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2026.03.06 09:14

起業家の世界地図が変わる──2026年に向けた創業者の指針

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2025年までに、地理は創業者の意思決定を左右する最重要要因の1つとなった。依然として「どこからでも」製品を出荷する企業は多いが、人材、資本、コンピューティングをめぐるルールはよりローカルになった。地域によってビザが厳格化するなか、企業は電力とデータセンターへのアクセス調達をより戦略的に進めるようになった。資金調達は、適切なストーリーとともに周到なタイミングで行う必要があった。

この変化をより深く理解するため、世界の企業投資を形作った3つのトレンドを見ていこう。第1に、ベンチャー資金は戻ってきたものの、その回復は均一ではなかった。2025年に世界のベンチャー投資額が増加する一方で、取引件数は減少した。市場が少数の大型ラウンドへと傾いたためだ。第4四半期は3年以上で最も強い四半期だったが、これは幅広い取引の活況というより、大口取引による回復を示している。しかし世界の資金調達データは別の側面も示す。2025年に資金を調達した企業は2万4000社超にのぼったが、資金総額は依然として市場上位層に集中し、米国企業がスタートアップ向け資金の64%を獲得した。

第2に、セクターの重心はAIと、その周辺の「つるはしとシャベル」へ一段と移った。ベンチャーキャピタル(VC)資金は急増し、AIがその半分近くを取り込んだ(要購読)。これは採用や計算資源の集中といった連鎖的な影響も生んだ。AIの波の外側で事業をつくる複数の創業者と話したが、彼らは価格や注目の集まり方において、その影響を実感していた。

第3に、移転はライフスタイルの選択というよりも、リスク判断の問題となった。一部の国は富裕層向けのファストレーンを構築する一方で、それ以外の人々への障壁を高めている。最も顕著な例は米国で、ビザ政策をめぐる議論が直接的なコストと不確実性へと転じた。H-1Bの手数料は新規申請のコスト増を招き、スタートアップに「どこで開発し、どこで採用するか」を見直させる可能性がある。並行してホワイトハウスは、多額の支払いと結び付いた「ゴールドカード」型の居住ルートも推進している。

創業者が2025年に学んだこと

この1年で多くの創業者が学んだ教訓の1つは、政策は資金繰り見通し(ランウェイ)と同じスプレッドシートに載せるべきだということだ。ビザ規則の変更は採用計画に影響し、輸出規制の強化は提携を左右し、データ規制の変化はプロダクトロードマップを動かす。創業者は政府判断と向き合うことを余儀なくされ、それはH-1Bをめぐる議論からも明確に見て取れた。

もう1つの教訓は、スピードがいまや中間層に宿るということだ。資金移動、コンプライアンスのループを閉じること、人材のオンボーディングの3つは、企業が多くの時間を失う主要領域である。私が2025年に好調だった創業者たちを見ていて思うのは、潤沢な資金を持つだけでなく、予測可能な「レール」のある市場を選び、制約を前提に初期から構築していた点が、一因になっているということだ。

第3の教訓は、二次的コストに関するものだ。AIはツールが改善したことで一面では構築コストを下げたが、同時に計算資源、データセンター容量、上級の機械学習(ML)人材の価格を押し上げることで、別の意味ではコストを上げた。たとえばStart Campusは、ポルトガルのシーネスにあるデータセンターハブに2030年までに85億ユーロ(93億5000万ドル)を投資する計画であり、インフラが国家競争力のてこになっていることを示唆している。

2026年に注視すべきトレンド

エコシステム競争の激化

2026年は、創業者がより意識的に「どちら側に立つか」を選ぶ年になる可能性がある。エコシステム間で企業をめぐる競争が強まるだろう。著名なオペレーターや投資家が、若い創業者を支援・メンタリングし、ヨーロッパ各地で創業者同士の新たな取り組みを通じて経験の密度を高めようとしている。その例としてProject Europe(要購読)がある。

AIモデルからインフラ、そしてガバナンスへ

AIの優先順位がこうして移るなかで、最も取り組みやすい機会は、創業者が計算資源、エネルギー、買い手にアクセスできる地理的ロケーションを押さえることにあると私は見ている。だからこそ、データセンターや国家AIプログラムは、コアAIを開発していない創業者にとっても重要なのである。

私の母国ポルトガルは有用な例だ。現在、マクロの安定と、極めて明確なイノベーション推進を組み合わせているからである。『エコノミスト』誌によって、インフレ、GDP成長、雇用、市場パフォーマンスなどの要因から「最も好調な経済」にランク付けされたポルトガルは、その勢いをイノベーションのサイクルへと転換しようとしている。AICEP支援によるポルトガル国家AIアジェンダの更新では、2030年までの投資計画が4億ユーロ超にのぼることに加え、今後10年でGDPを180億〜220億ユーロ押し上げ得るという公式推計も示されている。

この投資、イノベーション、具体的な目標設定の組み合わせは創業者にとって重要だ。多くのスタートアップは、実行が酸欠状態に陥ったときに失敗するからである。国が計算資源と人材パイプラインに投資すれば、構築に伴う隠れた税負担の一部を減らせる。

規制産業におけるAI

AIインフラと、規制産業における応用AIは今後も成長し続ける可能性が高い。そのため、流通(ディストリビューション)への近さが重要な競争優位になるかもしれない。医療システム、産業サプライチェーン、金融オペレーションに売り込めるなら、汎用ツールをまた1つ使うだけよりも、より明確な前進の道筋を得られる可能性がある。

資金調達データはすでに、投資家が反復可能な収益がどこにあると見ているかを示唆している。好例として、2025年には取引件数が減ったにもかかわらず、フィンテックへの投資は増加した。

サイバーセキュリティは、あらゆるものの下流に位置するため、息の長いテーマであり続けるはずだ。AIが増えれば自動化が増え、攻撃対象領域も拡大する。追跡データでも、2025年のセキュリティ投資が相当規模であることが示されており、不確実性が高まる局面ではこうしたトレンドは持続しがちである。

防衛と宇宙が人材と資本を引き寄せ続ける

これは特にヨーロッパで顕著になると私は考える。地政学が、これらを市場であるのと同時に産業政策の優先事項へと変えたからだ。KPMGのレポートは、見出しのVC総額が例外的なメガディールで上下する局面でも、防衛テックと宇宙テックへの投資家の関心が持続していると指摘している。

最後に、静かなカテゴリーにも目を向けたい。コンプライアンスのワークフロー、給与計算と請負人向けツール、法人設立と報告、調達と税務。これらは、移転が力になるか、消耗戦になるかを左右しかねない摩擦点である。

2026年を捉えるシンプルな枠組み

創業者は常に成長を追い求める。これは変わらない。変わったのは優位性の源泉であり、いまや「正しい都市の正しいビルにいること」だけではなくなった。実行の税負担を減らしてくれるエコシステムを選ぶことは、もはや無視できない。ビザ、インフラ、メンタリングの密度はいまや成果に表れる。最終的に、2026年は地図を早期に読み解き、決然と旗を立てられる創業者に報いる年になると私は考えている。

forbes.com 原文

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