新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が発生してから6年目を迎えたにもかかわらず、同ウイルスは消滅しておらず、感染の長期的な影響が依然として影を落としている。米エール大学医学部によると、新型コロナウイルス感染後に発症するコロナ後遺症は複雑な健康状態であり、2000万人以上の米国人が影響を受けている。本稿では、多くの人に影響を与え続けているこの衰弱性疾患について知っておくべきことを解説しよう。
コロナ後遺症とは何か?
コロナ後遺症は明確な症状や経過を持つ単一の疾患ではなく、身体のほぼ全ての部位に影響を及ぼし得る多臓器疾患だ。米疾病対策センター(CDC)によれば、新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)した後で発生し、症状が少なくとも3カ月以上持続するものだ。症状は軽度で自然に治まることもあれば、進行して障害を引き起こすこともある。
コロナ後遺症では200以上の異なる症状が報告されているが、患者からよく訴えられる症状には、疲労感、息切れ、全身の痛み、睡眠障害、思考力の低下などが含まれる。この状態は、動悸や不整脈、うつ病や不安障害など、新たな症状や既存の症状の悪化を招くこともある。
コロナ後遺症は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかった経験のある人なら誰でも発症する可能性があるが、特定の層では発症率が高くなる。CDCによると、女性、慢性疾患のある人、65歳以上の人、新型コロナウイルス感染症が重症化した人、新型コロナウイルスワクチンの未接種者は、コロナ後遺症を発症する確率が高い。
コロナ後遺症にまつわる謎
多くの人に影響が及んでいるにもかかわらず、コロナ後遺症の原因はいまだに解明されていない。これが、同疾患の診断や治療が困難な理由となっている。だが、同疾患の仕組みを説明する複数の妥当な仮説が提唱されている。これには、初期感染が治まった後も体内にウイルスが持続することや免疫系の調節異常、さらに血栓や血管の炎症が引き起こされることで複数の臓器に障害が生じることが含まれる。提案されているさまざまな仮説は、同疾患の複雑さと、恐らく体内のほぼ全ての臓器に影響を及ぼし得る理由を説明している。



