発明家・弁理士の小川コータ氏はスマホの「フリック入力」の発明者として知られる。まさに「令和の女子高生がすごいスピードで文字入力している」あの風景は、小川氏の発明にこそ起因するのである。
氏にはフリック入力のほか「薄い財布『FINALE』シリーズ」「ベルトが吸い込まれるバッグ『シューベルト』」「上に開いて棚になるスーツケース『FLIP FLAP』」など数々の発明がある。ちなみに、高祖父の岩垂邦彦はNEC創業者だ。
本稿は2月、東京科学大学で現役生と修了生、教職員に向けて行われた講演から、弁理士資格取得、フリック入力誕生、そしてクローズド・オークションでマイクロソフトに特許を売却するまでのストーリーを抽出して紹介する。
弁理士資格取得・そして大学院、からの「フリック入力発明」
僕の「発明」は、フリック入力が初めてではありません。実は最初に発明したのが、前後一輪ずつで、小さく折りたためるスケートボードです。 今でこそ似たものがありますが、当時は無かった。これだ、と思って特許出願をしようとしましたがお金がない。なので自分で勉強して出願しました。
しかし、特許は取れませんでした。正直、「これはプロじゃないと無理な世界だ」と感じました。
そこで弁理士という職業を知り、猛勉強して資格を取ったわけです。
──ここで少し基礎的な話をします。
特許というのは「発明を保護する制度」で、取れると、そのアイディアは20年間守られます。ただし、厳しい審査を経るので、かなり大変です。
そこで、弁理士とは何かというと、特許取得のための専門家です。主なお客さんは企業で、企業の研究・開発部門と仕事をします。出願をしたり、訴訟に関わったりと、一般の人にはあまり馴染みのない仕事かもしれません。
音楽にたとえるなら、発明家が「作曲家」、弁理士は「編曲家」。発明を考えるのが発明家、それを権利として成立させるのが弁理士です。
知的財産権にはいろいろあります。
・特許権
・実用新案権
・意匠権(デザイン)
・商標権(名前・ブランド)
・著作権
世界中で、こうした権利の仕組みが整えられています。



