ウクライナは湾岸諸国にドローン(無人機)迎撃技術の専門家を派遣する用意があると表明した。ただし、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの提案の条件として、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に少なくとも2週間、可能なら2カ月間の停戦に合意するよう促すことを求めている。
「提案がある。中東の指導者たちはロシアと良好な関係にある」とゼレンスキー大統領は3月2日、ブルームバーグのインタビューで語った。「彼らならロシアに1カ月間の停戦実施を要請できるはずだ」
中東では2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切り、最高指導者アリ・ハメネイ師と複数の高官を殺害。イランは報復としてイスラエル、イラク、バーレーン、クウェート、カタールにある米軍施設をドローンやミサイルで攻撃し、ドバイをはじめ湾岸の各都市にもイランのドローンやミサイルが襲来している。
米民主党のクリス・マーフィー上院議員は3月3日、トランプ政権の当局者が連邦議会で行った非公開のブリーフィングで、イラン製の自爆型攻撃ドローン「シャヘド」を米国は阻止できず、さらに多くの米国人が死亡するだろうとの説明を受けたと米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
学ばれなかった過去の教訓
警告の兆しは何年も前からあった。サウジアラビアは2019年、イエメンの武装組織フーシ派が犯行声明を出したドローン攻撃により石油生産量の半減を余儀なくされた。今、同じ脅威が規模を拡大して繰り返されようとしている。3月2日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコはドローン攻撃を受けて、日量55万バレルの生産能力を持つラスタヌラ製油所の操業を停止した。
ウクライナでは2022年にロシアの全面侵攻が始まって以来、限られた防空装備で執拗な空襲に対処せざるを得なかった。パトリオット迎撃ミサイルなどウクライナ側の装備が不足する中、ロシアは2025年までにドローン生産を拡大し、一晩で数百機をウクライナ各地の都市へと投入するまでになった。
2025年12月、ウクライナ軍第47機械化旅団の元将校ミコラ・メルニクは「現状、わが国の防空システムでは全てを迎撃できない。ロシアは今後もドローン攻撃をいっそう拡大し、空襲を続けるだろう」と筆者に語り、こう付け加えた。「米軍が学ぶべき最大の教訓は、敵がこうした兵器を保有していることだけではない。それが安価で効果的だという点だ」
米外交専門誌『ナショナル・インタレスト』への2025年7月の寄稿で、筆者は「最も高価なシステムでさえ、ドローンのもたらす脅威の規模と適応性に対処するのは困難だ」と警告し、湾岸諸国はウクライナを参考にすべきだと指摘した。この予測は今、2つの前線で同時に現実味を帯びつつある。



