北米

2026.03.06 11:11

政治家たちはいかにして私たちを分断し、互いへの不信を植え付けるのか

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全米各都市で起きた最近の出来事は、幅広い人々の注目を集め、国の政治的分断をめぐる議論を再燃させた。抗議活動、法執行機関との衝突、大規模なデモを伝える報道は、この国が深く、そしておそらく修復不能なほどに分断されているという印象を容易に生み出す。政治的暴力が起きたときの現実、そして恐怖を、私は少しも軽視しない。たとえ少数であっても、反対者に危害を加えようとする人々は人生を破壊し、地域社会を脅かし得る。そうした行為はためらいなく非難され、訴追されるべきである。

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だが、米国人の政治的態度に関する研究は、より微妙な姿を示している。Polarization Research Labのデータによれば、多くの米国人は主要な争点で穏健な立場にとどまり、政治的暴力や反民主的な行動を支持する人はごく少数に限られる。

ここで重要な問いが生じる。多くの市民が比較的中道的な見解を持つなら、なぜ国の空気はこれほどまでに張り詰めて感じられるのか。研究は、日常の市民というより、政治指導者の振る舞い、対立を増幅させるメディアの力学、そしてエリート層における礼節の低下が、見かけの分断を大きく押し上げていることを示唆する。

私は最近、Polarization Research Labのディレクターで、ダートマス大学のショーン・J・ウェストウッド教授に話を聞いた。教授は、「破滅的な物語」は根本的に誤っていると述べた。問題は一般市民が過激化していることではない。過激化していると信じ込まされてきたことにある。

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3年以上にわたり実施された15万6000件超の調査インタビューに基づき、Polarization Research Labは、政治的な反対者に対する暴行や放火といった暴力犯罪を支持する米国人は4%未満だと結論づけた。政治的動機による殺人への支持はさらに低く、民主党支持者で2.1%、共和党支持者で1.8%にすぎない。ウェストウッド教授は、党派的暴力が米国民主主義の基盤を破壊するという見方が広くある一方で、データはそれが事実ではないことを示していると指摘する。

認識と現実の隔たりは驚くほど大きい。主要2政党それぞれの支持者は、相手党における政治的暴力への支持を40ポイント以上も過大評価している。本質的に、多くの民主党支持者と共和党支持者は、相手が自分たちを憎み、傷つけようとしていると思い込んでいるが、実際にはそうではない。

民主主義の規範違反でも同様の傾向がみられる。研究者たちは、反対勢力の地域で投票所を減らす、政治的な反対者を検閲する、反対党が指名した裁判官による判決を無視する、大統領令で議会を迂回する、憲法上の規則より党への忠誠を優先する、といった行為への支持を調べた。結果はどうだったか。規範違反を1つでも支持したのは民主党支持者の17.2%、共和党支持者の21.6%にとどまった。2つ以上の違反を支持する人はきわめて少なく、民主党支持者で6%、共和党支持者で9%だった。

さらに示唆的なのは、米国人が、民主主義の規範違反に対する相手党の支持を最大48.7ポイントも過大評価している点だ。事実ではなく虚構に基づいた恐怖や敵意をかき立てる、巨大な認知の歪みである。

Polarization Labの研究者が、2020年の選挙結果を覆すことに投票した、あるいはその正当性を否定した議員を検証したところ、その選挙区の有権者に反民主的態度の増加は見られなかった。過激化は下から上へではなく、上から下へ流れている。

Polarization Research Labの複数年にわたる研究は、政治家の投稿、演説、メディア出演が市民の態度にどう影響するかも追跡している。得られた証拠は、政策決定者やケーブルニュースの論客が分断を動かしており、それを反映しているのではないことを示している。

ソーシャルメディアのアルゴリズムも、刺激的なコンテンツを優先することでこれを増幅する。少数の政治家は、個人攻撃や過激なレトリックが注目と予備選での勝利を生むことを見いだし、対決的な声が支配し、主流に見えるという循環が生まれている。

残念ながら、政治の中でも最も現実的で礼節ある声の一部は、もはや公職にとどまれないと判断している。ノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員は2025年6月、指導者の中で「超党派主義を受け入れ、妥協し、独立した思考を示す者は絶滅危惧種になりつつある」として、引退を表明した。ニューハンプシャー州選出のジーン・シャヒーン上院議員、メイン州選出のジャレッド・ゴールデン下院議員も続いた。彼らはまさに、党派を超えて協働する意思が最も強い立法者だった。すでに少なくとも55人の現職(民主党24人、共和党31人)の連邦議会議員が、2026年中間選挙で再選を目指さないと表明している。選挙サイクルのこの時点としては、異例の多さである。

では、これから米国はどこへ向かうのか。私は、米国の広大な「中間層」が、関与し組織化されたときに発揮し得る莫大な力を認識するところから始まると考える。

ギャラップによれば、無党派層と自己認識する米国人の割合は45%で、現代の世論調査における最高水準であり、民主党または共和党と自己認識する割合を18ポイント上回る。不満を抱えているのは無党派層だけではない。More in Commonが米国政治のスペクトラム全体を調べたところ、米国人の3分の2が彼らの言う「疲弊した多数派」に属すると判明した。

問題は、その疲弊した多数派が政治プロセスに十分に参加していないことだ。とりわけ、選挙区の80%超は赤か青かがほぼ固定化しており、意味を持つ選挙が投票率の低い党の予備選に限られる。そうした連邦下院選挙区が存在する。ウェストウッド教授によれば、米国人は全体として「信じられないほど高い水準」で投票しているが、最も重要な予備選で必ずしも投票しているわけではない。多くの場合、有権者は予備選に投票することすら許されない。16州では、登録無党派有権者1650万人を抱えながら、民主党か共和党の有権者しか投票できない「クローズド」の連邦議会予備選が採用されている。

さらに悪いことに、24州では大統領予備選もクローズドである。これにより、米国人のごく一部が、実質的に他のすべての人々の政治的選択を決めてしまう仕組みが説明できる。2016年大統領選は、両党で競争的な予備選が行われた直近の選挙だったが、ドナルド・トランプ氏は約1400万票、ヒラリー・クリントン氏は約1700万票を獲得した。2016年の登録有権者は約2億1000万人だったことを踏まえると、有権者のわずか15%が、「自由世界のリーダー」になろうと競う2人の候補者を決めたことになる。

ウェストウッド教授はまた、民主主義改革論者が好む構造的な解決策は、効果が出るまでに時間がかかりすぎる可能性があるとも指摘した。「『明日、スイッチを切り替えて順位選択投票を導入すれば、米国は素晴らしくなる』などと言うのは間違いだ。根本的にナイーブである」と語る。

ウェストウッド教授によれば、より即効性のある見返りは、困難だが不可欠な仕事、すなわち今すぐ公職に立候補するより良い人材を見いだすことから生まれる。「両党の比較的中道的な有権者を尊重し、成功に必要な道具(草の根のボランティアや選挙資金を含む)を彼らに与えること」だという。

そのうちの一部は、既存の民主党・共和党の党組織を通じて当選を目指すのが最も現実的だと感じるかもしれない。まったく新しい道を切り開く人もいるだろう。歴史的に、第三党や無所属の候補が米国政治で勢いを得るのは難しかったが、潮目は変わりつつあるのかもしれない。

ミシガン州を見てほしい。デトロイト前市長のマイク・ダガン氏は現在、無所属で知事選に出馬しており、最近の世論調査では、三つ巴の戦いで大きく支持を伸ばしていることが示されている。もし彼がこの秋、ミシガンのような政治的なスイング州で無所属として勝利すれば、国の疲弊した多数派を重視する大きな再編の始まりを告げるシグナルになり得る。

長い間、米国人は、自分たちは救いようのないほど分断され、怒りと部族主義が増幅し続ける現在の道を進む運命にあると言い聞かされてきた。だが、それは真実ではない。多くの米国人は、政治指導者が提示するものより良いものを望んでいる。いま必要なのは、それを求める主導権を私たちが握ることだ。

forbes.com 原文

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