職場での怒りは、人を居心地悪くさせる。大声、緊張した身ぶり、あるいは遠回しな攻撃といった形で表れることもある。私たちは防衛的に反応したり、その人を避けたり、同僚に愚痴をこぼしたりしがちだが、たいてい良い結果にはつながらない。職場の調停の場では、怒りはほぼ例外なく存在する。本人が怒りを感じている場合もあれば、相手が自分に怒っているのではないかと不安になる場合もある。調停者の役割の一部は、この感情を理解できるよう支援し、必要に応じて、相手に受け止めてもらえる形で伝えられるよう手助けすることだ。ここでは、怒る同僚の行動の背景を読み解き、状況を悪化させずに対処するための3つのステップを紹介する。
怒る同僚に対処する3つのステップ
ステップ1:感情について話せる環境をつくる
仕事上の関係では、怒りのような感情が生じるのは自然なことだ。それに向き合う第一歩は、建設的な会話ができる条件を整えることである。他人の行動はコントロールできないが、自分の反応はコントロールできる。怒っている同僚に直面すると、神経系が反応し、体は「闘う」「逃げる」「固まる」という反応を引き起こす。
自分の反応に気づいておけば、落ち着きを取り戻し、どう応じたいかを意識して選べる。その場の高ぶりの中では、相手の話を聴く力が落ちるため、建設的な会話ができないこともある。だからこそ、引き金と反応の間に「間」を置くことが重要だ。深呼吸をして、こわばった筋肉を意識的に緩めるだけでもよいし、「この話はまた別の日に続けよう」と提案するのも一つの方法である。
ステップ2:怒りの下にあるものを探る
怒りは二次的な感情であることが多い。そこで、怒りが覆い隠している別の感情(傷つき、恐れ、悲しみなど)を探るとよい。例えば「これによってあなたにはどんな影響がある?」といったシンプルな質問を1つ投げかけるだけで、相手がそうした気持ちを言葉にしやすくなり、双方が根本の問題をより理解できるようになる。また、怒りが的外れなところに向かっている場合もある。同僚が反応しているのは、別の圧力かもしれない。例えば、その日の早い時間に起きた出来事や、私生活の問題などである。怒りは「さらに深く掘り下げるべきものがある」というサインだと捉えるとよい。
ステップ3:怒りの背後にある満たされないニーズを探す
最後に、怒る同僚に直面したときは、その人の根底にあるニーズのうち、何が満たされていないのかを見極めたい。デシとライアンの自己決定理論によれば、私たちには自律性(仕事の進め方に発言権や影響力があること)、有能感(仕事で力を発揮できていると感じること)、関係性(尊重され、チームの一員だと感じること)という心理的ニーズがある。これらのニーズが1つでも満たされないと、フラストレーションや怒り、防衛的な反応が生じやすくなる。過度に細かく管理されていると不満を言う従業員は、自律性が損なわれている可能性が高い。フィードバックの場で防衛的になる同僚は、自分の有能さが疑われていると感じているのかもしれない。職場で距離を置いているように見える人は、帰属意識に苦しんでいる可能性がある。自分と相手、それぞれの満たされないニーズを理解できれば、次に進む道筋はより明確になる。
怒りを理解すれば、職場の対立は解ける
怒る同僚に対処するのは容易ではない。また、職場で感情をどう表現するかについては、誰もが責任を負う。ただし、問題が常に怒りそのものにあるとは限らない。多くの場合、怒りは「重要な何かが放置されている」というサインである。職場で怒りを抑え込むことが目的ではなく、怒りを読み解くことが目的だ。怒りがしばしば「気にかけている」という感情を映していると気づけば、防衛から対話へと切り替わる。その変化が、すべてを変える。



