「世界長者番付(World’s Billionaires List)」で2018年から2021年まで世界一の富豪だったが、2022年には2位に後退し、2023年から2025年にかけては3位に位置していた。
2019年、ベゾスは当時の妻マッケンジー・スコットと離婚。和解の一環として彼女にアマゾン株4%を譲渡し、ベゾスは12%を引き続き保有した。その後、彼は株式の売却と寄付を進め、現在の保有比率は約8%となっている。フォーブスは、アマゾンの上場以来、ベゾスが売却した株式の総額が490億ドル(約7.7兆円)超にのぼると試算している。ベゾスは、個人投資会社Bezos Expeditions(ベゾス・エクスペディションズ)を通じて、エアビーアンドビーやワークデイなどにも出資している。
5位:マーク・ザッカーバーグ
資産額:2220億ドル(約35.1兆円。前月比230億ドル[約3.6兆円]減)
○主な資産源:メタ(フェイスブック)○年齢:41歳○居住地:米カリフォルニア州パロアルト○国籍:米国
2026年2月、ザッカーバーグ夫妻がミラノで開かれたプラダのファッションショーの最前列に座る姿が報じられた。メタとプラダは現在、高級スマートグラスの開発で協力していると伝えられている。
マーク・ザッカーバーグは2004年、ハーバード大学在学中にフェイスブック(現メタ)を共同創業した。同社は現在、世界最大のソーシャルネットワークへと成長し、ユーザー数は世界で数十億人規模にのぼる。メタはその後、インスタグラムやWhatsAppを買収し、いずれも成長させた。同社を2012年に上場させたザッカーバーグは、その後もCEOの座を維持しており約13%の株式を保有する大株主である。
ザッカーバーグは2025年10月、ウォール・ストリート・ジャーナル主催の「イノベーター・オブ・ザ・イヤー」授賞式に出席した。妻プリシラ・チャンが、疾病の治療と予防に焦点を当てた夫妻の慈善活動への貢献を評価され、最優秀賞を受賞した。式典中、歌手のビリー・アイリッシュが観客に向けて、「もしあなたがビリオネアなら、なぜビリオネアなのか?」と問いかける場面もあった。


