リーダーシップ

2026.03.19 15:15

元総理通訳が糸島で「適応型リーダーシップ」展開の理由。外交と組織の意外な接点

黒川公晴氏(Learner's Learner代表、ミネルバ認定講師、元外務省所属外交官)

「革新的大学ランキング」世界1位、ミネルバとの出会い

━━あらためて、現在はどのような事業を手がけられているのでしょうか。

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黒川: 企業向けにコンサルティングをしたり、ファシリテーターとして現場に入り、社員の皆さんが日々感じている課題を対話を通じて引き出して、解決策を自分たちで考える過程をサポートしたりしています。

具体的には、企業のトップから「うちはこういうことで困っている」「マネージャーがこんな課題を抱えている」といったお悩みをうかがい、それらを前提に現場のマネージャー対象の研修やワークショップを設計し、実装しています。

━━現場に入ってみて、よくある課題はどういったものですか。

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黒川: 多いのはなんといっても、理念と実態のギャップですね。会社の存在意義であるパーパスや、日々の判断のよりどころとなる行動指針─いわゆる「バリュー」をまず作りたいがどうすれば、という相談もありますが、そのバリューは作ったものの、日常に沿わぬマントラのようになっている、という課題こそがまさにオムニプレゼンスです。

半年ほど伴走することが多いのですが、われわれが外部から入って目指すのは、一人ひとりの行動変容です。「これをやると売上がどれだけ上がるのか」という問いの立て方はナンセンスで、会社のビジョンから逆算して、どんな人材が必要か、どんな行動が求められるかを導き出し、そこに向けてプログラムを組んでいきます。

面白いのは、受講者本人は「まだまだ学んだことを生かしきれていない」と謙遜するのに、上司や周囲の人からは「最近彼女(彼)は変わったよね」「積極性が出てきた」という声が出ることです。自己評価と他者評価の食いちがいが生まれるのは、むしろよい兆候ですね。

━━リーダーシップ開発の中核に、米国ミネルバ大学と提携したプログラムがあります。ミネルバ大学は「キャンパスを持たない大学」として知られ、革新的大学ランキングで世界1位に選ばれたこともある教育機関です。どのような経緯で出会ったのでしょうか。

黒川:一緒に創業した仲間の前職であるリクルート社内に、ミネルバの教育に注目しているチームがあったんです。素晴らしい人材を輩出するミネルバの教育内容・手法に注目して、自社の研修を共同で企画した。

ところが英語で教える講師がいない。そこで、その共同創業者の友人を通じて相談が来たんです。私は当時ミネルバ大をまったく知らなかったのですが、ご縁と思い、引き受けたのが始まりです。

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文=加藤智朗 取材・構成=石井節子 撮影=曽川拓哉

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