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2026.03.06 16:00

トランプ政権に立ち向かうAI企業アンソロピック、信念を貫くダリオ・アモデイCEOと共同創業者たち

アンソロピックのダリオ・アモデイCEO(Photo by Chesnot/Getty Images)

アンソロピックのダリオ・アモデイCEO(Photo by Chesnot/Getty Images)

米国テック業界では今、トランプ大統領に対し膝を屈する「屈服・迎合(Kowtow)」が、ビジネス上の生存戦略となっている。ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、スンダー・ピチャイ、ティム・クックなど、有力経営者が次々と政権へ歩み寄っている状況だ。OpenAIのサム・アルトマンも大統領と公の場で同席を重ね、「非常に仕事がしやすい人物だ」と述べるなど、関係構築を強めている。

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この潮流に抗っているのが、AI大手Anthropic(アンソロピック)のダリオ・アモデイCEOと、共同創業者たちである。アモデイCEOは、国防総省(トランプ政権下の呼称は「戦争省」)による「大規模な監視」や「完全自律型兵器」へのAI利用要請に対し、自社の利用規約を盾に拒絶を貫いた。これに激怒したトランプは、Anthropicを「左翼の狂信者」と罵倒し、政府機関での使用禁止を命じる報復措置を断行した。

Anthropicは、もともとAIの「安全性」を巡る理念の相違などから、OpenAIを離脱したメンバーによって設立されたという経緯がある。アモデイCEOが軍への協力を拒んだ直後、OpenAIが国防総省と独自の契約締結を発表した事実は、両社のスタンスの違いを象徴している。そして、Anthropicの権力に屈しない姿勢は、トランプの強権的な統治に反発する層から熱狂的な支持を呼び込んだ。同社オフィスの外の歩道にはファンによる応援のメッセージが刻まれ、主力AIモデル「Claude(クロード)」がApp StoreでChatGPTを抜き、初めて首位に立つという事態に発展している。

国防総省による無制限のアクセスを拒否したことがきっかけに、トランプ政権が報復

AI大手Anthropicとダリオ・アモデイCEOは現在、国防総省との激しい対立を経て、トランプから強い怒りを向けられている。大統領は米国時間2月27日、SNS「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した

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「Anthropicの左翼の狂信者は、戦争省を力ずくで従わせようとし、憲法よりも自分たちの利用規約に従わせようとするという、壊滅的な過ちを犯した」。

Anthropicが連邦政府の怒りを買ったきっかけは、国防総省から「Claude」への無制限アクセスを求められたが拒否したことだった。とりわけ同社が「大規模な監視」や「完全自律型の兵器」に該当すると表現する用途について、利用を認めなかったことが問題視された。

ヘグセス長官が「サプライチェーン上のリスク」と認定、国防総省および関連事業者による使用を禁止

しかし、倫理的な立場を貫くことには大きな代償が伴う可能性がある。これを受け、国防総省のピート・ヘグセス長官は、Anthropicを「サプライチェーン上のリスク」と認定し、米軍と取引するあらゆる契約企業、サプライヤー、パートナーに対し、Anthropicの技術の使用を禁止した。それでもアモデイは姿勢を変えなかった。「我々は良心に照らして、彼らの要請を受け入れることはできない」と彼は、その理由を説明するブログで述べた。

トランプはその翌日、すべての連邦政府機関に対しAnthropicの技術の使用を直ちに停止するよう指示した。

「今回のケースでAnthropicは、自らの立場を貫くことで政府との重要な関係が壊れる可能性を承知の上で行動した」と、国防総省で自律型兵器の政策に携わった経験を持つ元高官ポール・シャーレは述べている。「彼らは、不利な立場に追い込まれることを分かった上で原則を守ろうとした。そこは注目すべき点だ。すべての企業が必ずしもそうするわけではない」。

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翻訳=上田裕資

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