地球を支える「見えないインフラ」──生物が担う持続可能性の真実

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サステナビリティは往々にして、政策やイノベーション、インフラによって推進される人間主導の課題として捉えられがちだ。しかしその枠組みの外側には、地球を支える特定のシステムが存在する。それらは人間が構築したものではなく、動物や微生物によって維持されている。彼らは、いかなる人工システムも及ばない効率性で生態系を調整しているのだ。

食料と生態系の安定を支える見えないシステム

送粉者(花粉を運ぶ生物)は、この自然のインフラの最も分かりやすい例である。国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の食用作物のおよそ75%は、少なくとも一部で送粉に依存している。同様に、野生の顕花植物(花を咲かせる植物)のほぼ90%が動物による送粉に頼っている。この生態系サービスは、経済価値に直結する。送粉者がいなくなれば、食料システムはほぼ即座に不安定化するだろう。

昆虫と動物が農業と炭素循環を支える仕組み

送粉にとどまらず、動物は生態系を能動的に形づくっている。MITニュースによれば、動物は生態系間で栄養分を再分配し、種子散布を行うことで、炭素循環に測定可能な役割を果たしている。たとえば海洋環境では、クジラが移動や採餌のパターンを通じて栄養分を運び、炭素の隔離(大気中ではなく別の場所に炭素が貯留されること)に寄与する。陸上では、一部の昆虫が農業を支える天然のサポートシステムとして機能している。テントウムシやクサカゲロウは自然に害虫を駆除し、カリフォルニア大学の記事によれば、テントウムシは生涯で最大5000匹のアブラムシを捕食するという。さらにBBCの記事によれば、寄生バチはコナカイガラムシなどの害虫種を標的にして個体数を大幅に減少させ、作物被害を抑制している。同時に、フンコロガシは糞を分解して栄養分をリサイクルし、土壌の肥沃度と牧草地の生産性を向上させている。昆虫は分解、土壌形成、生物的防除(天敵などを利用して害虫を抑えること)を含む、不可欠な生態系サービスを担っているのだ。

微生物ネットワークと高まる生態系衰退のリスク

微生物はさらに根本的なレベルで機能している。米国立衛生研究所(NIH)によると、土壌微生物は地球規模の炭素循環の中核を担い、炭素が土壌に貯蔵されるか大気中に放出されるかに影響を与えている。これらの微生物は有機物を分解し、窒素を固定し、植物の根と共生関係を形成することで、植物の健康と生産性に直接影響を及ぼす。さらに、微生物活動によって維持される健全な土壌は、世界の食料生産を支えている。

真の問題は、野生のミツバチを含む複数の昆虫種が、土地利用の変化、汚染、気候変動といった人間活動により絶滅の危機に瀕していることだ。この減少は、食料安全保障、気候の安定、生態系のレジリエンスを支える生物システムをすでに弱体化させている。求められる対応は体系的かつ実践的なものだ。農薬などの化学物質投入を減らし、アグロエコロジー(生態系の原理を取り入れた農業)的手法を採用することで、送粉者の個体数と土壌の健全性を回復できる。生息地を保護し、生物多様性を支援し、自然に基づく解決策を都市や産業のデザインに統合することが必要だ。

環境のサステナビリティは、生物多様性によって動かされる生きたシステムとして存在している。真の課題は、人間のシステムが、自らが依存する土台そのものを損なう前に、十分な速さでこのシステムと整合できるかどうかである。

forbes.com 原文

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