[アーリーステージの企業]のCEOとして契約の仕事から始める可能性が高い。CXOの肩書で迎え入れるために必要な長い面接プロセスを避けるためだ。契約職を交渉する際によくある失敗や落とし穴で、避けるべきものがあれば教えてほしい。
この求職者は、柔軟性を保ち、採用プロセスを早めるために契約案件を検討している点が評価できる。契約社員としてスタートすれば、双方が「一緒に働くとどうなるか」を実地で見極めることもできる。ただし、期限付きの役割は正社員とは異なり、エグゼクティブの報酬は、初級・中級レベルの採用におけるオファーよりも複雑である。
シニアレベルの契約職を交渉する際に避けるべきミスは次の5つだ。
1. 報酬パッケージを十分に理解していない
シニア職は職務の複雑さと影響力を反映し、より複雑な報酬パッケージを伴う。基本給に加え、エグゼクティブ報酬には通常、業績賞与、利益分配、株式、経費枠、個別設計のリーダーシップ研修、退職(解任)時の保護条項などが含まれる。役割が一時的だからといって、報酬が必ずしも低くなるべきだとは限らない。
職務範囲と自分がもたらし得る貢献を踏まえ、何を望み、何が必要かを決めることだ。そして、自分の優先事項に基づいて交渉するようにしたい。さらに、成果を出すために必要なリソースも交渉対象に含める。チームは用意されるのか、迅速に採用できる裁量はあるのか。賞与やその他インセンティブが付与されるタイミングも交渉する。十分な期間があり、良いインパクトを出せるのか。
2. 比較対象を誤る
プレシード段階のスタートアップのCEOは、より成熟した企業のCEOと比べて、責任、期待値、報酬が異なる。業界、企業規模、地域も、あらゆるレベルで報酬に影響する。固定報酬と変動報酬の構成比も比較すべきで、確約される報酬のほうが価値が高い。
エグゼクティブ・リクルーターに話を聞き、自分の市場価値の感触を得るとよい。検討している企業の規模、在籍年数、業界、所在地といった条件に関するデータを持つ報酬調査を探すことだ。また、正社員市場と契約市場の両方を調べ、類似の役割で報酬がどう異なるかを確認したい。
3. 会社のほうが自分より交渉力があると決めつける
キャリアの前進は椅子取りゲームに似ている。上位のリーダー層に進むほど席が少ないためだ。そのため、誤ったエグゼクティブ・オファーにしがみつきたくなるかもしれない。手放せば、あなたの代わりを待つ候補者が大勢いる一方で、あなたが他へ行く選択肢は少ないと感じるからだ。しかし、エグゼクティブ職で適合する人材を見つけるのは難しい。会社が「あなたがいい」と決めたのなら、それ自体が確かな交渉力である。
だからといって、望むものを何でも交渉できるという意味ではない。ただ、優先事項について交渉することを恐れる必要はないということだ。たとえば、自分のチームを確保したい、あるいは業績賞与を決める評価基準を共同で設計したいという場合があるだろう。自分の優先順位と譲れない条件を理解することは、期限付きかどうか、シニア職かどうかに関わらず、あらゆる交渉で不可欠である。
4. 境界線が弱い、または不明確
契約が特定の取り組み(例:次の資金調達ラウンドを完了すること)を対象とする場合、それが完了したらどうなるのか。実現しなかったらどうなるのか。あるいは資金調達の目標が変更されたらどうなるのか。契約がフルタイム未満であれば、会社がより多くの時間を必要とした場合や、合意した時間外に連絡してきた場合はどうするのか。市場環境が変化し、当初の計画(例:プロダクトをローンチする)がもはや合理的でなくなった場合はどうなるのか。
境界線を設定することを先回りして行う。起こり得る問題を想定し、それに対処する条項を契約に盛り込むのだ。必要に応じて、更新オプション付きの短期契約を交渉し、状況に応じて、そして会社について理解が深まった段階で再交渉できるようにしておくのもよい。
5. 契約から正社員への移行(temp-to-perm)を想定していない
短期契約を望んでいるのがあなたであれ会社であれ、双方のどちらか、あるいは双方が考えを変える可能性はある。役割が正社員に切り替わる場合の報酬パッケージを、今この時点で正確に交渉し切る必要はない。しかし、自分が何を望むかのイメージは持っておくべきだ。また、後々不利にならない形で一時契約を交渉することも重要である。
一時的な役割であることを理由に、市場水準を下回る基本給に同意する場合は、どれだけのディスカウントなのかを明記しておく。そうすれば、役割が正社員になった際に市場水準の基本給へ移行しやすい。賞与の累積やベスティングのスケジュールも把握しておき、契約から正社員への切り替えで時間を失わないようにすることだ。勤務中に社内ネットワークを広げる時間も確保し、複数の意思決定者から支援を得られるようにしておく。



