クエンティン・ボルダージュはKolsquareの創業者兼CEOであり、同社は欧州有数のインフルエンサーマーケティング・プラットフォームである。
多くの企業にとって、マーケティング予算は横ばいのまま、求められる役割は拡大し続けているのが現実だ。ガートナーの調査によると、2025年半ばのマーケティング予算は企業売上高のわずか7.7%で横ばいとなり、2023年の9.1%から低下し、パンデミック以前の水準を大きく下回っている。最高マーケティング責任者(CMO)は、より少ないリソースでより多くの成果を出し、スプレッドシートのあらゆる項目を正当化するよう求められている。
欧州有数のインフルエンサーマーケティング・プラットフォームのCEOとして、私は刺激的なブランドのマーケティングリーダー数百人と話をしてきた。そこで1つのパターンに気づいた。最も成功しているリーダーの多くは、有料メディア費の小幅増に固執していない。代わりに、クリエイターとのパートナーシップを中心に2026年の予算を引き直しているのだ。
クリエイターは「あると良い」存在から、予算の中核項目へ
この傾向は、デジタルネイティブから多国籍企業まで、先進的なブランドの間で高まってきた。いまやインフルエンサーマーケティングに、ほかのどの施策よりも多く投資しているクライアントも少なくない。
変化は広範に及んでいる。昨年3月にユニリーバの舵取りを引き継いだ新CEOフェルナンド・フェルナンデスは、総広告費の最大50%をソーシャルおよびインフルエンサーマーケティングに充てる「ソーシャル・ファースト」のマーケティングモデルを導入する計画を、ほぼ直ちに示した。狙いは、規模を持ち、ローカライズされ、個人性の高いインフルエンサー戦略を構築し、メディア枠の購入ではなく「人」を通じて文化の中に現れながら、属性やプラットフォームをまたいで消費者にリーチすることにある。これは、パンデミック以降の信頼の明確な変化を反映している。ニールセンの2023年消費者調査レポートでは、消費者の59%が、お気に入りのインフルエンサーが勧める商品を購入する可能性が同程度かそれ以上だと答えている。一方、モーニング・コンサルトによれば、Z世代とミレニアル世代におけるインフルエンサーへの信頼は2019年の51%から2023年には61%まで上昇している。
単発投稿から、クリエイター主導のマーケティングミックスへ
私にとって本当に興味深いのは、質的な変化だ。まず、ブランドは単発の「投稿ごとに支払う」取引から離れつつある。私たちの調査でも、インフルエンサーやコンテンツクリエイターとの長期的な協業を優先する割合が大きく、かつ増加していることが確認されている。
新たな声の探索は続くが、より少数のクリエイターと繰り返し協働し、彼らをブランドストーリーの一部にしていくことは、今日のインフルエンスを支える大きな戦略転換である。これは、オーディエンスが求める真正性と品質への期待に合致し、私の経験では、単発投稿よりも高い成果とロイヤルティを生むこともある。
第二に、インフルエンサーマーケティングはマーケティングミックスにより深く統合されている。マーケティングリーダーは、認知から購買まで、ファネルのあらゆる段階でクリエイターを活用していると私に語る。ブランド制作の広告だけに頼るのではなく、ダーク投稿、Spark Ads、あるいはホワイトリスティングを通じて、クリエイターのアセットが有料メディアの素材として使われるケースが増えている。
第三に、クリエイターエコノミーは職業として成熟しつつある。私たちの調査によれば、コンテンツ制作がフルタイムの仕事である欧州のクリエイターは28%にのぼり、さらに43%はパートタイムのコンテンツ制作と、ソーシャルメディアの職務やコンテンツ制作に関連する仕事を兼ねている。ますます多くのクリエイターが、創造性と同じくらい契約、利用権、キャッシュフロー、精神的負荷について語るようになった。支払い遅延や男女賃金格差といった構造問題は、長期で、公正に報酬が支払われるパートナーシップを求める声を強めている。
クリエイターは広告疲れとシグナル喪失へのヘッジになる
こうした動きはすべて、有料メディアが構造的圧力にさらされる中で進行している。プライバシー規制、Cookieの廃止、プラットフォームの変更により、ターゲティングは精度を失い、測定はより複雑になった。その一方で、主要ソーシャルプラットフォーム上の広告のインプレッション単価(CPM)は、過去2年間にわたり着実な上昇を続けている。同時に、広告回避に関するニールセンの調査では、YouTubeのような無料動画サービスにおいて、消費者の64%が常に、あるいは大半の時間で広告を避ける行動を取っていることが示された。
この文脈において、クリエイターはヘッジとして機能し得る。クリエイターとのパートナーシップは、人々が注意を向ける配信力、特定コミュニティに向けてメッセージを翻訳する人間の声、そしてチャネルをまたいで増幅できる再利用可能なコンテンツをもたらす。私の経験では、クリエイターコンテンツはオーディエンスがすでに関心を持つものから出発し、ブースト、再利用、リミックスが可能であるため、疲弊の影響を受けにくく、オーガニックな影響力と有料の効率を橋渡しすることが多い。
CMOが2026年予算を組み替える方法
では、CMOはどのようにしてクリエイターへの投資を効果的に拡大できるのか。マーケティングリーダーとの対話で繰り返し挙がった主なステップは3つある。
1. クリエイター報酬を戦略的な予算項目として確保する
メディアが圧迫されるたびにクリエイター報酬を削るのではなく、才能に直接支払われる資金を確保すべきだ。具体的には、報酬、利用権、コンテンツのみのブリーフ、アンバサダー契約のリテイナーなどである。報酬を切り下げれば、トップクリエイターへのアクセスを失い、インフルエンスを通じて成長を促す長期戦略を損なうリスクがある。
2. メディア予算をクリエイターコンテンツの増幅に再配分する
「クリエイター」と「有料」を別々の財布として扱うのではなく、これらの予算項目を統合すべきだ。インフルエンサーコンテンツのブースト、クリエイター主導のダーク投稿の運用、ホワイトリスティング・キャンペーンにおけるクリエイターのハンドル活用などに、ソーシャル広告費をより多く割り当てる。私が見てきた中で最も効果的な2026年計画は、ソーシャルアセットのデフォルトの供給源をクリエイターと位置づけ、ブランドのクリエイティブは脇を固める役割として扱っている。
3. 長期パートナーシップのためのインフラに投資する
協業が増えれば、オペレーションの要件も増える。選定、契約、コンプライアンス、レポーティング、支払いである。進化し続ける規制に即しつつ、クリエイターとの関係をスケールして管理するために必要なテクノロジーと専門人材に、明確に予算を計上すべきだ。
最後に
CMOとして、意義あるクリエイターパートナーシップを中心に据え、その周囲に有料メディアを組み立てる形で2026年計画を引き直すことを検討してほしい。顧客がすでに信頼する人々との長期的な関係に投資し、その声にマーケティングの負荷をより多く担ってもらうのだ。



