書籍出版社として、いま私の主な関心はビジネス、リーダーシップ、プロフェッショナルとしての成長に関する本だ。だが約20年にわたり、私は信仰、政治、そしてニュースサイクルが交差する地点でキャリアを築いてきた。論点や論争に正面から向き合う本を出版してきたのである。情熱と信念に突き動かされ、世界がどこへ向かうのかについて重要なことを語るべきだと信じる著者たちが書いた本だった。
それは意義深い仕事だった。著者たちは、読者の考え方を形づくり、国の進む方向に影響を与え得ると信じた原稿に心血を注いだ。読者も深く関わり、特定の本が自分の考えを明確にしてくれた、あるいは漠然と感じていたことを言語化してくれたと手紙を寄せることも多かった。視点が衝突するときでさえ、そのやり取りには敬意があった。
しかし環境は劇的に変わった。私の目には、いまの文化ははるかに敏感で、反応が速く、寛容さが失われている。かつての時代がほとんど牧歌的に見えるほど、混乱している。それでも、長くこの対話の渦中に身を置き、あらゆる立場の声を出版し、多様な視点を持つチームをマネジメントしてきたからこそ、こうした文化的分断を乗り越えるための実践的な方法を身につけた。とりわけ職場では、分断が生産性や士気にとって現実の障害になり得る。
いまのビジネスリーダーが直面する問いは、組織内に文化的・政治的緊張が存在するかどうかではない。本当の問いはこうだ。誰もが自分らしくいられる余地をつくりながら、あらゆるやり取りを地雷原にしないにはどうすればよいのか。世界観が根本的に異なるメンバーがいる中で、ビジネス目標に向けた統一的なアプローチをどう維持するのか。そして、深く重要だと考える事柄で意見が割れたときでも、チームの健全さを保ち、人々が尊重されていると感じられるようにするにはどうすればよいのか。
トップが節度を示す
リーダーは温度を決める。時事問題への強い断定や見解を絶えず発信したり、自分の政治的立場を示したりすれば、周囲にも同じことをしてよいという許可を与えることになる。職場で何を話すかについて、目に見えるかたちで自制を実践すれば、チームもそれにならう。何かを共有するときは、言葉づかいにも注意したい。丁寧さにおいては過剰なくらいがよい。
ミッションと個人の信条の境界を明確にする
文化的な争点について深く対立していても、共有するビジネス目標に対して卓越した実行は可能だ。目の前の論点に関して同調することが、職業人としての卓越に必要なわけではないとチームに伝えたい。チームワークには、オフィスにおける相互尊重が欠かせない。
「まず仕事」を優先するコミュニケーション規範をつくる
会議、Slackのチャンネル、廊下での会話でも、焦点はプロジェクト、課題、進捗に置く。誰かが対立を生みやすい話題に踏み込んだら、穏やかに軌道修正する。「その話は後にして、Q2の戦略に戻りましょう」。議論ではなく、保留することを当たり前にしよう。そして笑顔で言うことだ。
見せかけの一体感を強要しない
あらゆる社会問題について企業声明を出したり、分断を招きかねない大義や運動にひもづく取り組みへの参加を従業員に求めたりする誘惑は避けたい。同意を演じることへの圧力は、意見の相違そのものよりも緊張を生みやすい。人が丁寧に辞退できる余地を認めるべきだ。もちろん「公式」声明を出すべきとき、出すべき場面は間違いなくある。しかしそれが絶え間ない流れになれば、チームは集中力を失いかねない。
逸脱は非公開で、直接対処する
誰かが一線を越え、同僚を不快にさせたり、不要な論争を職場に持ち込んだりしたときは、1対1で、迅速に、大げさにせず対処しよう。恨みが蓄積するのは放置しない一方で、見せしめとして公の場で扱うこともしない。短く、敬意ある会話はこうなるだろう。「あなたの意見は本当に尊重していますし、いつかもっと聞かせてほしいのですが、今日は一緒に仕事に集中しましょう」
皮肉なことに、私は長年、当代でもっとも分断を招くテーマの本を出版してきたのに、いまは職場での自制を訴えている。だが、それこそが要点なのだ。自分たちにとって最重要の論点について情熱的に議論すべき時と場所はある。リーダーには、現実を直視し、明確な期待値を示し、同じ考え方を要求することなく、人々がともに卓越した仕事をできる文化をつくる責務がある。これは難しい会話から逃げることではない。最も難しい仕事の一部が、自分とは異なる見方で世界を見る人々とともに、意味あるものを築くことだと認めることなのだ。



